子どもが初めて“別れ”を意識し、描いたという絵が話題となっている。
父親のとおやまたかしさん(@TakashiTohyama)がTwitterに投稿したのは、6歳の息子さんが描いた絵を20×20センチのキャンバスに印刷したという作品。
作品は黒い線で描かれた、大きなツノが特徴のカブトムシが2匹と、その下には「One Summer Life」と書かれている。

モチーフとなったのは、息子さんが初めて世話をしていたというカブトムシ2匹で、悲しいことにそのうちの1匹が9月7日に寿命を全うして死んでしまったのだそう。
そんな悲しみを胸に、息子さんが「カブトムシ君を忘れないように」と、声を上げて泣きながら描いたものが、この絵なのだ。
息子が初めてお世話したカブトムシが寿命を全うして死んでしまいました。
— とおやまたかし (@TakashiTohyama) September 13, 2021
息子は、カブトムシ君を忘れないように、声を上げて泣きながら必死に絵を書きました。それがあまりにも素敵だったので、息子に頼んで作品にしました。
こんな絵かけないなぁ。 pic.twitter.com/HJ0anDVs0q
息子が初めてお世話したカブトムシが寿命を全うして死んでしまいました。
息子は、カブトムシ君を忘れないように、声を上げて泣きながら必死に絵を書きました。それがあまりにも素敵だったので、息子に頼んで作品にしました。
こんな絵かけないなぁ。
とおやまさんが「こんな絵かけないなぁ」とコメントしたこの作品には、Twitterでも「素敵な絵だなぁ」「優しい絵ですね」と作品の出来栄えのみならず、「気持ちのやさしいステキなお子様に感動」「純真でなんて可愛い子なんでしょ」などと息子さんの優しさを称賛するコメントが多くあり、13万6000のいいねが付く話題となっている(9月28日時点)。
少しずつ悲しみの衝動が昇華されていくような様子
息子さんが初めて“別れ”を意識した瞬間だったとのことだが、この絵を泣きながら描いているのを親としてどのように思ったのだろうか? ただの絵で終わらせずに作品にした理由はどうしてなのだろうか?
とおやまたかしさんに話を聞いてみた。
ーー泣きながら描く息子さんを見てどう思った?
彼なりに大切に感じていた生き物との別れを整理しているんだという冷静な部分と、単純に息子が泣きながらカブトムシの絵を描く様子に泣きそうになる思いが入り交じっていました。
ーー絵を描き終えたときの様子はどうだった?
さまざまな感情を出しながら、それでも少しずつ悲しみの衝動が昇華されていくような様子でした。気が済んだような顔をしたり、それでもまた泣きそうになるのをたえたりと、いろんな感情を体験しているようでした。
ーーなぜ作品として残そうと思った?
親として子どもの作品を家に飾りたいと思った、息子が大きくなり今回のエピソードを忘れてしまっても、彼の残した物をいつか懐かしんでくれればいいとおもいました。物理的なものにしたのは、一緒に時間を過ごすことによって、キャンバス(カブトムシの絵)が劣化していくことに意味があると思ったからです。
ーー絵を見たときの感想を教えて。
素直な素敵な絵だと思います。カブトムシは2匹譲り受けたのですが、最初になくなったのは1匹だけでした。それを1匹だけにせず、ちゃんと2匹でいたということを残していることも嬉しく思いました。小さい頃から息子の絵の成長を見てきたので、そのストーリーこみで僕は好きな絵です。

現在作品は玄関に飾っているそうで、自分の絵が作品になったことを息子さん自身もうれしそうにしていたという。
作品は経年劣化していくのを見届けたい
ーー息子さんはどういった子?カブトムシが好き?
普段は、明るく人なつっこい性格です。カブトムシがすごく好きということではないです。ただ、初めて家で生き物を飼ったので、特別嬉しく感じていたように思います。
ーー「忘れないように」と絵を描いたとのことだが、息子さんは普段から感情を絵で表現するの?
前は、感情が高まると絵ではなく文章(手紙)にすることがありました。親に「いつもおしごとしてくれてありがとう」「ごはんつくってくれてありがとう」のようなものですが。今回は手紙ではなく、絵であったことも印象的でした。絵が特別得意ということはないですね。
ーー投稿には多くの反響があるが、どう感じる?
みんな似たような経験がある(息子視点、僕視点)から、共感されるのかなと思います。もし似たような機会があれば、べつに絵じゃなくても良いと思うので、なにか「物」にしてみると、一緒に時間を過ごしてくれるので素敵かなと勝手に思っています。僕も、時間ができたらスマホに入っている何千枚の写真を、適当に写真集にしようと思っています。
ーー今後、この作品はどうしていく予定?
そのまま経年劣化していくのを見届けたいと思っています。僕が死んだ後は、息子に処分を委ねたいと思います。彼のものなので、彼の自由にしてほしいです。あとは、気がついたときに息子や妻と思い出話として、時々僕が話し、家族から「また同じ話してる」と呆れられるくらいで丁度いいと思っています。
ーー息子さんにはどのように成長していってほしい?
特別な願いはありません。願わくば、寿命を全うして生きてほしい。人を傷つけたり、過ちを犯すこともあると思います。そんなときは、周りの力を借りてまた立ち上がってほしい。なかなか生きにくい世の中ですが、なるべく彼が笑顔で過ごす時間が長い方が、親としては嬉しいなと感じます。

ちなみに世話の担当は、息子さんが愛でるのと餌をあげることで、主な世話は父親のとおやまさんがやっていたそう。なお2匹目は、9月18日頃に死んでしまったとのことだ。
7月に譲り受けて愛情を持って世話をしてもらい、そして今後も忘れずに心に刻まれていくとなると、死んだカブトムシもうれしいのではないだろうか。次の生き物を育てるときも、この素敵な心を大切にしてほしい。
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