シリーズ「いのちを守る」。今回は子供の交通事故について。全国的に小学1・2年生にあたる「7歳の事故」が非常に多い傾向がある。

なぜ7歳に事故が多いのか?そして、事故を防ぐには?

なぜ多い?“7歳の交通事故”

魔の7歳」という言葉をご存じだろうか?

これは、宮城県内で、過去10年間に交通事故で死傷した歩行者を年齢別に分けたグラフ。なかでも「7歳」が214人と突出しているのがわかる。

歩行中の7歳の児童が事故に遭うケースが全国的に多いことから、俗に「魔の7歳」と言われている。

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事故の半数以上は登下校中に

さらに、事故の半数以上は登下校中に起きたもの。普段歩きなれた通学路に「魔」が潜んでいるとも言える。

今回、保護者の了解をいただいて、登校する児童の様子をカメラで追った。仙台市泉区に住む7歳の慶祐くん。毎日、自宅から20分ほどかけて学校まで歩いている。

記者:
どういうことに気をつける?

慶祐くん:
横断歩道。右、左見ること

慶祐くんの母親:
何かに夢中になると、ほかの危険なことが起きてもきっと気づかず、「危ない」ってなるんじゃないかという心配はある

近所の児童たちと一緒に登校する慶祐くん。まわりは閑静な住宅街で、とくに危険な場所は見当たらないように思える。

すると…なぜか慶祐くんたちは、横断歩道のない場所を渡りはじめた。ほんの10メートルほど先に横断歩道があるにも関わらず。

記者:
横断歩道じゃないけど怖くない?

慶祐くん:
怖くない

記者:
危ないなと思ったりしない?

慶祐くん:
しない!

この映像を、元警察官で日本交通事故調査機構の佐々木尋貴さんに見てもらった。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴さん:
こういう所は、本来は渡るべきではない。危険でしょうね。直近に横断歩道があるのに、その前後は「横断歩道があるなら、ほかは渡らないだろう」という気の緩みが運転手側にもあるので、植栽の間から人が出てくると思わない。運転手は、必ずここを見て運転しているわけではないので…

宮城県警のまとめによると、過去10年間に起きた「7歳の事故」は、その8割以上が道路を横断中の事故だった。

このうち横断歩道での事故は71人なのに対し、横断歩道以外での事故は102人にのぼり、横断歩道のない道路を渡ることが、いかに危険かが分かる。

さらに、こちらの丁字路では…

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴さん:
立ち止まるべきでしょうね

そこにあったのは大きな看板。
小さな子供の目線には車の存在が見えにくく、車からも子供の姿が見えづらい状況になっていた。

毎朝、通学路で交通整理にあたるボランティアの男性は、子供たちの行動にある特徴があると話す。

交通整理のボランティア:
男の子のほうが危ない。青でも走って行って、途中で赤になったり。そういうのは男の子が多い

事故を減らすためにできることは?

実際、県警の統計でも、事故に遭った7歳のうち男の子が133人と、女の子の1.6倍を占めている。

交通事故の鑑定や調査を専門とする佐々木さんは、7歳の事故が多い原因として、未就学児に比べ「行動範囲が広がること」を指摘する。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴さん:
行動範囲が広がるということイコール、道路を利用する機会が増える。7歳は危険回避の判断力などが心身も未熟なので、高学年よりもずっと劣っている。どうしても事故に遭う確率が増えてしまう

では、子供の交通事故を減らすために、私たちに何ができるのか?

佐々木さんは、保護者が子供たちに道路の危険性を伝えるのはもちろん、運転する大人全員が子供の未熟さを理解するべきだという。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴さん:
道路環境を把握できなかったり、交通ルールを正しく理解できない未熟さは、子供ならではのこと。運転者側が子供を見たらより慎重になることが、事故を少なくしていくうえで大切

例年、6月と10月に多いとされる7歳の交通事故。

雨が降り、傘で周りが見えにくくなるこれからの季節、ドライバーにはさらなる注意が求められる。

(仙台放送)

仙台放送
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