完治するのは3人に1人

 
 
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多くの有名人が患ったこともある突発性難聴は「感音性難聴」の1つです。

「感音性難聴」とは、内耳にある聴覚神経細胞に異常が見られる状態です。治療法が確立しておらず、また一度死んでしまった聴覚神経は再生しないこともあり、聴力の回復は非常に困難です。

突発性難聴の完治率も、「3分の1」といわれています。3人に1人は完治。3人に1人は症状が改善するものの、難聴や耳鳴りの後遺症が残る。そして、3人に1人は聴力の改善が見られないとされます。 

原因不明で、誰でも発症する可能性が…!

突発性難聴は、著名なミュージシャンが罹患したこともあり、大きな音を聞き続けたことが原因だと思われることもありますが、実は原因は未だ不明なのです。

ウイルス感染や内耳の血流障害、ストレス等が原因として有力視されていますが、まだはっきりとした結論は得られていません。
 
最近では子供や10代、20代の若い人も増加傾向にあり、年間受療者数は2001年の35000人から、2012年には75000人に。突発性難聴は、誰でも発症する可能性があります。また、片耳の聞こえが悪くなること、ほとんどの場合は再発しないことが特徴です。

音を大きくしても解決しない

難聴ならば、音そのもののボリュームを上げれば聞こえるのでは、と思われるかもしれません。しかし、感音性難聴の場合はそう単純なものではありません。音を大きくすれば聞こえるというものではないのです。

周囲の音の世界が歪んだ感覚になり、音を大きくしても、音が鮮明に感じ取れず、ひずんだような感じではっきりと聞き取れない状態なのです。

「48時間以内に治療開始」が最重要ポイント!

一般的な治療としては、7~10日間、内耳の炎症を抑えるステロイドを点滴投与します。血行改善の効果がある「血管拡張薬」や「血液粘度低下薬」等も併せて服用します。

しかし、突発性難聴で最も重要なのは、一刻も早く治療開始することです。

症状を自覚してから48時間以内に治療開始すれば、多くの人に聴力の改善がみられます。しかし、1週間を過ぎると改善が困難になることが多く、1カ月を過ぎると症状が固定してしまい、聴力の改善が極めて困難になります。

「最も成功した人工臓器」

 
 

高度の難聴が残った場合、外科的治療として、人工内耳の埋め込みが適用になる場合があります。

聴覚神経を直接に電気刺激する人工内耳は、「最も成功した人工臓器」といわれています。

耳の後ろのマイクが拾った音の振動を電気信号に変換。その電気信号が内耳に入れた電極を通して、蝸牛の中の聴覚神経に直接伝わることで、音を感じられるようになります。

人工内耳の手術費用は約400万円ですが、保険適用等で実質的には1~10万円程度の自己負担となります。 ただし、故障した場合など、2台目には保険がきかず、高額になるため注意が必要です。


(執筆:Watanabe Chiharu)

プライムオンライン編集部
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