環境に優しい一足が、人気ブランド「コンバース」から誕生した。一見なんの変哲もないように見えるこちらのスニーカーだが…

「ALL STAR NOKORIZOME」(ブルーベリー)
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鮮やかな紫色の生地は、長野県軽井沢町の食品メーカーで出た「ブルーベリーの搾りかす」で染められたものだ。

ジュースに並び…スニーカー!?「もったいない」きっかけに結びついた縁

軽井沢で人気の、ジャムやジュースを販売する「沢屋」を訪れた。ジャムやジュースに混じって商品棚に並んでいるのは、スニーカーだ。

客:
かわいらしいですね、色も
客:
すごいきれいです、紫が入って。すごい爽やかでいいなと思います

鮮やかな紫色のスニーカーは、アメリカ発の人気ブランド「コンバース」が3月からオンラインで販売している「ALL STAR NOKORIZOME」(ブルーベリー)だ。(ハイカット・ローカット共に9900円)

このスニーカー、商品名からもわかるように、実は…

沢屋・古越義隆取締役:
弊社のブルーベリージュースの搾りかすを使いまして、このシューズを作りました

「沢屋」では、小諸市や佐久市で生産される、新鮮なブルーベリーを使った商品が人気だ。今回の染色に使われたのは、そのジュースの製造過程で出た「搾りかす」である。

沢屋・古越義隆取締役:
年間使う生のブルーベリーは20トンから30トン、そこから出る残さ(=搾りかす)は20キロから30キロほど。
今までは使い道がなかったので処分していた。もったいないなと思っていた。冷凍加工はしてないので…

使いみちを思案していた10年ほど前、「残さ」を染料にしている工場を紹介された。以来、沢屋は搾りかすを提供している。

「洋服を大切に」伝えるため…染色法を独自開発 

取材班は実際に、その染色工場を訪れることに…

向かった先は、岐阜県大垣市にある創業130年の染料整理加工会社「艶金(つやきん)」。
搾りかすの利用を思いついたのは、社長の墨勇志さんだ。きっかけは、アパレル業界でも進んだ大量生産・大量廃棄への違和感だった話す。

艶金・墨勇志 社長:
「洋服を大切にするべきだ」とのメッセージ性をもつ染め方を模索し、2008年頃、食品工場で使い終わったものからもう一度色素を出して、布地を染めるということをスタートした

そうして「のこり染」という染色方法を独自開発した。
ブルーベリーの他、こしあんを作る際に出る小豆の皮や、ワイン作りで出るブドウの搾りかすなどの「残さ」を利用している。

実際に工場の中に入り、ブルーベリーで染める現場を見せていただいた。

艶金・中山貴晴 取締役:
沢屋さんからいただいたものを乾燥させて、水分を取ったものです

「艶金」で乾燥させ水分をとったブルーベリーの搾りかす

記者:
ほのかにブルーベリーの香りが残っています

搾りかすを100度の熱湯で煮だし、染料を抽出する。それを特殊な液体と共に機械に入れ、布を染めていく。

記者:
クリーム色だった布が、徐々にブルーベリーの色に染められてきています

艶金・染料担当 山本健二 課長:
この機械の中には約40mほどの反物が入っていまして、染料入れましたので、今から100度までゆっくりと温度を上げて、最終的には2時間から3時間ほどできれいなブルーベリー色に染まっていく

この工程を数回繰り返し、乾燥させると…生地がきれいなブルーベリー色に染め上がった。

発色の良さは、実が新鮮だからこそ。現在、12種類の残さで染めているが、この色が一番人気なんだそうだ。

「艶金」では縫製作業もしていて、タオルや鍋つかみ、御朱印帳ケースなど10種類以上の商品に加工している。

ブルーベリー色の生地を使った商品

艶金・墨勇志 社長:
紺色に染めるっていうのは結構難しくて、染めむら、染まっているところと染まっていないところができちゃったり、染めるたびに色が変わったり最初はあったけど、なんとか克服して納めることができた

こうした技術や環境への配慮が今回、コンバースの目に留まったということだ。

ブルーベリーの搾りかすで生地を染めたスニーカーとブルーベリージュース

艶金・墨勇志 社長:
コンバースのシューズはもともとすごく好きだったので、そのシューズにわれわれのブルーベリーカラーが採用された時は本当に感動した

食品業界とアパレル業界、分野の違う2つの会社がタッグを組んだSDGsな取り組み。両社とも「もったいない」のメッセージを多くの消費者に届けたいとしている。

沢屋・古越義隆 取締役:
次世代につながる一歩として沢屋がエントリーできたのはうれしく思っている

艶金・墨勇志 社長:
食べるものも、洋服も、シューズも、大切に使っていこうというふうに思っていただける消費者が少しでも増えるとうれしい

(長野放送)

長野放送
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