生徒一人一人の理解度に合わせAIが先生となり自分専用のカリキュラムを作成
静寂の教室。
生徒はイヤホンをつけ、タブレット端末に視線を送るだけ。
200もの教室が導入待ち、という新たな学習のカタチとは?
都内の予備校で行われていた集団授業。
タブレットをのぞいてみると、科目や教材は生徒ごとにそれぞれ違う。
これは「atama+」いうオーダーメード型の授業。
生徒一人一人の理解度に合わせAIが先生となり自分専用のカリキュラムを作成、提供してくれる。
AIがつまずきの場所を特定 どこが分からないかを可視化
例えば数学の2次方程式。
理解するまでには小学校の通分や約文などから五十四の単元が複雑に関連していく。
「atama+」では診断テストを行いAIが一人一人のつまずきの場所を特定。
どこが分からないかを可視化してくれる。
必要なところを必要なだけ学習することで最短で基礎学力を身につけることが可能になった。
高校3年生:
効率的に素早く自分のできない所だけできるようになっていって、点数が伸びていきやすいかなと思う。
基礎学力をAIが教えることで講師の役割も変化していく。
AIは生徒のリアルタイムの学習状況も常に分析。それに基づくコーチングのタイミングを講師のタブレット上に表示。
講師は、生徒のモチベーションアップや勉強の仕方のサポート役に回っていた。
城南進学研究社 千島克哉COO:
AIによる個別最適化の授業では、ある種どんどん苦手を特定して、そこに対して学年をどんどんさかのぼっていく。
さかのぼっていくことは、生徒にとても不安な作業。
こういう時にさかのぼることの意味や意義、価値。そういったものを動機づけたり勇気づけたり、こういうことを横にいる大人がしっかり指南してあげることが重要。
東大卒発のベンチャー企業が開発した次世代の学習システム。
開発した稲田社長はその意義をこう語る。
アタマプラス 稲田大輔社長:
これからの社会で活躍するのに必要な力を身につける教育だとか、テクノロジーの活用とかいう意味では実は日本は後進国になっているなと思って。
このままだと日本が負ける。
日本に良くないなと思って、新しい教育を日本も始めなきゃいけないなと思っています。
基礎学力習得にかかる時間を短くすることで時間が余るので、余った時間で社会で生きる力を習得してもらいたいなと思っています。
教える側と学ぶ側のメリットは?
内田嶺衣奈キャスター:
教える側にとっても学ぶ側にとっても双方にメリットはありそうですね?
デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
特に学ぶ側にとってはいつでも勉強できる。
あと自分に合った形でできるし広がっていけばひょっとしたらコストも安くなるので教育コストも多少楽になるかもしれない。
教える側にとっては、過重労働というのが先生にとって非常に問題になっていますから、これは時間短縮できるし本来の時間の使い方ができるというメリットがあると思いますよね。
内田嶺衣奈キャスター:
ただ今回は予備校でということなので小中学校でまた活用していくためにはさまざまな課題も見えてきそうですね。
デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
これはよく21世紀型の教育といわれますが本当に自分の頭で考えて人とコミュニケーションをして何か一緒に新しい物を生み出す力、これををどうつけるかというのは課題です。
AIの力を借りながらも、むしろ先生と生徒が一緒になって余った時間とか時間をつくり、本当の人間力とかリベラルアーツみたいなものを育てていければいいなと思いますよね。
(「Live News α」1月31日放送分)