厳しい残暑が続いているが、もうすぐ9月。すでに「食欲の秋」を楽しみにしている人もいると思うが、そのような中で今マツタケと同じ分類の新種きのこが発見され、注目を集めている。

信州大学の山田明義准教授ら研究グループが、2019年秋に北アルプス燕岳へと調査のため入山し、同大大学院生の青木渉(わたる)さんが、全長3~4センチほどの黄色いカサと白い柄のきのこを見つけたのだ。

提供:青木渉氏
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さらに、同じきのこを北アルプス西穂高岳や中央アルプス木曽駒ヶ岳でも2~4本ずつ確認。いずれの場所も標高およそ2500メートル〜2600メートルの高山帯だったという。

それ以降も調査を進め、複数の遺伝子領域について鑑定を行った結果、今年になって新種のきのこであることが判明。このきのこは、高山帯で見られるハイマツの林を中心に生えており、マツタケと同じキシメジ科のキシメジ属に分類される。黄色いカサと白い柄の組み合わせはキシメジ属では珍しく、北米大陸に自生する1種類だけが知られているという。

それにしても、なぜ日本ではなく信州から遠く離れたアメリカに同じようなきのこがあるのだろうか? また見た目はちょっと違うがマツタケと同じ分類となると、味が気になってくる。山田明義准教授に聞いてみた。
 

発見の時点でかなり“珍しいきのこ”という感触

――このきのこを発見した時の気持ちは?

最初の発見者である青木君は、発見の時点でかなり珍しいきのこであるという感触があったようです。


――キシメジ属で黄色いカサと白い柄のきのこは、そんなに珍しい?

傘が黄色で柄が白いきのこは、他の分類群ではいくつか知られていますが、キシメジ属ではその組み合わせがあまりないので、一瞬違和感を感じます。ただ、全体をよく観察するとキシメジ属の特徴を持つことが読み取れるので、やはり珍しい(他に見たことがない)ということになります。


――なぜDNAが北米のきのこに近い?

北米の種とは遺伝子の共通点が多く、10~数十万年前には同一種であったか共通の祖先を持つと考えています。

そしてこれが地球環境の変化の中で、北米の種と日本の種に分化したと考えています。地球がもっと温暖だった時代には今の北極圏に生息し、それが氷河期に南下し、それぞれの地域で種分化した可能性を予想しています。

このイベントが、今から10数万年前に始まり2万年ほど前に終わった最終氷期に起こったのか、もう一つ前の時代の氷期に起こったのか、まだはっきりしたことはわかりません。

提供:山田明義准教授

食用きのこの可能性はありえます

――マツタケと同じ仲間なら、この新種きのこも美味しい?

今回発見したきのこが食用かどうか、正直わかりませんが、食味も含めて興味は持っています。キシメジ属にはマツタケをはじめとして食用となる種が多くある一方で、毒きのこは限定的です。したがって食用きのこの可能性はありえますので、いずれ機会があれば自ら試食するなどしたいと考えています。


――やっぱり研究チームの人は、きのこを食べるのが好き?

 はい、きのこはよく食べます。マツタケやトリュフも自分たちで採取してきてよく料理します。きのこは、基本的には手当たり次第、味見しています(毒きのこをわざわた食べたりはしませんが)。

新種きのこもいつか食べられる?(画像はイメージ)

秋の高級食材として有名なマツタケに近い種類という事で、どうしても味が気になってしまう。現段階ではまだ分からなかったが、早くその味を調べて教えてほしいものだ。

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