誰でも家をつくることができ、自分で自分の家を作ることも不可能ではない。そんな仕組みが長崎・大村市で開発された。
新型コロナの影響で苦境に立つ事業者にとっては副業としても期待されていて、静かな広がりを見せている。

職人じゃなくても家を建てられる

真剣な顔つきで、ボルト打ち。
大村市の建設現場で黙々と家づくりに励む人たち…実は、大工ではない。

サブカルBAR遊㐂・小柳直道さん:
副業という形でさせてもらっている。本業はバーのオーナーをしている。

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大村市の一角で断熱性や気密性にすぐれた「高性能住宅」の建設が進んでいる。
家を作っているのは、普段 飲食店で働いている人などで、日中の隙間時間にアルバイトとして行っている。
収入は大工の日当と比べると半分ほどだが、働く時間を自分で決めたりと融通が利くのが利点。

「たちばな鍼灸整骨院」は2020年10月に完成した建物で、整骨院の店舗兼事務所として使われている。

たちばな鍼灸整骨院・立花久規さん:
特に不足もなく使わせてもらっていて、天井が高いので開放感がある

住宅の基本構造は1階部分が約8坪、それにロフトが約1.5坪とややこじんまりしているものの、耐震性は、警察署や消防署と同じくらいのレベルで安全性にも定評がある。
この住宅建設のプロジェクトを開発したのは、株式会社「LTU」の社長・原田岳さん。

株式会社LTU・原田岳社長:
すべてのところが工場でプレカットと言ってカットされていて、これをはめ込んでいくだけ。例えばこんなところも大工さんが蚤で削ってはめるが、すでにプレカットされているので素人でもはめ込むことができる

家の部材はあらかじめカットして現場に持っていき、家の組み立てに使う工具類は無償でアルバイトに提供している。

さらにインターネット上で家を建てる135の手順が公開されていて、マニュアルに沿って部材を組み合わせるだけで、誰でも家を作り上げることができる仕組みになっている。
原田さんがこの仕組みを確立させたのには、建築業界を取り巻く厳しい環境に対応していくためだった。

職人の高齢化や人事不足が問題に

株式会社LTU・原田岳社長:
我々、建築業界が抱える大きな問題として、現場監督、職人、どちらも足りていない。そこをなんとか解決したいというところで、できるだけ経験の浅い人でも作れるもの(システム)を作ろうと

総務省の調べでは、大工の仕事に就く人の数は1980年代以降 減少傾向が続いていて、高齢化も深刻さを増している。

ところが大工の数が大幅に減っている一方で、住宅の着工件数自体はあまり減少していない現状がある。
初心者でも家が作れるシステムを構築することで職人に頼らず、全て自分で完結させることが可能となった。

大村市で「サブカルBAR遊㐂」を経営する小柳さんは、2020年7月に店をリニューアルオープンしたが、新型コロナウイルスの影響もあり、思うような集客にはつながっていない。

サブカルBAR遊㐂・小柳直道さん:
元々働いてくれてる従業員もいたが、コロナの時代で接客業が怖くてやめさせてもらいますという話もあったので、きつかった

こうした中、2020年11月からバーの営業前の日中、住宅建設のアルバイトで収入を得ている。

サブカルBAR遊㐂・小柳直道さん:
ひとつの光じゃないけど、企画自体も今の時代にマッチしている

株式会社LTU・原田岳社長:
飲食店の人は飲食店をしたい思いがあってしているはずなので、それができるのが一番だとは思うが、生きていくにはお金も必要なので、それを楽しく仕事ができる職場を作れればいいかなと思う

時間さえあれば自分で家を作れる時代に。

本来は職人不足を解決するための取り組みだったが、新型コロナの影響下では、今やユニークな副業としても注目されるようになった。
現在、手掛けているのは4棟目で、LTUでは100棟を目指したい考え。

(テレビ長崎)