仙台駅東口に新型コロナワクチンの大規模接種センターが開設され、6月24日で1カ月。今後さらなる接種の加速化のために、見えてきた課題と新たな構想について、現場のトップに聞いた。

医療スタッフの連携で接種回数は5万8346回に

東北大学、宮城県、仙台市が共同で設置した新型コロナワクチンの大規模接種センター。

この記事の画像(18枚)

1日に接種できる回数は最大3000回にのぼり、宮城県内でもっとも大規模な接種施設となっている。

センターの運用が始まって6月24日で1カ月。トップを務める東北大学病院の張替秀郎副病院長は、この1カ月を「あっという間」だったと振り返る。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
あっという間に1カ月が過ぎた。もう少し続けて、早くワクチン接種が終了するのがいい

センターの1日は、医療スタッフによるミーティングから始まる。

1日に接種に関わる医療スタッフは約50人。その顔触れは毎日同じではなく、安全でスムーズな接種を行うためには意思の統一が欠かせない。

看護師ミーティング:
いろんな方が利用しているので、お互いに協力し合いながら、とにかく安全に接種するように

この1カ月にセンターが担った接種回数は5万8346回。これは宮城県内全体のこれまでの接種回数の約1割を占める。

効率的な接種を支えているのは、現場を取り仕切る統括医師の存在だ。統括医師は、ワクチン接種を行うスタッフの作業を止めないために、副反応など不測の事態への対応を担う。

この日の統括医師 三頭啓明 医師:
(相談に来た女性に対して)副反応が起きてしまう可能性はあり得るので、すぐに対応させていただく。それでも怖いのであれば、打たないのもひとつ

女性:
やっぱり、新型コロナにかかってしまうと…

この日の統括医師 三頭啓明 医師:
スムーズに皆さん接種できるように対応している

第5波に備え…接種の担い手確保が必要

スムーズな接種が進む一方、課題も見えてきた。新たな感染拡大時の接種の担い手の確保。

大規模接種センターの医師は、すべて東北大学病院が担っている。仮に感染の第5波が広がった場合、医師は感染者の治療に追われ、ワクチン接種のために毎日15人もの医師をセンターに送り続けることは簡単ではないと言う。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
コロナの波がもう一回きた場合、今まで通り重症患者を受け入れる。中等症患者を受け入れる。そちらに注力しないといけないので、そのうえで接種が継続できるかどうか、その状況にならないと分からない

7月中旬以降は夜間帯の接種も開始へ

感染の第5波をいかに防ぎ、ワクチンの接種を加速化できるか。

張替センター長は、大規模接種センターの新たな構想について明かしてくれた。それは接種時間の拡大。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
東北大の体力次第ですけれど、今後若い人の接種を増やすためには、夜など訪問しやすい時間帯に接種予約をつくる必要がある

現在、午後5時で終わる接種時間を午後9時まで拡大しようというもの。働き盛りの世代にも利用しやすい環境を作ることで、ワクチン接種のスピードアップを図る。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
高齢者の接種の2回目が終わるのが7月半ばなので、60歳以下の仕事をもつ社会的にアクティビティが高い人たちが接種の順番になる。7月中旬以降は夜間帯の接種を始めようと思っています

2021年7月7日以降、宮城県内すべての人が接種対象となる大規模接種センター。日常を取り戻す戦いは始まったばかり。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
大規模接種センターでは、そこに行った人ができるだけの数を打てるように、できるだけスムーズに予診をとり、できるだけスムーズに接種をし、具合が悪くなった人がいたら適切に救護室でケアする。

大規模接種センター長 張替秀郎 副病院長:
それぞれの仕事に集中することで、一番ベストの効率で接種をする。それによって、できるだけ多くの人を接種する。それがいち早く感染症をおさえる結果になる

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。