全長約1kmと、直線のアーケードとしては日本一の長さを誇る長崎県佐世保市の中心部「さるくシティ4○3アーケード」。この場所に夜、大学生が集まるワケとは?

長崎・佐世保市の中心部「さるくシティ4○3アーケード」
長崎・佐世保市の中心部「さるくシティ4○3アーケード」
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朝は通勤通学、昼は買い物客で賑わう佐世保市中心部のアーケードも、午後9時を過ぎると人通りは少なく、ひっそりとしている。

その夜のアーケードに現れた若者の集団。

ビルの一室へ入っていった。着替えを済ませると、ダンボールや脚立などをシャッターの降りた店の前に運ぶ。

――何をしてる?

学生たち:

シャッターアートです!

長崎県立大学1年生のグループ「Tenjoy」
長崎県立大学1年生のグループ「Tenjoy」

歩くだけでも楽しい商店街に…大学生が集結

店のシャッターにペンキで絵を描くシャッターアート。彼らは長崎県立大学1年生のグループ「Tenjoy」だ。

グループ名には「10人で楽しむ」という意味が込められていて、新型コロナの影響を受ける佐世保のためにできることをと、1年生10人が中心となって2021年9月から絵を描き始めた。

Tenjoy リーダー・髙木麻由さん(1年):
夜の四ヶ町商店街が少し寂しくなって、シャッターが降りている店も増えてしまったので。コロナ禍もありますし、イベントというより、ただ歩くだけでも楽しいと思えるような四ヶ町商店街をつくりたいと思いました

四ヶ町商店街のために
四ヶ町商店街のために

Tenjoy 副リーダー・八尋優花さん(1年):
高校生のときに地域創生の活動を授業でやっていて。企画に興味があって、やりたい気持ちが強かった

このシャッターアートは、地域の活性化に取り組む学生を支援しようと、県立大学が2007年にスタートさせた「やるばいプロジェクト」に採択された。

メンバーは、デザインの考案や絵を描くボランティアを学内で募集し、学部や学年を超えた約20人が集まった。

Tenjoy リーダー・髙木麻由さん(1年):
なかなかコロナで友達とご飯を食べに行ったりとか、遊びに行ったりとかなかなかできない中で、一つのことを何かやり遂げるということを一緒にみんなでできるのは楽しい

キャンパスは老舗婦人服店 学生と店に交流も

5店舗から依頼を受け、店側のイメージや要望を元に描いていく。取り組みを通して地域との交流も生まれた。

デザイン担当 古賀香雪さん(2年):
楽しいですね。描いていて、途中で色々な人に声をかけてもらうんですけど。「上手に描けているね」とか言われてうれしい。大学生になると色々な人と出会う交流の機会がたくさんあるのに、コロナで最初からそれがなかったから、やっと大学生らしいことができるなと思いますね

先日、シャッターに1枚の絵が完成した。キャンパスとなったのは、1923年創業の婦人服店だ。

1923年創業の婦人服店「ベルモード ナカムラ」に描かれたコスモス
1923年創業の婦人服店「ベルモード ナカムラ」に描かれたコスモス

店長が好きな展海峰から見る九十九島の風景とコスモスを描いた。

学生たち:
他のシャッターもたくさん展示しているので楽しんでください。

店側:
うれしいです。ありがとう

ベルモード ナカムラ・佐々木スマ子店長(81):
私たちは考えなかったようなことを、若い人たちがしてくれて本当にうれしかったですよ。四ヶ町商店街の活性化につながれば幸せ

Tenjoy リーダー・髙木麻由さん(1年):
達成感がすごいのと、こんなに喜んでもらえることがうれしい。シャッターアートだけでなくて、佐世保市を活性化できるような、楽しいイベントなどもしていきたいなと思っています

現在、他の店のシャッターアートも制作中で2022年1月中にも完成予定。

今後は、店が配達用に使っているトラックのデザインなどもプロジェクトの一環として行うという。

(テレビ長崎)

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