2021年8月、千葉県で新型コロナに感染した妊婦の搬送先が見つからず、自宅で出産し赤ちゃんが死亡したことを受け、宮城県内の一部の自治体では妊婦に対するワクチンの優先接種が始まっている。
「自分も赤ちゃんも、家族も守りたい」
高橋咲良 アナウンサー:
美里町では9月3日から、こちらの会場で妊娠している方へのワクチンの優先接種がはじまっています
2021年9月3日に美里町や岩沼市で行われた、妊婦への優先接種。
8月に千葉・柏市で新型コロナに感染し自宅療養中だった妊婦の搬送先が見つからずに自宅で早産し、赤ちゃんが死亡したことを受けて実施された。
宮城県内の自治体では、9月2日時点で、仙台市や富谷市など15市町村で妊婦に対する優先接種枠が設けられている。
また、そのほかの自治体でも「キャンセル分を優先利用する」などの対応がとられている。
高橋咲良 アナウンサー:
接種を終えて今のお気持ちは?
接種を受けた妊婦:
ほっとしました。自分も赤ちゃんも、家族も守りたいので打ちたい気持ちは強くて
接種を受けた妊婦:
接種を受けた後に、数年後に胎児に影響が出たという報告が出たら怖いなと思ったので、受けないつもりだったが、主人とも話をして、もし今、自分がかかってしまったら受け入れてもらえる病院がないかもと…何かあったときに今の現状を考えると、受けた方がいいということで受けることに決めました
妊婦が感染すると…どのようなリスクが?
妊婦からは不安の声が…。そもそも、妊婦が感染するとどのようなリスクがあるのか。
松永女性クリニック 松永弦 院長:
以前から妊婦さんは感染症、インフルエンザなどに感染しますと、特に妊娠後期だとお腹が大きくなり肺が圧迫されますので、肺炎を起こして重症化しやすいと言われていた。
新型コロナウイルスでも、やはり少し重症化しやすい傾向になってきている。早産のリスクは高まるのではないかということは言われてきている
リスクも懸念される一方、厚生労働省は「新型コロナに感染した妊婦から胎児への感染はまれ」とし、さらにワクチンについても、「日本で承認されているワクチンが、妊娠・胎児・母乳・生殖器に悪影響を及ぼすという報告はない」としている。
では、宮城県の新型コロナに感染した妊婦の受け入れ体制はどのようになっているのか。
まず感染が確認されたら、各地域の保健所から調査を受ける。その後、症状などに応じて県の医療調整本部に報告が上がる。
本部にて、専門の医師が妊婦の容態や妊娠週数など患者の状況を把握。その状況に応じて宿泊療養、または県が確保している病床で入院調整が行われる。
宮城県内に感染した妊婦の専用病床などはなく、千葉県のケースのように医療の逼迫が進行すると、搬送先が見つからない事態に陥るのは宮城県も同じ。
9月3日時点で、宿泊療養は1200室のうち758室を使用と、ある程度余裕はあるものの、宮城県内全体で受け入れ可能な病床の使用率は66.7%。重症者の病床も75.6%と高止まりしている状況。
仙台放送の取材に対し、県の担当者は「千葉県のような事態にならないよう、宿泊療養や病床の確保など対応を進めていきたい」としている。
感染拡大の中、松永医師はワクチン接種の必要性を指摘。こちらのクリニックでも、仙台市の方針を受け、まもなく、妊婦への接種を実施する方針。
松永女性クリニック 松永弦 院長:
妊婦は早期に接種すべきと思います。ワクチン接種により、早産や合併症が多くなるということは言われていない。早期に希望する妊婦さんに接種できるように体制を整えていきたい
宮城県では妊婦の感染者は「宿泊療養」が基本となっていて、千葉県のケースのような「自宅療養」はない。
ただ、感染が拡大し、医療がひっ迫すると「自宅療養」となる可能性は否定できないという。妊婦の方々は様々な不安を抱えている。
宮城県は、妊娠36週~38週頃を目安とした無料のPCR検査の実施や、助産師による電話相談窓口も開設している。
□妊娠36週~38週頃を目安とした無料のPCR検査
□助産師による電話相談窓口
電話番号:090-1060-2232
毎週月・水・金曜日 午後1時~午後7時
(仙台放送)