卒業アルバムを年間約100万冊制作する大手メーカーのダイコロが、デジタル時代に対応した“世界初”という卒業アルバムを発表した。
それが、スマホ・タブレットで見る「卒アルモバイル」。

(出典:ダイコロ)
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ダイコロのリリースによると、昨今のコロナ禍によって「マスク姿の写真ばかり」「学校行事が中止や規模縮小になった」など、卒業アルバムの制作は苦労が絶えないという。
また従来の紙の卒業アルバムには、アルバム代金の集金や、掲載写真に問題がある場合の刷り替えなど、様々な手間がかかるという課題があった。

一方、学校ではGIGAスクール構想などでデジタル化が進み、自分専用のスマートフォンを持っている生徒は増えつつある。
こんな時代にフィットする卒業アルバムが「卒アルモバイル」だという。

「卒アルモバイル」とは、クラウド上に写真・動画データを保管する卒業アルバムプラットフォームのことで、閲覧するには「Touch&」というスマホ・タブレットアプリを使う。
「Touch&」を開くと縦に「Official」や「Original」などの区分けが並んでおり、この「Official」の中に学校が提供する卒業アルバムが収まっている。

Touch&の画面(出典:ダイコロ)
Touch&の画面(出典:ダイコロ)

アルバムを開くと、今度は横スクロールでコンテンツが展開する。
写真だけでなく、動画や音声を使うことができるので、一人ひとりの肖像を動画にしたり、「贈る言葉」や寄せ書きならぬ「寄せボイス」など、スマホの機能を生かした内容を盛り込むこともできる。

卒アルモバイル画面(出典:ダイコロ)
卒アルモバイル画面(出典:ダイコロ)

「卒アルモバイル」はクラウド上、もしくはダウンロードして閲覧することができ、さらに遠くに住む祖父母に見てもらうなど、5つのアカウントまで共有可能。
気に入らない写真や動画を入れ替えたり、スマホの中にある写真を加えるなどして、自分だけのアルバムも作れるという。

さらに「Touch&」アプリには、幼稚園から大学までの「卒アルモバイル」を収めることが可能で、各年代のアルバムを好きなときに自由に見られるとしている。
代金はネット決済に対応しており、また、問題がある写真はデータを差し替えるだけで済むので、従来のアルバムにあった様々な手間がかかるという課題も解消されているそうだ。
 

「卒アルモバイル」は4月1日から受注を開始し、実際に卒業アルバムとして見られるようになるのは来年の卒業シーズンからになるという。

ところで、このサービスはどういった点が「世界初」なのか?保存した写真は永久に見ることができるのか?ダイコロの担当者に聞いてみた。

時間の流れを表現するために横スクロールにこだわった

――卒アルモバイルではなにが「世界初」なの?

学校公式の卒業アルバムすべてをデジタル化し、卒業アルバムに特化した表現方法で動画や音声も掲載したコンテンツを商品提供するところです。
さらに、クラウドサービスの特長を生かして、自分だけの卒業アルバムに作り変えることができるというところもです。

写真や動画をクラウド管理して閲覧するサービスとは異なります。また、電子ブックのように紙のアルバムをページめくりするタイプのデジタル化ではなく、卒業アルバムの一部の写真に動画リンクや仮想現実などのサービスを付加したものとも異なります。
 

――写真はず~っと閲覧できる?

もちろん、永続的にサービスを提供していき、これからのデジタル技術の進歩とともに進化していく予定です。このサービスではクラウド環境とダウンロードによる閲覧を準備しますので、スマホやタブレット内にコンテンツを収めることもできます。弊社に万一の事態が起こった場合でも、端末で閲覧できるデータを残せるようにする方針です。
このようなサービスの場合によく聞かれることで回答の難しい質問ですね。
 

――最近のSNSは縦スクロールが多いが、なぜ「卒アルモバイル」は横スクロール?

「卒アルモバイル」では学校で過ごした時間の流れを表現するために横スクロールにこだわりました。絵巻物をどんどん広げていくように展開していくことをイメージしています。
また、写真は横位置が多いため、写真をより大きく見せることもできます。
 

――「卒アルモバイル」の反響は?

「卒業アルバムが変わる!」「私たちの時代には考えられなかった」という声を多くいただいています。
画面を横スクロールするだけでどんどん展開するコンテンツ、随所に掲載されている動画がスムーズに動いていることに驚かれています。
 

紙の卒業アルバムの今後は

――紙の卒業アルバムはこれから減っていく?

いつでもどこでもスマホさえあれば見ることができる「卒アルモバイル」と、ずっと大切に保管したい「卒アルブック」(紙の卒アル)は並存すると考えています。
ただ、今後のライフスタイルの変化やデジタル技術の進化によって紙の卒アルが減少することも想定しています。
 

――今、コロナ禍の卒業アルバム作りは「マスクの写真ばかり」や「学校行事縮小」問題にどう対応している?

現状の卒業アルバムでのスナップ写真はどうしてもマスクのままのものが多いですが、集合写真や個人写真(ポートレート)は、短時間、マスクを外して撮影されています。
撮影するときのみマスクを外し、話すことを控えるように注意をするなど工夫されています。

行事が中止や縮小になった場合には、スクールライフを掲載されることが多くあります。日常の登下校や授業風景、お昼休みなども大切な学校生活の思い出です。校舎やふるさとの風景、企画ページを入れられることもあります。
また、卒業アルバムを卒業式に渡すのではなく、卒業式直前の行事や卒業式も撮影することで掲載行事を増やして、卒業後に納品することもおすすめしています。

写真入れ替え中の画面(出典:ダイコロ)
写真入れ替え中の画面(出典:ダイコロ)

もしあなたが卒業アルバムの形を選ぶとしたら、クラウド?、それとも本だろうか?
ダイコロによると、もちろん「卒アルモバイル」だけでなく、希望に応じて紙のアルバム「卒アルブック」のみの注文や、両方の購入も選択できるとしている。
 

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。