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人口およそ1100万人、西アフリカに位置するベナン共和国.。都市部から郊外へ出ると、電柱の数も次第に減っていく。電気が通っていない田舎町。小学校では、教室の明るさは、天候によって左右されていた。

こうした現状を改善するため、今年、日本の一般社団法人が、小学校の屋根に『フィルム型太陽光パネル』を設置する取り組みを始めた。従来のガラスタイプのものと比べて、薄くて軽いため、屋根に補強工事をする必要はない。

一般社団法人『GOOD ON ROOFS』川口信弘専務理事は『電気ちゃんと付いてますね』と感慨深げだった
一般社団法人『GOOD ON ROOFS』川口信弘専務理事は『電気ちゃんと付いてますね』と感慨深げだった

実は、小学校に太陽光パネルを設置することで、教室を照らすだけではない効果もあった。
校舎内の一室に設けられたのは、”ランタン”の充電スタンド。子ども達に1日20円で貸し出しているという。

このランタンは、家庭用の明かりになる他、スマートフォンの充電も可能。実は、ベナン共和国では、送金の手段として、スマホが飛躍的に普及しているものの、”電気がない”ため、わざわざ街まで出て、充電する必要があるとのこと。

一般社団法人『GOOD ON ROOFS』川口信弘専務理事:
スマホを充電をするために、3~4時間かけて街まで行かなくてはいけない。小学校でランタンを借りることができれば、そういうことも一気に解消できる。親としても、子どもを学校に行かせないと、ランタンは借りられない。子どもに『農作業じゃなくて学校に行ってこい』と言うことになる。

慢性的な電量不足、就業率の低さという課題の解消にも期待される日本の技術

一般社団法人『GOOD ON ROOFS』川口信弘専務理事:
都市部は、日本と変わらないぐらいインフラが整備されている。ただ、30分~1時間、車を走らせると、全くの別世界が広がっている。郊外に住む人の方が、俄然、多い訳だから、日本企業も、すでに持っている技術を何に使えるのか、見て回って欲しい。プラスアルファで考えていくと、そこには、すごく大きなブルーオーシャンが広がっていると思う。

内田嶺衣奈キャスター:
このニュースについては、デロイト トーマツ グループの 松江英夫さんに伺います。技術を活かした、アフリカの小学校へのこうした取り組みですが、どうご覧になっていますか?

デロイト トーマツ グループ松江英夫CSO:
本業が、最終的には、人づくりにつながっている。ここが最も大事なところだと思います。今回、小学校に、太陽光の設備を作ることによって、電力供給をインセンティブに、子ども達が、積極的に学校に行きたいという行動変容を促して、最終的には、就学率を高める。ここに繋げているのが素晴らしい。

デロイト・トーマツ・グループ松江英夫CSO:
アフリカでは、就学率の低さが深刻な課題。アフリカ南部のある地域では、6歳~11歳のうちの19%に当たる、およそ3200万人が、就学できていない。そんな深刻な状況にあるんです。

デロイト・トーマツ・グループ松江英夫CSO:
日本企業も、ここに貢献すべく、色んな取り組みをしています。例えば、ある製造業は、STEM教育ということで、算数や理科の授業を提供したり、実験設備を提供したり、こうしたノウハウを貢献できるところに活かしています。児童を就労から守ることによって、就学率を高める。色んな貢献が出始めています。

内田嶺衣奈キャスター:
たくさんの日本企業がアフリカに進出しているんですね

デロイト・トーマツ・グループ松江英夫CSO:
今、日本企業は、アフリカのマーケットに900拠点ぐらい進出しています。これから、日本企業が、アフリカで末永くビジネスを成功させるには、単に、モノを作ったり、インフラを作るだけではなく、現地の『人づくり』、こうした視点が、ますます重要になってくると思います。

デロイト・トーマツ・グループ松江英夫CSO:
実際、日本でも、産官学が連携して、2014年から、現地の産業人材を作る、こんなプログラムも始まっています。ここでは製造業だけではなくて、商社やIT産業、電力会社と言った、すそ野の広い産業が携わってきていま。こう言った『人づくり』という考え方が、全ての産業に広がることが求められていくと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
技術を活かすという面では、進出する日本企業にもメリットがありそうですね。

デロイト・トーマツ・グループ松江英夫CSO:
現地の人材を作っていくということは、現地の経済成長を促すことにもなる。翻って、マーケットが広がって、日本企業の成長にも寄与してくる。さらには、人を基軸にすることによって、世代を超えて、持続性が担保できる。持続的な成長を一緒に作っていく、これが多くにとってのメリットになってくると思います。

内田嶺衣奈キャスター:
一方的なものではなくて、良きパートナーとして取り組める支援の形。これからの時代に、ますます求められていきそうですね。