7日間平均は減少も 増加比は80%と横ばい
「新規陽性者数が十分に下がりきらないまま、第3波の爆発的な感染拡大前とほぼ同数の高い値で推移している」
6月10日に行われた東京都のモニタリング会議では、新規感染者数の7日間平均が前回の485人から389人に減ったものの、増加比は80%と横ばいであることが示された。
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、第3波の時は今と同じ400人前後の感染者数が続き、その後爆発的に感染が再拡大したとして、感染者の急増=リバウンドへの懸念を示した。

ワクチン効果か 医療機関での感染ゼロも
年代別に見ると20代から40代の割合が依然として高く、新規感染者の65%以上を占めており、中でも20代は28%と最も高くなっている。
感染経路で見ると、施設内感染の割合が大きく低下したとのことだった。
確かに、日々の感染経路を取材していると、5月20日ごろから医療機関での感染が激減していて、全く感染者が確認されない日もあり、医療従事者へのワクチン接種の効果では、との見方も出ている。

夕方から夜にかけて人の流れが増加
「人流増加が続いている影響で、近く新規感染者数が下げ止まり、再び感染拡大へと転じる可能性が高い」
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、4週連続で繁華街の人出が増加し、夜間で32%、昼間で26%、特に夕方から夜にかけての増加が目立つ、との分析を示した。
リバウンドへの懸念を示した西田センター長に、どのくらいで再び感染拡大の可能性があるのかと質問すると、「2週間くらい先には実効再生産数が上がってきて、その結果、感染者数の減少が横ばいに底落ちしていく可能性はあると推測している」と述べ、6月中にも感染者が再び増加する可能性を示した。

インド型に置き換わる可能性大
また、東京都健康安全研究センターのスクリーニング検査では、変異ウイルスのうちインド型が31.6%に上った。
「(インド型に)置き換わっていく可能性はかなり高い」
東京iCDCの賀来満夫座長は、都内の変異ウイルスがほぼN501Yに置き換わったと推定できるとした上で、今後のスクリーニング検査をN501Yからインド型に切り替え、検査を行っている東京都健康安全研究センターだけでなく民間検査機関にも拡大する方針を明らかにした。
ワクチンで余力ない…医療現場の現状
「一気に逼迫する、そういうレベル」
「ワクチンであらゆる医療者がかり出されていて余力のない状態」
東京都医師会の猪口正孝副会長は、ワクチン接種と医療提供体制の維持をぎりぎり両立している厳しい現状を話した。

都独自の大規模ワクチン接種会場を増設へ
「基本的なことを守る。結局、そこに収れんしていく」
小池知事は、手洗い・マスク・消毒など基本的な感染対策の徹底とともに、テレワークで出勤者7割削減や出勤した場合も夜8時には帰宅するよう求めた。
一方、ワクチン接種の加速が急務となる中、都は現在の築地以外にさらに5カ所(代々木会場を含む)の大規模ワクチン接種会場を設置し、1日2万5000人に接種することを目指している。

より早くより多くの人に接種するためには、これまでのようなやり方ではなく、より柔軟性のある方法が求められているのではないか。
(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)