「アイリッシュ・マン」の時代が信じられないアメリカ

今年のアカデミー賞にノミネートされている映画「アイリッシュ・マン」はアメリカの働き方改革の話でもありますが、50年代60年代当時からアメリカもずいぶん働きやすくなりました。だって今では自分の仕事が終わって帰りたければ定時に「帰ります」が普通。そうして家族揃って毎晩夕飯を食べ1日を一緒に振り返る。偉い人も平社員も「休日出勤いたしません」が当たり前で、週末は好きなことをしたり、家族と過ごす。

「帰ります」「いたしません」「充実したプライベート」が整った環境、それが今のアメリカです。

加えてもう一つのことがアメリカの働き方では普通になってきています。それはテクノロジーの進歩が可能にしたフレキシブルな働き方です。インターネットや携帯にAIで、自分が一番生産性をあげ、効率的に働ける時間と場所で働くことが可能になっています。企業もテレワークやオフィスの中にカフェを作ったりと個人のライフスタイルに合わせて働く環境の提供で個人の能力とやる気と生産性を最大にする努力をしているそうです。

今では「生活に仕事を合わせる」のも普通になっています。この4つは日本の働き方改革が求める姿なのではないでしょうか。

ワーク=ライフという今の若者が求める働き方

そんな今のアメリカで労働人口の3割を占めるミレニアル世代やこれからの社会を牽引して行く大学生は、一体仕事に何を求めているのでしょうか?どんな働き方を理想としているのでしょうか?

年末年始にかけて娘の友人たちがたくさん遊びにきました。そこで来年大学4年生となる同級生たちに「どんな風に働きたいか?」と聞いてみました。彼らの口から出たのは労働時間でも賃金でもなく「働き方で一番大切なことはやりたいことを仕事にする、仕事に意義を感じること」でした。そんな贅沢が叶うなら必要な時には長時間労働をすることも厭わない。だけどそもそもそういう仕事は労働ではなく、Fun、つまり遊ぶように楽しいことだから自分が何時間働くかなんて心配していない。それに今の企業は無駄な長時間労働を強いて生産性を下げるようなことはしないとのこと。そして目指すは仕事に意義を感じて働ける「真に豊かな生活」だそうです。

ミレニアル世代や大学生が求めるのは、まさに今いろんなところで耳にする仕事=労働=賃金ではなく、それ以上を仕事に求める幸せな生活「ワークシフト」や「ワークアズライフ」なのです。

「仕事に意義を感じて働く“真に豊かな生活”」を求める若者たち

制度の次に必要なこと

アメリカの若者を見ていて思うのは、理想的な労働環境とそれが可能にするプライベートライフの後にやってくるのは「仕事に意義を見つける」ということです。意義とは自分の生き方、なんのためにその仕事をしているのか、自分はどう生きるのか、にも通ずることです。

少子化・労働力減少時代に生産性を上げ人として擦り切れてしまわないためには、まずは「帰ります」「いたしません」「生活に働き方を合わせる」「充実したプライベート」を可能にする制度ありき、です。日本の働き方改革はそれを可能にする第一歩となります。

でもその次に必要なのは「意義」。それなくして仕事が単なる労働の域を出ることはありません。人生100年時代は働く時間が長くなるからこそ「意義」が必要なのです。「意義」のない仕事は生きる喜びを高めることはないでしょう。それではワーク=ライフではありません。

そんな第二次働き方改革を可能にするのは「真に豊かな生活」をしているロールモデルです。アメリカにはそんな生活を体現しているロールモデルに事欠きません。だからこそアメリカの若者はそんな働き方を手に入れようとするのです。

管理職に求められるロールモデルの役割

同じように今管理職にある人はこれからの日本を担って行く若者たちのロールモデルとなる使命を背負っています。ここで管理職の皆さんがどう働くか、どう生きるかが人生100年時代をより長い時間働いて行く人たちの指針となるのです。

仕事終わりやプラベートでボクシングを楽しむボークさん

そのためにも「部下を帰らせるからしわ寄せが来て帰れない」と諦める前に、まずは「帰ります」「いたしません」「生活に合わせた働き方」「充実したプライベート」を徹底してはいかがでしょうか?

そんなことをしたら会社が回っていかなくなる?そんな会社は遅かれ早かれ淘汰されます。

そして仕事に意義を見出す。やりたいことを仕事にする。定年後もパッションで活き活きと生きる。そんな姿を是非とも若者に見せてあげてください。日本を前に進めるさらなる働き方改革のために。

【執筆:ICF会員 ライフコーチ ボーク重子】

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