物価の高騰に伴い、懸念される学校給食費。献立に苦心する学校給食の現場を取材した。
物価高騰が給食費にも影響 既に値上げの自治体も
総務省の小売物価統計調査(2022年4月時点)によると、小学校の年間の学校給食費は長岡市が5万7537円、新潟市が5万5628円と、いずれも全国上位の高さになっている。
この記事の画像(16枚)この給食費が今、物価の高騰によって、さらに値上がりすることが懸念されている。そこで、新潟県内30市町村に、現在の対応について聞いた。
物価の高騰を受けて、新潟市や長岡市・小千谷(おぢや)市の一部の学校ではすでに給食費の値上げを実施。最大1食20円の値上げだという。
それ以外の市町村では、様々な工夫によって値上げせずに対応しているとの回答が。どんな工夫をしているのかというと…
・地場産の食材から安い食材に変更する
・高騰の影響を受けていない食材を選ぶ
・デザートの回数を減らす など
「工夫してやりくりしている」ということだが、今後さらに値上げが続いた場合は「値上げを検討せざるを得ない」と話す自治体もあった。
給食費を10円値上げした小学校 それでも「すでにオーバー」
そんな中、値上げした小学校の一つ・新潟市の万代長嶺(ばんだいながみね)小学校を訪れた。この日、調理室では、職員を含めた約300人の給食が作られていた。カレーの良い香りが漂う。
万代長嶺小学校は2022年4月、これまで1食290円だった給食費を10円値上げし、300円にしたという。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
10円値上げというのは記憶にない。なかなかないと思う。据え置いていたら多分苦しかった。5月は一食310数円で、すでにオーバーしている
大量に使うタマネギ 倍以上に値上がりも「なかなか減らせない」
この日の給食はキーマカレー・サラダ・メロン。給食の献立を考える石黒麻子さんが悩んだのはキーマカレーで使うタマネギだった。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
2021年の4月は1kg150円だったのに、2022年の4月は400円になった。倍以上あがっていてびっくりした
結局、きょうのキーマカレーにも、タマネギを使用したという。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
たくさん使っている。タマネギは子どもの好きな献立、カレーや肉じゃがとかに使う。甘みが出るので、なかなか減らせなくて、ちょっと悩んでいる。今のところ5g減らすくらいしかしていない
また、油の一斗缶も、2021年4月には3650円だったのが、2022年5月は5330円に。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
4回~5回揚げたら廃棄していたが、今は揚げる時に気をつけてもらい、もう1回多く揚げられるように調理員さんに頼んで工夫してもらっている
そのほかにも、鶏のもも肉は今後、値段の安いむね肉に変更する予定だという。
果物の登場回数は減少… 栄養価落とさないため献立に苦心
値上げが続いても、子どもの栄養価は落とせない。値段と量、栄養価をにらめっこしながらの献立作りが続いているという。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
献立を立てては栄養価を見てという感じ。何かを替えるときは、値段の安いもので同じような栄養価がとれるもの、というふうに工夫している
主食・主菜で栄養価を落とさないため、以前は月に5~6回出ていた果物は2~3回に減らしている。
この日、石黒さんが苦心して考えた給食を1年生は夢中で食べていた。
Q.きょうの給食はどうだった
児童:おいしかった
Q.何がおいしかった
全部
Q.何がおいしかった
児童:メロン
Q.デザートがつくとうれしい
はい
子どもたちが給食をおいしく食べることを第一に考えながらも、物価の行方は見通せない。
万代長嶺小学校 栄養教諭・石黒麻子さん:
季節によって食材がとれるようになると値段が下がる、というのが今年は見えないので、どうなるんだろうとちょっと不安
(NST新潟総合テレビ)