テクノロジーの進歩などにより「変化」を続ける医薬・医療業界は、コロナ禍にあってさらなる変容を迫られています。多くの耳目が集まっている今、どのような変動が起きているのでしょうか。ここでは、「ライフサイエンス4.0」というコンセプトを掲げ、同業界に特化したコンサルティングを行っているEY Japanの医薬・医療セクターパートナー・松本崇志さんに、フジテレビ・清水俊宏がインタビュー。実状について話を聞きました。

※EY Japanは、会計、税務、コンサルティングなどのプロフェッショナルサービス事業を手がけるグローバル企業・Ernst & Young(以下、「EY」と表記)の日本におけるメンバーファームです。

医薬・医療業界が抱える課題やニーズに応える、データテクノロジーの活用

左から清水俊宏(フジテレビ)、松本崇志さん(EY Japan)
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清水俊宏(以下、清水):まずは松本さんに、これからの医薬・医療業界についてお話を伺います。現在、業界が抱えている課題にはどのようなものがありますか?

松本崇志さん(以下、松本):医薬や医療の進歩には素晴らしいものがあります。その一方で、課題がさまざまにあるのも事実です。たとえば、アンメット・メディカル・ニーズ(=いまだ対処されていない医療上のニーズ)への対応です。製薬会社は、良い薬を世に出し、新しい治療法を開発しながらそこに課題感を持っています。

清水:アンメット・メディカル・ニーズというと、新型コロナウイルス感染症への対応もそうと言えますね。

松本:新型コロナウイルス感染症のように急に出てくる需要もあります。それに加えて、やはり従来からある、たとえば「がん」についての満たされていないニーズにも対処していく必要があります。一例をあげればより個別化された治療薬や希少がんに対しての薬を開発していく、あるいは新しいメカニズムで作用の出る薬をつくる、抗がん剤の副作用をより適切にコントロールしていくといったことも課題です。

清水:それらニーズに応えてくために、どのようなコンサルティングを心がけていらっしゃるのでしょうか。

松本:製薬会社は、さまざまな苦労とトライを重ねられた上で薬を出されます。そのような営みをより効率よく進められるように支援するのがわれわれコンサルタントの役割です。また、最近ですと、データの分析・活用が重要な仕事になっています。AIをはじめとした多様なテクノロジーを活用して研究開発を後押しし、製薬会社が持っている情報と外部の情報を掛け合わせるなどして、その価値を患者さまや医師に届ける仕組みづくりもサポートしています。

清水:データというと具体的にどのようなものがありますか。

松本:治験データもそうですし、治験結果を得るための試験を行う中で、たとえば薬の副作用に関するデータが蓄積されます。また、広く業界を見渡せば、電子カルテの情報や遺伝子情報などもデータとして存在します。そういったデータが、実は別々に分断された状態で溜められていることが多々ある。私たちは、製薬会社が持つデータにそれらを組み合わせて、イノベーティブなアイデア出しや新薬の開発につなげていくことに貢献したいと思っています。データを集約して活用するプラットフォームが必要で、そこが私たちの支援できるところだと考えているのです。

清水:確かに、そこにニーズがありそうです。ちなみにデータというと、ライフサイエンス(=「生きる」「食べる」「暮らす」といった人間生活と密接に関わる技術分野)も近年、注目されています。日常の行動データの活用も視野に入ってきますか。

松本:まさに、です。スマートウォッチ等で取得しているライフログのデータなどを収集して組み合わせる座組みや、データ分析の仕組みづくりもサポートできるところだと思っています。

必要に応じて柔軟に、グローバルにチームを組成。コンサルティングを展開

清水:業界を見る時に、製薬会社や医師、患者、医療行為そのものといったさまざまな視点があると思いますが、どのような見方を大切にされていますか。

松本:どこまで行っても患者さまが第一です。そこを起点にコンサルも考えます。患者さまを取り巻く環境は、病気になったから病院に行って、お薬を処方してもらって飲む、といったものにとどまりません。食事・運動からエンターテインメントまで、活動にはいろいろな広がりがあります。それらすべてが患者さまのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高める助けになる。患者第一という意識を心に置きつつ、そういった周辺環境をなるべく広く見て、活かせるものは(先ほどのデータ活用のように)活かして患者さまに貢献したいと考えています。

清水:「患者第一」は製薬会社や医療従事者も同じかもしれませんね。ところで、EY Japanではコンサルタント業務を展開されています。EYの特徴について教えていただいてもよろしいでしょうか。

松本:ジャンル横断的なコラボレーションのしやすさに強みがあります。EY Japanには、会計、いわゆるアシュアランス(=監査業務)、それから税務の部門もありますし、M&A、サプライチェーン、テクノロジー、それぞれに専門家チームがあります。それらチームが横断的に連携してお客さまをサポートしています。しかも、EYが持つグローバルなネットワークが連携に加わってきます。日本だけでなく、海外のナレッジや人材も活かすことができる。ここに特徴があると言えるでしょう。

EYには、お客さまが抱える課題に応じて最適なチームを組成し、対応する「文化」があります。たとえば、アメリカに現地法人を持つ日本の企業さまが薬の物流問題に直面されていたら、私たちはアメリカのメンバーとも連携して日米横断的なチームを組んで対応します。その迅速さ、柔軟さはほかのグローバルなコンサルティングファームと比べても高いところです。EYメンバーファームは国内外のネットワークが堅固なため、「チームをすぐにつくってサービスを提供」ということができるのです。

清水:コンサルティングをする上で、「みなで協力してやろう」というマインドがEYのスタッフの中にあるのですね。

松本:顧客第一でコラボレーションを重視するという文化があります。また、そういった文化を培うトレーニングもあります。

清水:コンサルティングをしていく中で、どのようなところに、特にやりがいを感じられていますか。

松本:たった今、EY内のコラボレーションの話をしましたが、コンサル業務は「お客さまとのコラボレーション」でもあります。顧客と協同して成果を出して、お客さまが喜んでくださった時にやりがいを感じます。また、コンサルタントはお客さまの事業の「主体」ではなく、あくまでも「サポート」役ですが、とはいえ第三者だからこそ言えることや、見つけられることがある。そういった視点や提案を提供することでお客さまに感謝され、それが成果につながっていくと充実感がわいてきます。

清水:逆に、コンサルタントとして、「ここが難しい」と感じるところはありますか。

松本:「難しい」というより、「チャレンジングだな」と思っていることはあります。コンサルティングを一つの産業と考えた時に、業界として展開できるサービスはどんどん増えています。エコシステム(=互いに独立した企業や事業、製品、サービスなどが相互依存し合って一つのビジネス環境を構成すること)という話が近年言われていますが、新しいテーマも出てくる中で、お客さまとの接点が多様化しています。日々日々勉強し、情報をブラッシュアップしていかなければなりません。これまで無かったような異業種の企業さまとのコラボレーションの必要性も出てきますし、新しい価値を生み出すべき機会も急増している。ここにキャッチアップしていくことが、挑戦です。

EY Japanが掲げるコンセプト「ライフサイエンス4.0」とは

清水:今、エコシステムの話題が出ました。EY Japanは「ライフサイエンス4.0」を提唱されています。どういったものなのでしょうか。

松本:ライフサイエンス1.0や2.0は、良い薬をつくり、売るというところにフォーカスされた時代です。そこから3.0になって、より患者さま中心の世界観が構築され、たとえば個別医療という話が出てきました。例えば、あるがんの治療で、かつては「そのがんの患者さんが全員、この薬を使う」みたいな話だったのが、患者さまの属性に合わせて薬を使い分ける時代に変化したのです。そして、「その先」として私たちは「ライフサイエンス4.0」を提唱しています。端的に言えば、データによる知見やデータテクノロジーを活用するというコンセプトです。しかも、データ活用は薬の研究開発にとどまりません。薬の服用後のケアや診察・診断、また予防という段階でもデータを駆使して新たなサービスを提供したい。そのために、スタートアップをはじめ、様々な業種の企業さまとエコシステムを組み、EY Japanがプラットフォームとなって患者さまのためのナレッジとデータを結集していく世界を目指しています。

清水:興味深いです。そこまでのエコシステムをつくっていくには、医薬・医療など様々な業界における「業界特化型」というEY Japanのスタンスが必要かもしれません。

松本:仰るとおりです。特化しているからこそ患者さまに貢献できるレベルのサービスがあるはずです。特にデータテクノロジーを活用した新しいサービスモデルを先駆的につくっていく。私たちはここに矜持を持って活動しています。その上で私自身、日本の素晴らしい医療がこれからも発展できるよう、支援の一翼を担えればと思っています。

清水:EY Japanのチャレンジに関心のある方が集まって、ライフサイエンス4.0の世界ができてくると未来が楽しみです。

松本:今、ありがたくもメンバーがどんどん増えています。経験者・未経験者含め、さまざまなバックグラウンドを持った方がコンサルタントになってくれていて、これからが楽しみです。新しいメンバーとの出会いは新しいものを生み出します。そこは私たちが最大に歓迎するところです。コンサルティングファームは「人」が第一の資産ですので、EY Japanはスタッフの育成・指導の仕組みを徹底して充実させています。そんな中で、新しいメンバーがキャッチアップして活躍できる機会も多く生まれている。私たちは、新しいメンバーの誕生を心待ちにしています。

清水:本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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提供:EY Japan株式会社
制作:FNNプライムオンライン編集部
文:正木伸城