歴史ある温泉街に吹く「新たな風」。
長くコロナの影響が続く、長野・山ノ内町の渋温泉。ただ、この窮地は新たなことを始める機運を高めていて、先日、学生に温泉街の課題解決に取り組んでもらうイベントが実施された。

「源泉見学ツアー」…渋温泉の魅力を見つめ直して

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高く噴き出したお湯。温泉の「源泉」だ。

歴史の宿 金具屋・西山平四郎社長:
これはね、70メートル下で温泉が爆発しているんですよ

1300年の歴史を誇る山ノ内町の渋温泉。

「源泉かけ流し」の温泉

湯量が豊富で、旅館やホテルの温泉は全て「源泉かけ流し」だ。

その源泉を巡ってもらう「見学ツアー」が6日から始まった。こちらの旅館では、社長自らガイドを務めた。

歴史の宿 金具屋・西山平四郎社長

歴史の宿 金具屋・西山平四郎社長:
この白っぽいやつは、湯気に含まれている成分がついている。(温泉の)飲用の許可が取れているので毒ではない

温泉の成分が固まってできた「塩」。ちょっと舐めてみると…

参加者:
ちょっとしょっぱくて、すっぱくて、渋くて…のどがイガイガする

歴史の宿 金具屋・西山平四郎社長:
口の中、歯茎についている「渋み」が「渋温泉」の名前の由来

こうした催しやツアーはこれまで各旅館で行われてきたが、今回は初めて地元の旅館組合が主催した。

渋温泉も新型コロナの影響が深刻だ。
ただ、このピンチは温泉街全体で新たなことを始めるきっかけになっている。

渋温泉旅館組合・山田和由組合長

渋温泉旅館組合・山田和由組合長:
人が動けるようになったときに渋温泉の強み、魅力は何だろうと。コロナになって大変だったからこそ、もう一回見つめ直すことができた

ITを活用して課題解決「温泉ハッカソン」

パソコンと向かい合う若者たち

12月4日、温泉街にはパソコンと向かいあう多くの若者の姿があった。

大学生:
おすすめの店などがあれば、データを表示してあげる。それでどうにか活性化につながればと、そういうアプリを

都内の大学生などが参加したイベント、その名も「温泉ハッカソン」だ。
ハッカソンとは、技術開発の「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語。

短期間にITの力で課題を解決するイベントで、都内の企業を通じて開催にこぎつけた。

参加したのは10チーム、58人。2泊3日の間に、チームごとに異なる温泉街の課題に取り組んだ。

外湯の利用者数をスマホで確認できるように…

こちらのチームが向かったのは、9カ所ある外湯のうちの「大湯」。小型のカメラを設置し始めた。

カメラを設置

大学生:
外湯の混み具合をウェブ上で見られるようにしてほしいというのがあって、何人ぐらい入っているかを観測する

「外湯巡りをスムーズに」という課題を受けて、利用者の数をスマホで確認できるようにするというアイデアだ。

人が通るとカメラが感知し、数値化する。アイデアは良かったものの…

大学生:
入っていってガチャガチャと開けたときに、自分の体が映って退室のカウントもされてしまう

改良・改善の余地が残った…。

大学生に力をつけてもらうのが本来の目的だが、温泉街にとっては実際に抱える課題に若者たちのアイデアを出してもらう、またとない機会だ。

渋温泉旅館組合・山田和由組合長:
人的な負担もあったりして、人手不足の部分とか、なかなか地元にいる人間だけで出し合ってもアイデアが広がっていかない部分もある

温泉の温度管理を省力化したい…

大きな課題の一つが、人手不足に起因する「省力化」だ。

古久屋・山口将さん:
今見たら41度だったので悪くはなかったが、この時期 寒いのと、露天なのでもう少し温度を上げたいなと

温泉の温度管理は大事な作業の一つ。ほとんどの旅館が人の手で行っていて、こちらの旅館では少なくとも3時間ごとに館内7つの温泉を従業員が回ってチェックしている。

古久屋・山口将さん:
手はかかります、正直、温泉は

「温度管理の省力化」に取り組んだ

こちらのチームは「温度管理の省力化」に取り組んだ。

大学生:
何回も温度を測りに行かなければならないというのに注目して、温度を遠隔から見られるスマホで実現できたらなと

今回だけで実現するのは難しい課題だったが…

測定した温度の表示

大学生:
48度、エラーではない。エラーだったら85って出るから

ひとまず、温度の測定まではできるようになった。

大学生:
きょうの朝の時点まで温度が測れなかった。それがちゃんとできるようになったのはうれしい

若者のアイデアが刺激に

最後に旅館関係者の前で、各チームがアイデアの実現性・実用性などをプレゼンテーションした。

渋温泉旅館組合・石坂大輔副組合長:
勉強になったというのはある。地元の人だけでは考えつかなかったアイデアというのがあって、それを今回、学生が気づかせてくれた

渋温泉旅館組合・山田和由組合長:
励みになるし、われわれももっと頑張らなくてはいけない部分もあるし、ぜひ一緒に一つでも二つでも実現したい

学生は…

大学生:
2時ぐらいまでずっとパソコンをカタカタやってたのできつかった。でも楽しかった

大学生:
実用的になる一歩前進は私たちでできたとは思うので、また同じようなことがあれば私たちのアイデアも使ってもらって、さらに改良してもらえるとうれしい

長引くコロナ禍。伝統ある温泉街に新たな風が吹いている。

(長野放送)

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