宮城県の南部、山元町震災遺構 中浜小学校。
2021年1月中旬。宮城県内で語り部活動をする人たちの研修会があった。

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参加者の1人、清水葉月さんは石巻市の公益社団法人「3.11みらいサポート」に2020年12月、転職した。

語り部 井上剛さん(震災発生時、中浜小学校の校長):
中浜小で私が考えたのは、かさ上げ2m、1階4m、2階4m。2階の屋上へ行けば、高さ10mは越す。そういう計算ができたということ

10年前、大きな地震のあと、中浜小学校にいた児童と地域住民90人は屋上の屋根裏倉庫に避難し、津波の難を逃れた。

震災遺構として整備されてから初めて中浜小を訪問した清水さんは、「訪れる人にどうしてこうなのか、自分達だったらどうするのか、と考えさせるのが、展示にも映像にも全て出ていた」と、遺構の展示内容の印象を話した。

石巻市にある「3.11みらいサポート」。
各地で語り部活動をする団体と連携し、震災学習を希望する人たちとの橋渡しなどをしている。

清水さんは、福島・浪江町出身。

高校2年生だった10年前、原発事故が起き、千葉県へ避難した。
大学卒業後、子どもたちの居場所作りに取り組もうと、石巻市内の児童館に就職した。

若者トークで語り合う

2019年12月。清水さんは震災の体験や、その後の取り組みを若者同士で話し合うトークイベントに参加し、高校生だったころに感じたことなどを話した。

清水葉月さん:
特に福島県のことというのは周りの友達も大人もそうですけど、誰も気を使って聞かないわけです。私は「何で逆に聞かないんだろう」と。「なんでこんなことがあったって、すごく日本の中で大きな出来事だと思ったのに、なんでみんな聞いてくれないんだろう」って、すごくモヤモヤして周りに心を開けない時期がありました。
震災前の地域とかに私はすごく無知だったし、地元のことをほとんど理解していませんでした。そういう過去の経験からどう学んでいくかということは、これからの私たちの課題だと思っています

子どもから大人まで、震災伝承に取り組む人たちの後押しをしたい。
そんな思いで清水さんは、新たな職場に飛び込んだ。

オンラインも駆使して

2021年1月。この日、「3.11みらいサポート」は全国各地の小中学校をオンラインで結び、震災の語り部を行った。
話しをするのは阿部任さん。
石巻市内で自宅ごと津波に流され、閉じ込められた。9日後、祖母と一緒に救助された。

阿部任さん:
立ち並んでいた家は全部流されてしまいました。もちろん私もこの中にいます。この時いた家ごと流されて、9日間、がれきの下に閉じ込められてしまいました。
もし9日前にちゃんと避難していれば、ここに写っている2枚の写真ってそもそもこんな写真は「いらなかったよね」と思っています。あの時、ちゃんと逃げていればよかったなって、10年経っても後悔していました

阿部任さん:
しゃべるのは勉強になる。しゃべるからには色々考えなきゃいけないなと思って、その都度、意識を持ってやっているつもりです

清水葉月さん:
伝わっていると思いますよ。みんなの感想から、きょうの意図は伝わっていると思います

阿部任さん:
だったらいいですね

新たな拠点、MEET門脇

「3.11みらいサポート」は現在、震災遺構として整備中の門脇小学校のそばに、震災伝承交流施設「MEET門脇」を建設している。
清水さんは、主に子どもたちが利用する防災学習スペースのレイアウトや企画を担当する。

清水葉月さん:
震災を直接見たり聞いたりしていない世代がどんどん増えていく中で、彼らがどういう風に自分たちのこととして理解していくか。相手の立場になっていろいろ伝え方も工夫しながら、一方的に伝えるというよりは一緒に考える。そういう場所を提供できたらいいなって

施設は、2021年3月8日にオープンする予定。
震災を風化させない仕事。清水さんは今まで以上に、力を入れる。

(仙台放送)