「ブルートレイン」再生へ大移動 鹿児島から香川へ…引退した車両を宿泊施設に うどん店夫妻の挑戦【香川発】
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「ブルートレイン」再生へ大移動 鹿児島から香川へ…引退した車両を宿泊施設に うどん店夫妻の挑戦【香川発】

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かつて寝台特急「ブルートレイン」として活躍した車両。それを再生しようとしている「うどん店」店主の男性が香川県にいる。
4月に行われた、列車が眠る鹿児島から香川までの大移動に密着した。

人気を集めたブルートレインを引き取り保存

香川・観音寺市の雲辺寺ロープウェイ駐車場。
線路や枕木が荷台から積み下ろされていく様子を見守るのが、善通寺市のうどん店店主・岸井正樹さん(60)。
少年時代から憧れていた列車を、ふるさと香川に。岸井さんの長年の夢が、実を結ぼうとする瞬間だった。

移送準備を見守る岸井正樹さん
この記事の画像(12枚)

岸井正樹さん:
みんなが楽しみにしているから、それに応えるように。これが(人生)最後の仕事というくらいの気持ちでやっていこうと思う

かつて、日本中を走っていた寝台特急「ブルートレイン」。
特徴的な青い車体で多くの鉄道ファンの人気を集めたが、平成に入り、新幹線の開業などが相次ぐと徐々に姿を消した。

そのブルートレインの1つとして活躍していたのが、新大阪駅と西鹿児島駅を結んでいた特急「なは」。
2008年の引退後、鹿児島・阿久根市で、一度は宿泊施設として使われたものの、2014年に運営法人が解散。現地で野ざらしとなっていた。

野ざらしとなっていたブルートレイン「なは」

善通寺市でうどん店を営んでいた岸井さんは、小学生以来、ファン歴50年の鉄道マニア。
6年前、放置された「なは」の存在を知り、列車を引き取って保存したいと思うようになった。

岸井正樹さん:
ちょうど、「うどんブーム」が落ち着き、何か店に人が流れるルートを作らなければと思い、前からやりたかった夢にチャレンジした

岸井さんの妻・弓子さん:
全然私は鉄道に詳しくないので、「何を言っているんだろう」と。全然引き下がらないし、とにかくしつこい。根負けした

クラウドファンディングで約1700万円の資金募る

岸井さんは、2020年と2019年の2回、クラウドファンディングで全国の鉄道ファンに移送費用を募り、1,700万円近くの資金が集まった。

目標額を超えクラウドファンディングが成立

岸井正樹さん:
本当に苦しい状態で仲間たちに助けられ、なんとか(期限の)10日くらい前に達成した

支援者からの応援メッセージ

岸井正樹さん:
これが(ブルートレインの)オルゴール。「ピンポンパン」と音が鳴って、車掌さんがこれでしゃべる。貴重なものだから、外してここで保管している

店は、新型コロナウイルスの影響で2020年2月から休業し、岸井さんはこの1年、ブルートレインの移送プロジェクトに専念してきた。
コロナ禍で船が出ず、移送スケジュールの延期が続くなど、困難にも見舞われたが、なんとか4月中の移送にこぎつけることができた。

岸井正樹さん:
自由に業者と交渉に出向けないというのが大変だった。船に乗せるルートの調整がなかなかうまく行かず、もたもたしていたが、だんだん良い方向に転がっていった

約600kmの道のり…鹿児島から香川へ

移送の当日。
鹿児島の阿久根駅では、岸井さんも見つめる中、ブルートレインが時間をかけてトレーラーに積み込まれた。

現場責任者 アチハ・島正男顧問:
これから難所が何カ所かある。どうやってクリア、通過するか難しいところ

岸井正樹さん:
四国で大切にお預かりしますので、また四国においでください!

鹿児島から宮崎・大分へ。移送は交通量の少ない夜間に限られる。
移送3日目、大分・臼杵港からはフェリーで愛媛へ。
高さ制限ギリギリの下船を無事に終えた。

岸井正樹さん:
四国に渡れたのが、まずはひと安心。自分は何もできないが、気をもむので忙しいような気がする

進路を東に、香川まで一直線。
目的地・雲辺寺山麓までの最後の数キロは、道幅が細い難所の区間。
標識や電柱に車体をぶつけないよう、慎重に進む。
朝になると2両目も到着し、約600kmの大移動が無事に終わった。

岸井さんの妻・弓子さん:
感動してもう号泣でした。長かったね

涙を拭う岸井正樹さん

岸井正樹さん:
夢の夢を続けてやってきた。自分でもできるのかなと思ったけど、女房に後ろをたたかれながらでも頑張ってきた。本当に頑張りました

愛知から来た支援者:
これがまた四国に来る良いきっかけに…鉄道ファン以外も来てもらえれば、客車も地元の人も喜ぶだろう

「いろんな人に思い出を」車両を再生、宿泊施設に

列車は今後、塗装の塗り直しなどが進められ、年内にもお遍路さんや観光客向けの宿泊施設としてオープンする予定。
宿の名前は、車体の記号にちなんだ「オハネフの宿」。

岸井さんの一大プロジェクトは、まだ終わっていない。
引退したブルートレインに再び「命」を吹き込むその日まで。

岸井正樹さん:
僕は昭和生まれだから、昭和の人たちと若い世代の人たちに、古い重厚感のある車両をずっと伝えていくような仕掛けを作っていく。いろんな思い出を作っていってほしい

(岡山放送)

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