居酒屋メニューや弁当のおかずで定番の“鶏の唐揚げ”。「唐揚げ専門店」も増えていて、ジューシーで美味しいが、唐揚げというと豚肉や牛肉を使うことが少ないように思う。

他の肉もある中、なぜ唐揚げは鶏肉を使うことが多いのだろうか。

鶏の唐揚げ
鶏の唐揚げ
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まずは、改めて唐揚げの定義について確認したい。唐揚げが一番好きで唐揚げを食べると幸せになれる人たちによって組織された団体「日本唐揚協会」によると、唐揚げの定義は次の通りだ。

揚げ油を使用した調理方法、またその調理された料理を指す。 食材に小麦粉や片栗粉などを薄くまぶして油で揚げたものです。一般的に唐揚げの具材は、鶏肉の唐揚げを想像する方は多いと思いますが、決して限定しているわけではありません。魚の唐揚げも、野菜の唐揚げも、鶏以外の肉の唐揚げもすべて唐揚げです。

ちなみに唐揚げとよく似ている“竜田揚げ”との違いだが、同協会によると、数十年前は醤油・みりん・片栗粉と竜田揚げ粉を使ったものが竜田揚げと呼ばれていたが、現在では前述の調味料を使って唐揚げを作ることも多くなり、定義が曖昧になっているとのことだ。

豚肉や牛肉は硬い唐揚げになる

唐揚げの定義の中に、牛肉や豚肉を使ったものも含まれることは分かった。ではなぜ、このような肉を使った唐揚げが少ないのだろうか。応用生物化学や食品化学を研究する北里大学獣医学部動物資源科学科の有原圭三教授にお話を伺った。


ーーなぜ唐揚げは鶏肉が多い?

美味しく比較的安価ということもあると思います。理由は4つあります。コラーゲン含有量が少ないので加熱調理された際に硬くなりにくく、水分量が多いため、ジューシーな食感になります。鶏肉の脂質の融点が低いため冷めた状態でも美味しく、牛肉・豚肉のように味の主張が少ないので淡泊な味で調味しやすいからだと思います。


ーー唐揚げに豚肉や牛肉が使われることが少ないのはなぜ?

上記したように鶏肉を使うと美味しく、豚肉や牛肉だと、硬くパサパサした唐揚げになるからだと思います。

画像はイメージ
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ーー唐揚げを作る際に豚や牛の肉を柔らかく方法はある?

パパインという植物性のタンパク質分解酵素が肉を柔らかくすることが出来ます。パパインが入った唐揚げ粉を利用すれば、牛肉や豚肉も柔らかくすることができます。

 

唐揚げに鶏肉が多く使われる理由はコラーゲン含有量の少なさ、水分の多さ、脂質の融点の低さ、味が淡泊で調味しやすいという4つの理由があった。

パパイン入り唐揚げ粉で豚肉と牛肉の唐揚げを作ってみた

有原教授によると、パパインという成分が入った唐揚げ粉を使用すると豚肉や牛肉でも柔らかくできるという。そこでパパインが入った唐揚げ粉を使って実際に唐揚げを作ってみた。

パパイン入りのから揚げ粉
パパイン入りのから揚げ粉

実際に食べてみると豚肉、牛肉ともに鶏肉と比べるとやはり水分は少ないが、そこまで硬さは気にならなかった。パパインが入っていない唐揚げ粉でも作ってみたが、確かにそれよりは硬さは軽減していた。

左:牛肉の唐揚げ 右:豚肉の唐揚げ
左:牛肉の唐揚げ 右:豚肉の唐揚げ

筆者の感想としては、鶏に比べて食べ応えがあり、油分の多いものを食べたいときにはいいかもしれない。鶏の唐揚げを作るときと同じように揚げたが、牛肉は衣が剥がれやすく少し難しく、美味しく揚げるのには一手間が必要なようだ。

プライムオンライン編集部
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