日本の魅力を発信する名古屋好きのスペイン人とドイツ人

2020年4月、名古屋在住の名古屋が大好きな2人の外国人女性が「ナゴヤ・イズ・ノット・ボーリング(名古屋はつまらなくない)」というサイトを立ち上げた。

“最もつまらない都市”と言われる名古屋は、「決してつまらなくない」。2人はクラウドファンディングやVRなど様々な方法で、名古屋の魅力を世界に発信している。

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名古屋市東区に、名古屋の魅力を発信する2人の外国人がいる。

1人は名古屋在住のデザイナーで、来日14年のスペイン人のヨピス・エリサベスさん。彼女は愛知県中をめぐり地元の人から話を聞き、大好きな日本の文化を記事にしている。

もう1人は、元経営コンサルタントのドイツ人の山口レナさん。自転車でどこにでも行ける名古屋はとても住みやすいと話すレナさんも、名古屋在住で外国人向けのフードツアーを企画している。

名古屋メシが大好きというレナさんは、「日本に来た外国人から『日本食は味が薄い』と言われるが、ひつまぶしや味噌カツは結構パンチがある味なので、外国人の口に合う」と話す。

「名古屋が最も魅力ない」に愕然…PRサイト立ち上げのきっかけに

そんな2人が2020年4月に会社を立ち上げ、「ナゴヤ・イズ・ノット・ボーリング(名古屋はつまらなくない)」というサイトを作った。

きっかけは5年前、名古屋市が行った「都市ブランド・イメージ調査」。東京や大阪など主要8都市に関するアンケートを取ったところ、「名古屋が最も魅力がない」という結果に。2人は愕然としたという。

エリザベスさん:
つまらない…本当なの?

レナさん:
一回も名古屋がつまらないと思ったことがないですね

クラウドファンディングの返礼品は「小倉トーストのオンライン体験」

2人は名古屋の魅力を世界に発信しようと、外国人旅行客向けの名古屋ツアーを企画したが、新型コロナの影響を受け中断。そこで、クラウドファンディングを立ち上げた。

クラウドファンディングのホームページでは、名古屋の魅力を紹介し寄付金への返礼品として、名古屋を感じる「小倉トーストのオンライン体験」などを用意。

どのようなものなのか、再現してもらった。

「まずはバターをトーストに…」と、エリザベスさんは小倉トーストを食べたことがない名古屋在住のフランス人の女性に、オンラインで小倉トーストの作り方を説明。

作り方を知ることで、名古屋の食文化を身近に感じてもらいたいと話す。

このフランス人の女性の口に、小倉トーストは合ったようだ。

小倉トーストを楽しんでもらった後は、名古屋の場所や交通手段などの基本情報を伝える。そして、日本の一般的な朝食と名古屋のモーニング文化を紹介し、さらに名古屋メシについてのクイズを出題。

楽しみながら魅力を知ってもらうのが狙いだ。

外国人観光客の呼び込みを コロナ収束後を見越しコンサルティング

2人は名古屋で店を開く日本人に向けて、外国人観光客を呼び込むためのコンサルティングも行っている。この日は、名古屋市西区の円頓寺商店街で着物のレンタルと人力車の体験を提供するお店へ。

エリザベスさん:
人力車の体験コンテンツをインバウンド向けにもう少し磨き上げたい

この店の主は、コロナ収束後に外国人が戻って来た時を想定し準備を進めていた。

一緒に人力車を引きながら商店街を散策。具体的に外国人がどんなものに興味を持ち、どんな説明を求めているかをレクチャーする。

立ち止まったのは、自分で餡を詰めていただく最中で有名な「種久(たねきゅう)商店」。

エリザベスさん:
外国人は最中に疑問があると思うので、写真を見せるか中に入って一緒に買うといい

最中を知らないだろう外国人に向けて、必ず写真か実物を見せての説明が必要とアドバイス。また、外国人に難しいとされる神社とお寺の見分け方のポイントも。

レナさん:
鳥居がある、動物が見守っているのも神道です。人間の像がある時は、基本的に仏教です

より興味を持ってもらうために、外国人旅行客に神社とお寺の見分け方を教えるといいと助言。店に戻ると、着物のレンタルについても…

エリザベスさん:
2色くらいに絞っておけば選択しやすいので。着物セットがあればベストです

合わせ方も着方もわからない外国人向けに、仕組みはわかりやすくシンプルに。外国人だからこその視点で、的確にアドバイスする。

「日本文化は色んな歴史がディープにつながっている」着物で日本舞踊も

エリサベスさんは2年前から週に1回、着物を着て日本舞踊の稽古を受けている。

通っているのは、「名古屋をどり」で知られる西川流の稽古場。ここまで日本の文化にハマっているのには理由があった。

エリザベスさん:
繋がっているんですよ。着物の着付けや華道だったり、茶道だったり…

「日本の文化は、色んな歴史がディープに繋がっていて面白い」と話すエリザベスさんは今、年末の発表会に向けて練習をしている。

稽古をつけている西川流家元補佐の西川陽子さんは、「エリサベスさんは真面目で努力家。日本の文化が大好きなことが、とても良い面に活かされている」と感心していた。

名古屋の伝統文化を紹介するVRサービスも開発中

エリサベスさんとレナさんは、名古屋のよさを発信するため、さらなる取り組みも始めていた。それは、現在開発中の「VRジャパンシアター」だ。

3Dで撮影した名古屋の伝統文化の映像を専用のヘッドセットをつけ、鑑賞するシステム。世界中どこからでも名古屋の伝統文化を目の前で見ているかのように楽しめる。

エリザベスさん:
今このアプリだと、スタートとしては「河文(かわぶん)」の入口です。水かけして若女将に案内してもらいます

VRだと顔を動かせば180度見回すことができ、あたかも名古屋を訪れているような感覚に。舞踏の舞いも迫力満点だ。

エリサベスさんとレナさんは、外国人でありながら名古屋の魅力を世界中に発信してくれる貴重な存在。レナさんは、「名古屋や日本の魅力をより多くの外国人に。これを見て興味を持って日本にぜひ来てほしい」と発信を続けている。

(東海テレビ)

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