鳥取・伯耆町の雪深い山間にある建物で、10年以上続いてきた「どぶろく造り」が、コロナ禍や高齢化により、存続の危機に瀕している。
そんな中、Uターンした若い女性が、事業を受け継ぐことに。
継承する側、される側…双方の思いを取材した。

鳥取・伯耆町の雪深い山間にある「どぶろく上代」の醸造所
鳥取・伯耆町の雪深い山間にある「どぶろく上代」の醸造所
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どぶろく特区認定 小学校跡を活用し醸造所に

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
雪の深いところにある、趣深い建物ですね

上代・住田和穂代表:
ここは今から14~15年前、二部小学校・福岡分校という学校の跡。廃校となった建物です。どぶろくという酒を作ってきた

ここで造られているのが、どぶろく。

2009年に伯耆町全域が、どぶろく特区に認定されたことをきっかけに、地元有志で会社を設立。
小学校跡を活用して、醸造所を開設した。

伯耆町で作った酒米を蒸し、麹と合わせて約1カ月かけて発酵。
できあがったどぶろくを瓶詰めする。

これらすべての工程を、地区の住民だけで行ってきた。
最盛期には、年間3,000本を製造。
鳥取県西部の道の駅やスーパーなどに卸し、今では地元で愛される存在になっている。
さらに、廃校となった校舎を食堂として活用するなど、地域の賑わいの拠点にもなっていた。

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
ここでまさに造っていたんですね。どのような思いでどぶろくを造ってこられたのですか?

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん
JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん

上代・住田和穂代表:
地域を盛り上げたい、それが一番です

存続の危機に…1人の女性が縁つなぐ

しかし、設立から約12年、存続の危機が。

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
今も稼働されてるのですか

上代・住田和穂代表:
去年12月に、ここを閉じようと思った

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん(左)に「どぶろく造り」の思いを語る上代・住田和穂代表
JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん(左)に「どぶろく造り」の思いを語る上代・住田和穂代表

中心メンバーが80代と高齢化。
さらにコロナ禍の中、売上が3割減少。

2021年12月をもって、どぶろく造りをやめるつもりだった。

上代・住田和穂代表:
続けられるものなら続けたいという思いはあったけど、このあたりが潮時じゃないかと

そんな中、1人の女性が縁をつないだ。

遠藤みさとさん:
無くなると聞いて、すごく寂しくて、なにか自分にできないかなと思って

米子市出身の遠藤みさとさん
米子市出身の遠藤みさとさん

米子市出身の遠藤みさとさん。24歳。
大阪の大学を卒業後、いったん就職したが、2021年に米子市にUターン、コンサルタント業をしている。

父親が創設メンバーの1人だったため、酒米の田植えに協力するなど、子どものころから、どぶろく造りに関わっていた。

子ども時代の遠藤みさとさん
子ども時代の遠藤みさとさん

それがなくなるかもしれないと知り、後継者に名乗りをあげた。

若い世代が引き継ぐ…地域の活性化につなげる

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
どうして、このどぶろく造りを引き継ぎたいと思われたのですか?

遠藤みさとさん:
幼いころ、酒米の作付を地域の人としていたが、地域の人達と一緒に作り上げるとか、この上代で地域を盛り上げられないかなと

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
遠藤さんの熱い思いを聞いて、どう感じますか?

上代・住田和穂代表:
伝統を守ってもらえるなら譲ろうということで、やめることをやめた。どぶろく上代が残るのであれば、地域の活性化につながるので、それは非常にありがたい

遠藤みさとさん:
まずは最低限として、味を引き継ぐことが第一の目標。さらにファンにしっかり届けることが目標です

JALふるさとアンバサダー・真辺麻未さん:
今後の展望はありますか?

遠藤みさとさん:
若い世代が入ることで、新たな販路とか通販とか、SNSも活発にしていきたいし、今まであった思いを引き継ぎつつ、新しいことができれば

地域おこしとして始まった、どぶろく造り。
若い女性が住民の思いを引き継ぎ、新たなステージに進もうとしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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