「一票の格差」が最大2.08倍となった、2021年10月の衆院選は、投票価値の平等を求める憲法に違反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めていた裁判で、東京高裁は、「合憲」と判断して、請求を棄却する判決を言い渡した。
選挙区によって有権者の数が異なることから、議員1人を選出するための一票の重みにも差が生じる。これが「一票の格差」と呼ばれる現象。前回の衆院選では、議員1人当たりの有権者数が最も少なかった鳥取1区と、最も多かった東京13区では、「2.08倍」の格差が生じた。
前回の選挙を受けて、2つの弁護士グループが、全国14の高裁・支部に、「2.08倍」の格差は違憲として一斉提訴。高松高裁が、1日、初めて判決を言い渡し、「違憲状態」と判断したものの、選挙無効の訴えを退けていた。今回の東京高裁が2例目の判決となる。
「一票の格差」めぐって、過去の裁判では、「著しく不平等な状態か」「格差の是正が進められているか」などをもとに、憲法判断がなされてきた。
最高裁は、一票の格差が2倍を超えた、2009年、2012年、2014年の衆院選については「違憲状態」と判断。しかし1.98倍だった2017年の選挙については「合憲」と判断した。「一票の格差」が2倍を超えるかどうかが、憲法判断の一つの目安とされている。