甚大な被害をもたらした熱海の土石流をめぐって、上流部の「盛り土」がどう作用したのか。
発生の「起点付近」の盛り土をめぐって、めざまし8は、過去の映像とともに新たな証言を得ました。

2010年と2017年 2つの映像から見える変化

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「ここから先、ずっと山になって・・・海は非常に眺めが良いです」

盛り土の上からの景色はこのように語られています。

不動産関係者だった人物が撮影した映像に記録されていました。撮影されたのは2010年。

元不動産関係者:
産業廃棄物、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電が段々の上の方にうず高く積まれていたような記憶があり、この量はどうやったのだろうという感じでした。

カメラを谷の方向に向けると、そこには、盛り土によってできたものだという、段差ができています。

撮影者は、車に乗って東側から造成された場所に入り、道路が分岐する場所で車を降り、歩いて現場に向かい、南の谷の方を撮影しています。

段差になっている中央部分には、大型の白い箱状のものなども見て取れます。

廃棄物なのかどうかは映像からだけは判然としません。

元不動産関係者:
あくまでお客さん向けだったので全体像をご紹介する意味で、作成したものなので、汚いって言ったらあれなんですけども、あまり見栄えがしないところは映していない。

廃棄物にみえるものがあったものの、この映像では映らないよう工夫したのだと証言します。

さらに、この6年後、別の人物が偶然撮影した盛り土のエリアの映像があります。

「ちょっと幻想的っぽくない?これ」

ハイキング中だったという撮影者は思わずこうつぶやきます。

当時の所有者に許可を得て撮影したという動画をみると、2010年の映像とは異なり、盛り土付近には木が生い茂り、それ以外の物は確認できません。

撮影者:
崩落する可能性がある場所とは1mmも思えないくらい綺麗な場所だったんです。

しかし、表面上ではなく地中の工法などをめぐっては、問題点が具体的にわかってきています。行政と業者側にあったやりとりの事実関係を静岡県が明らかにしたのです。

業者による“違反”を指摘

当時、土地を所有する業者は申請した範囲を越えて木の伐採を行ったり、土地の造成のために産業廃棄物を混ぜるなど、法律や条例に違反する行為があって、県や市が指摘していたことを、難波副知事が会見で明らかにしました。

静岡県 難波副知事:
技術者の個人的見解として、この工法は不適切であっただろうと思います。
水がでています、ここですね。地下水脈があるようで、そこに集中的に水が入ってきている。
こういう所を盛り土をしてはいけないわけではありませんが、やる場合は排水工をしっかりするのが基本。

国交省出身で土木技術者の副知事は「個人的見解」として、問題点を次々と指摘。

静岡県 難波副知事:
盛り土量がこの届け出では3万6270㎥になっております。
県が朝申し上げたのは5.4万㎥ということです。
ここから15mではなくて50mの高さまで盛られているのが実態です。

副知事によると、当時、土地を所有していた業者が、届け出の1.5倍の盛り土をしていたことなども説明しました。

今回土石流となって崩落した盛り土と過去のルール違反。

今回の災害とどのような関係があるのか、まだ明確にはなっていません。

果たして事前に盛り土の崩落を防いだり、被害を軽減する手だてはあったのでしょうか。

(「めざまし8」7月8日放送)