正月おなじみの「お餅」。世帯あたりの支出額は、富山市が全国の政令指定都市や県庁所在地の中で1位となっている。支出が多い背景には、今から50年以上前に開発された、富山ならではのコメの品種も関係していた。

スーパーマーケットを訪れると、お餅が特売されていた。富山市が支出額1位を誇るのは、大量に積まれているこの餅だ。

売り場に並べられたたくさんの餅
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総務省の家計調査によると、世帯あたりの餅への支出額(2020年)で、富山市は全国の政令指定都市や県庁所在地の中で1位。日本一餅好きな地域と言っても過言ではない。

世帯あたりの餅への支出額は日本一

買い物客:
なくなったので(買いに来た)。お正月に食べてしまったので。

(Q.年中、餅を食べている?)
だいたい、食べている

(Q.よく食べる?)
買い物客:

夫が豆餅を焼いたのが好きで、きょうもリクエストがあったものですから。夫は、一度に5個もちを食べる

買い物客:
おやつとして(餅を)食べる

買い物客:
(富山には)昔の風習が残っている

なぜ日本一? “餅のプロ”が語る理由は

富山市の餅支出額がなぜ多いのか、スーパーの店長が語った。

大阪屋ショップ赤田店・根建修店長:
手軽で食べやすいし、個包装になっているので、そういった部分が支出額トップの理由だと思う。チンしてすぐ食べられるので、そういった部分がつながっているのではないか

大阪屋ショップ赤田店・根建修店長

ちなみに、富山はカレールウの支出額でも全国1位だ。「手軽さ」が、富山県民の心をつかんだ最大の要因なのだろうか?

新たな見解を求めて富山市の餅屋を訪ねると、餅のプロならではの意見を聞かせてくれた。

石谷もちや・石谷悦男社長:
富山には「新大正もち」という、おいしいもち米の品種があるのが一番の理由だと思う。富山県だけ独自の品種で、おくて(収穫が遅い)品種なので、あまり全国的には流通していない

石谷もちや・石谷悦男社長

「新大正もち」は、スーパーで並んでいた餅のパッケージにも大きく書かれていたが、この品種を使った餅は、富山以外ではなかなか手に入らないという。

パッケージには「新大正もち」の文字が

県によると、新大正もちは、コシヒカリの誕生から5年後の1961年に開発された県独自のもち米で、今では県内で作られるもち米の7割を占めている。

石谷もちやによると、こしや甘味の強さが特徴で、流通はほぼ県内のみ。この品種を目当てに、わざわざ富山で餅を買う人もいるという。

専門家「県民は“日本人の中の日本人”」

雑煮に入れても簡単にはふやけないコシの強さは、富山県民の粘り強さと通じるものもあるのかないのかはさておき、専門家にも見解を聞いた。

日本人の暮らしについてくわしい、同志社女子大学の中井精一教授は、2021年3月まで在籍した富山大学で県内の雑煮の地域特性について研究した。

同志社女子大学表象文化学部・中井精一教授:
富山県のお雑煮をみていても、やはり伝統の継承に力が入っているし、皆さん、けっこう大事だと思っている。日本というのは、お米を作るようになって今の日本人になっていく

同志社女子大学表象文化学部・中井精一教授:
お餅というのは、日本文化の核心中の核心になるものなので、日本人の伝統的な暮らしぶりというのが、富山の人たちの暮らしに象徴的にあらわられている。まさに富山県民というのは日本人の中の日本人と言えるのではないかと、(支出額1位の統計を見て)思った

同志社女子大学表象文化学部・中井精一教授

中井教授によると、日本で米は古くから神様の恵みとされ、特にもち米でつく餅は特別な存在で、餅の支出額1位には、伝統を重んじる県民性が非常によくあらわれているということだった。

富山は、3世帯同居率も全国5位と上位なので、世代を超えて伝統的な風習が伝わる家庭環境も関係しているかもしれないと話している。

(富山テレビ)