生活する上で欠かすことができない存在となりつつあるスマートフォン。多くの人が毎日、利用していることだろう。

そんな中、NTTドコモが3月4日、YouTubeで「iモード卒業公演」というタイトルの動画を公開。2026年3月に「FOMA」と「iモード」がサービス終了となることから、かつてガラケーを使っていたユーザーに感謝を伝えようと企画した。
 

動画冒頭は誰もいないがらんとした体育館からスタートする。ブザーが鳴ると幕が開き、「iモード卒業公演 音楽・STUTS」というテロップと共に、卒業生に見立てた歴代の400台以上のガラケーがステージ上に姿を現す。

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その1台から着信音でメロディが鳴ると「初めて会った日のこと、覚えてる?」とメールを打つときのようなテロップが表示された。

着信音のメロディは卒業式の定番曲「仰げば尊し」で、当時の思い出シーンへと移り変わっていく。

デートに誘ったメールの返信が来ていないかセンターに何度も問い合わせたり、「バリ3」ではなく電波状況の表示が悪いとアンテナをのばして端末を振るなど、今では見かけることがない懐かしい光景だ。

思い出のシーンは、さらに続いていく。

メールに返信すると「Re:」の文字が件名に表示される。とめどなくやりとりを続けていると件名にはいつの間にかReの文字がたくさん並び、何度も返信していたことがわかるのだ。これには「朝までメール、楽しかったね!」とのテロップが出ていた。

その他にも「着メロ作り」「赤外線通信」「大きいストラップ」「電池パックの裏にプリクラ」など、懐かしい当時のガラケーにまつわる思い出が登場。

最後は、愛用したガラケーをテーブルに置き、新たにスマホを手に取る女性の姿。そして、ガラケーの画面に「本文:ありがとう」との文字が表示されていた。

なお動画内で流れる楽曲は、歴代のガラケー着信音や動作音(開閉のパカパカ音、カメラのシャッター音など)をアレンジして「仰げば尊し」と「歓喜の歌」にしたという。

スマホを使うようになった今では体験することがない、懐かしい“あるある”体験やガラケーと共に過ごした思い出が動画に込められていた。

着信音は歌声、音楽とリアルさがこだわり

ガラケー世代に響く”あるある”満載の動画だったが、なぜ400台以上も使った“卒業公演”風の演出となったのだろうか?また、動画の見どころについては? NTTドコモの担当者にお話を伺った。

ーー「FOMA」と「iモード」について改めて教えて

「FOMA」は、2001年10月に世界に先駆けて第3世代移動通信サービスを開始し、384kbps(2001年当時)の通信で、より大容量な動画やゲームなどをお楽しみいただくことが可能となるなどご好評をいただき、2011年には約5700万契約を突破いたしました。

「iモード(R)」は1999年2月にサービスを開始し、携帯電話から9600bps(1999年当時)の通信速度でインターネットを楽しむことや、電子メールの送受信ができる機能がご好評をいただき、2010年7月に約4900万契約を突破するなど、多くの方にご利用いただいてまいりました。


ーーなぜiモードとFOMAは終了するの?

5Gに経営資源を集中するため、FOMA・iモードを終了いたします。個人のお客さまのみならず、法人IoTでも多く利用いただいており、4Gへの移行には時間がかかることから、25年度末に終了することとしました。

着メロ作り
着メロ作り

ーーなぜ“卒業公演”風の動画を作ろうと思った?

多くのお客さまにご利用いただいてきたことへの感謝を伝えるには「携帯電話自身が感謝の卒業公演をする」というかたちが一番だと考えました。着信音を歌声と捉え、着信音をアレンジして「仰げば尊し」を奏でています。


ーー動画の見どころとこだわりを教えて

平成あるある映像だけではなく、当時の携帯電話とお客さまのドラマを感じてもらえるようにリアルさを大切にしたいと思いました。どんな時間も共に過ごした思い出を描くため、良かった出来事ばかりでなく大変だったこともシーンに入れています。

STUTSさんによる、着信音を使った音楽にも是非注目してほしいです。ノスタルジックであり、華々しくもある、心に沁みるメロディに仕上げていただきました。

かつて自分が使っていたものを見つけて

ーーこれだけの機種を揃えた理由は?

少しでも多くの携帯電話を登場させることで動画を見た人に、かつて自分が使っていたものを見つけてほしいという狙いもありました。


ーーガラケーならではの良さは何?

外観に個性や特長があります。形もストレートタイプ、折り畳み、スライドして開くものや画面を横に回転できるもの等があります。また、ボタンによる操作や、耳や口にフィットする安心感、コンパクトな形状で持ち運びやすい等といったお声をいただく事もございます。

今回の動画を投稿して以降、TwitterやYouTube上で、自分が使用していた携帯電話が登場した、どのメーカーを愛用していた等、機種への思い出の投稿も多くいただいております。


ーー社内の反応を教えて

社内での反響も非常に大きく、30代以上のガラケーを利用してきた世代の社員からはもちろんですが、20代のガラケーをほとんど利用したことのない世代の社員からも「このような歴史があったんだ」など、この映像を通じて親や祖父母との会話が生まれた等のコメントをもらいました。

20代後半の筆者は高校入学とともにガラケーを使い始めたが、動画を見ると当時の懐かしい思い出がよみがえる。

NTTドコモによると現在の契約者数は「FOMA」1,265万、「iモード」302万だという。(2021年12月31日時点)
現在はほとんどスマートフォンに置き換わり、こうした文化や思い出は少しずつ忘れてしまうものだが、動画を見て当時を振り返ってみるのもいいかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。