文部科学省が、去年12月に行った「英語教育実施状況調査」の結果が発表された。この調査は、毎年12月に全国の公立小中高校を対象に行われているもので、一昨年は新型コロナの影響により中止となっていた。

英語力向上も 都道府県で大きな差

調査結果によると、政府が目標とする水準の英語力に達している割合は、中学生で47.0%、高校生で46.1%だった。政府の目標には届かなかったが、2011年以降、上昇傾向にあり、前回の調査よりも向上していた。

政府目標とは、中学生については、中学校卒業段階で、英検3級相当以上が50%、高校生については、高校卒業段階で英検準2級相当以上が50%だ。

都道府県・指定都市別に見ると、中学生の英語力は埼玉県さいたま市が1位(86.3%※)、最下位は佐賀県だった(31.9%※)。高校生の1位は福井県(59.6%※)、最下位は福島県(36.3%※)と、地域によって大きな差があることも明らかになった。(※政府が目標とする水準の英語力を持つ割合)

なぜ、さいたま市の英語能力は高いのか?

語学の習得には実際に話すことが不可欠。この点で調べたところ、さいたま市の全ての小学校では、「授業の半分以上」の時間が、生徒が英語を話すことに使われていた。これは全国1位だ。また、中学校と高校でも90%を超えていた。さいたま市の英語能力はなぜ高いのか?

文部科学省の担当者は、「さいたま市は小学校1年生から中学校の9年間で一貫したカリキュラム「グローバルスタディ」を実施していて、言語活動を重視している。さらに、すべての授業で複数の教員による指導を行っている、担任とALT(外国語指導助手)や担任と専任講師など2人や3人体制で指導を行っている」と指摘した。こういった教育の成果が、子供の能力にも反映されているとみられる。

英語免許状を所有する教員 わずか7.5%

小学校では、英語教育を学級担任が行っているケースが多い。文部科学省は、英語の授業を担う教員に「中・高等学校英語免許状」の取得を促している。しかし、この資格を持っている教員は全体の7.5%で2万3080人。前回調査時の6.3%よりも改善されたものの、決して高い水準とは言えないという。

中学校の英語教師については、英検準一級程度以上を取得しているのは40.8%、高校では74.9%で、政府が以前に目標としていた「中学校で50%以上」、「高校で75%以上」には届かなかった。文部科学省は「生徒の英語力向上には、英語による言語活動時間と教師の英語力の2つが影響を与える」としている。

社会部
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