若狭から京都を結ぶ宿場町として栄えた、福井・若狭町の「熊川宿」。
日本遺産にも登録されているこの地で、空き家となった古民家を活用し、シェアオフィスや宿を運営する男性がいる。
東京からふるさと福井にUターンし、まちづくりに取り組む姿を追った。

古民家を改修 シェアオフィスや宿泊施設に

宿場町の風情を今に残す、若狭町「熊川宿」。
その一角にたたずむのが「シェアオフィス菱屋」。

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運営しているのは、時岡壮太さん(40)。
東京で施設開発などを手掛ける会社を経営していたが、3年前に熊川へ拠点を移した。

時岡さん:
熊川はすごい魅力的だと思います。熊川宿も、周辺の環境も。
都会だったら何億もかけてビル1つ建てるところを、小さな工夫でいろんな人が来てくれたりとか、まちの人が喜んでくれたりとかする。計画する側にとっては、やりがいがあります

時岡さんは現在、熊川宿で空き家となった古民家を改修したシェアオフィスや宿泊施設を運営している。
特にこだわっているのが、宿泊施設の造りや雰囲気。
宿泊だけでなく、かまどや地元の食材を使った調理体験といったメニューも提案している。

新型コロナウイルスが全国の観光業や宿泊業の経営を直撃する中、時岡さんの施設は、1棟貸しのスタイルが安心できるとして、宿泊客に好評。

時岡さん:
福井の嶺北の人がよく遊びに来てくれるようになった。癒やしを求めてカップルが来たり、1人でゆっくりしたいと5連泊していく人など、ここまで反応があるとうれしい

都会での仕事より…地元の問題に目が

時岡さんは、福井・おおい町の出身。
県内の高校を卒業後に上京し、最初の大学を中退した後、アルバイト生活を経て、早稲田大学建築学科に進み、建築や都市計画などを学んだ。
そして、東京で建築・コンサルタント会社に3年間勤めたあと、独立。
築地市場移転後の場外市場の開発や、東日本大震災後の復興を目指す宮城・気仙沼市で、商業施設のプロデュースなども手掛けてきた。

しかし、そんな華々しいキャリアとは裏腹に、都会での仕事に次第に魅力を感じられなくなったという。

時岡さん:
都会の仕事は大きいし華やかだし、やりがいももちろんあるが、自分の育ってきた環境や社会課題の方に目がいくようになって。問題が多い田舎のまちや過疎地域に関わって、解決したいと思った

時岡さんは現在、3棟目となる宿のオープンを目指している。
改装するのは、長年使われていない古い蔵。
うまく活用し再生させることで、観光面だけでなく、風情ある街並みを残していくことも大切だと感じている。

地元の大工・辻一憲さん:
今の時代、新しくすればいいと思いがちだが、生かすというやり方はすごくいい

時岡さんと一緒に仕事をするのは、県外出身の若者や地元の女性たち。
日々の打ち合わせで出る意見や気づきを、大切にしている。

若手スタッフ:
いろんな人を巻き込んでやっていくのがすごくうまいなと思う。会議の始まりと終わりで、思いもよらない結論になる

興味を持ってもらうきっかけに…

時岡さんは、いろんな人が熊川宿に興味をもってくれるよう、定期的に出店者を募ったイベントを企画している。
まだ知られていない魅力を今後も発信していくつもりだ。

時岡さん:
興味を持ってもらうきっかけになって、より若狭の事を知ってもらえると、僕ら以外にもいろんな動きが出てくると思うので、そういった動きにつなげていければなと思います

新しい事に挑戦しつづける時岡さんに、今後の目標を聞いた。

時岡さん:
来年、食品の加工場をつくろうと思っていて、まだ表に出ていないけど、地元で食べられているものを外の人に買ってもらえるようにするとか。そういう食品づくり、加工品づくりをまずは頑張っていきたいな、と思います

(福井テレビ)