新型コロナウイルスの急速な感染拡大により、最前線に立つ看護師はギリギリの対応を迫られている。全国の重症者の数が644人と過去最多になる中、病院では今、何が起きているのだろうか。

清掃や配膳までが看護師の仕事に

これはコロナ患者を受け入れる、埼玉・春日部市の病院「春日部市立医療センター」の内部をとらえた映像だ。透明な袋に入れた大きな段ボールを両手に抱え、運び出すのは看護師。

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ごみの廃棄はもともと清掃業者が行っていたが、看護師の役割に変わったという。

春日部市立医療センターに勤務する、看護師になって3年目の川本咲奈さんはこう話す。

看護師 川本咲奈さん:
清掃業者がレッドゾーンの感染区域の中に入れないので、看護師が患者さんの身の回りのごみを捨てたりとか、ベッドを交換したり…

医療行為以外の仕事が、看護師に重くのしかかっている。

防護服を着て、病院食をコロナ病棟へ配膳するのも看護師だ。清掃業者と同じく、本来の配膳担当職員がレッドゾーン内に入れないため、そのしわ寄せも出ている。

また、感染防止のための防護服も負担となっている。

看護師 川本咲奈さん:
手袋を何重にもしたりするので、なかなか点滴を取るときに血管が見えづらかったり、アイガードをしたりするので、目の前が熱気で曇りやすかったり…

通気性が低いため蒸れやすく、防護服の内側は水滴がついた状態になっている。

“コロナ差別”も…約15%の病院で離職

この病院では感染者の増加を受け、コロナ以外の患者用ベッド11床をコロナ患者用に転用。これによりコロナ病床は22に増えたが、看護師の数は16人にとどまっている。

春日部市立医療センターの看護師長・若松富美江さんに実情を聞いてみると…。

看護師長 若松富美江さん:
今のところは調整がつきながら、応援をもらいながらという形で、患者さんのケアが行われているような状態です

さらに看護師たちが直面する、いわれのない“コロナ差別”も深刻だという。

看護師 川本咲奈さん:
(看護師の同級生に聞くと)お子さんとかいたりすると、なかなか保育園に通園させるのは難しくなってしまったとか、ご近所の方から避けられたという話を聞いたりはしています。自分の家族がもし言われたらというふうに考えると、少し怖いなと

日本看護協会の調査によると、感染リスクなどを理由に約15%の病院で看護師が離職しているという。明るい兆しが全く見えない中で、看護師たち一人一人の使命感が現場を支えている。

看護師 川本咲奈さん:
患者さまの命を救いたいという思いで、看護師になっている。患者さまが安心できるように、私たちは看護を頑張ってやっていこうと思っております

(「イット!」12月24日放送より)

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