テレビ長崎では、長崎県内でSDGsに関する取り組みを続けている人たちや企業を紹介。
今回は、SDGsが掲げる17の目標のうちの3番目のテーマ、「すべての人に健康と福祉を」のテーマで取材。

美容師が病院に出張してカット

外出が難しい人に髪を切るサービスを提供する長崎・諫早市の美容室。

美容師・辻本明子さん:
角刈り?短くして?眉毛も?

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患者:
うん、は~い。

室内に軽快なハサミの音が響く。美容師の辻本明子さん。30年以上のキャリアを持つベテラン。

美容師・辻本明子さん:
毎回やってるので、1カ月2カ月にこのくらい伸びましたがどうだったか?とか言いながらしている

辻本さんが髪を切るこの場所は、美容室ではなく病院の中の一室。外出ができない入院患者のために、美容師が病院に行って髪を切る「出張美容室」だ。

出張美容室のサービスを考えたのは諫早市の美容室経営者・黒田将克さん。始めたのは6年前の2015年。利用した人は2021年10月までで、延べ1万人を超えた。これまでに利用した人の髪型の好みもすべて記録している。

ビューティーサロンミチ・オーナー・黒田将克さん:
美容師が切るときにどんなスタイルが似合うかというイメージをする時に、本人の希望と合わせたものができるので。ポイントを押さえて確認してる。

この病院には月に1回、出張している。髪を切ることを楽しみにしている人も多く、入院生活の中で気分をリフレッシュできるいい機会になっている。

愛野ありあけ病院・看護師長野呂勇介さん:
患者さんが細かい注文をしたり、時にはカラーやパーマを注文する人もいる。しっかり応えてもらって助かっている。

どこでも施術ができるよう、美容室の機能を備えた「移動美容車」も用意している。中には、鏡やイス、シャンプー台もある。長崎市や諫早市、大村市など県内各地の精神科などの病院や障害者福祉施設に出向いている。

「美容に対して我慢しない環境を…」

黒田さんは諫早市の半導体メーカーで29年間働いたあと、51歳で早期退職した。もっと人に触れ合える仕事をしたい考え、美容業界へ進んだ。

ビューティーサロンミチ・オーナー・黒田将克さん:
笑顔をもらうことはすごくいい。なかなか外に出られない人が多いが、さっぱりしたとか、気持ちよかったとか言わたり

長崎県によると、精神科病院の入院患者のうち、65歳以上の高齢者の割合は年々増えている。2018年は約64%で、全国平均より5ポイントも高い水準。今後も高齢化は進んでいく見込み。

自分で外出することが困難な患者が、自分らしく生きていくためにどのようなサービスを提供できるのかが課題となっている。黒田さんは年齢や障害のあるなしに関わらず、健康的な毎日を送れるよう手助けを続けていきたいと考えている。

ビューティーサロンミチ・オーナー黒田将克さん:
今までは美容室に行ってきれいになって喜んでもらったのが、なかなかできなくなったら、みなさん我慢する。我慢をせずに(髪を)切りたいと思ったら電話もらえると、お客のニーズにあったところに我々が行って切る。美容に対して我慢をしなくていい環境ができればいい

使っている移動美容車は、元々は岩手県でマイクロバスとして使われていた。
しかし2011年の東日本大震災で被災し、黒田さんが内部を改装して美容室の機能を備えた車両に生まれ変わった。
黒田さんは、「災害を経験したこの車が走り続ける限り、出張美容室のサービスを届けていきたい」と話している。

(テレビ長崎)

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