溶けかけた氷を意外な方法で再現した作品が、Twitterで話題となっている。それがこちらだ。
画像を見ると四角形の氷のようなものが土台となる板の上にある。冷凍庫から取り出して時間が経過したのか、半透明で水っぽくなっているように見える。
このままだと完全に溶けてしまうのでは…と思うかもしれないが、心配する必要はない。実はこの“溶けかけの氷”は土台部分も含めて、木材を彫り出して作っているのだ。
木材の大きさは8センチ×3センチ×5センチで、彫刻刀や絵の具などを使い加工しているという。氷の反射や溶けた部分から木の模様が見えるところまで、丁寧に再現されているのが分かる。
作者のキボリノコンノさん(@kibori_no_konno)がTwitterに投稿すると、完成度の高さが話題に。Twitterユーザーからは「いや、溶けた氷じゃん」「俺の知ってる木じゃない」などの声が寄せられ、3万以上のいいねを集めている。(12月7日時点)
納豆や菓子まで…再現度がすごい!
触れて確かめたくなるほどの出来栄えだが、なぜ氷を木材で再現したのだろう。キボリノコンノさんは他にも納豆や市販の菓子など、ユニークな題材を木彫りで作っているという。制作工程やアイデアの生まれ方などについて、キボリノコンノさんにお話を聞いてみた。
ーーなぜ、溶けかけの氷を木彫りで再現した?
普段から好きなお菓子、好きな食べ物を木彫りで作っていたのですが、それをみた友人に「透明なのとか作れないの」と無茶ぶりをされて、氷を作ってみようと思いました。
ーー主な制作工程を教えて。
ホームセンターで購入したヒノキのブロックをノコギリで切り、土台と四角い塊がくっついた形にします。そこから彫刻刀で板に溶けかけの氷が乗っているような形に彫り、紙ヤスリで木が光るまで磨きあげます。最後に氷の気泡や写り込み、光の反射などをアクリル絵の具、ニス、オイル、パステル、色鉛筆をつかって木に描き込み、完成しました。
ーー作品のこだわりは?氷はどう再現した?
こだわりは板の木目が透けて見えると感じるように、氷と板を一体で作り、木目をいかした点ですね。氷の透明感や光の反射を出すために、まず本物の溶けかけの氷を時間をかけて観察しました。透明で奥から届く光が透けているように氷の手前側を明るく描いたり、ツヤッと水で光っているようにハイライトや外の景色の写り込みも描きました。
ひとつの制作に5~20時間
ーー木彫りの作品制作を始めたきっかけは?
コロナ禍でやることがなくなり、新しい趣味を始めようと2021年9月から木彫りを始めました。彫刻に携わった経験はないですが、子どもの頃から木で何かを作るのが好きで、大人になってからは自分の家の家具を作ったりしていました。
ーーこれまでの作品数と制作時間を教えて。
作品数は今回の溶けかけの氷で22作目です。制作にかかるのはひとつあたり、5時間〜20時間程度ですね。溶けかけの氷は、検討や失敗を含め15時間ほどでした。
ーー作品のアイデアはどのように生まれる?お気に入りの作品は?
誰かを驚かしたい、笑わせたいと思ってアイデアを出しています。スーパーに行って、木でできていたら面白そうな物をよく探しています。お気に入りはうなぎパイを再現した作品です。静岡に住んでいて、お菓子としても大好きなので。
ーーこれまでで制作が難しかった作品は?
苦労したのは、ランチパックを再現した作品です。とにかくパンの気泡の数が多く、10万個以上の気泡を彫りました。
ーー作品が話題となったことへの受け止めは?
自分が作ったものにここまで反響があると思いもしなかったので、とても驚いています。これからも好きなものを好きなように作って、誰かが笑ったり、驚いてくれたらいいなと思います。
子どもの頃から木材で物を作る習慣があったとはいえ、趣味で始めたものが3カ月でここまでの完成度になるとは驚きだ。
溶けかけの氷を木で作ってみました。
— キボリノコンノ (@kibori_no_konno) December 4, 2021
驚いていただけたら是非リツイートお願いします。#木彫り #彫刻 #woodcarving #ice pic.twitter.com/5VCUYznBkp
キボリノコンノさんに聞くと、作品の販売予定はないが、いつか展示会を開くことを夢見ているという。これからの活動に期待したい。
(画像提供:キボリノコンノさん)