コロナ禍で働き方が大きく変わる中、いま新しい形の転職方法が注目されている。

2020年から全日空が副業の範囲を拡大。キリンホールディングス(7月)やサッポロビール(2021年1月)などの大手企業も、続々と副業を解禁している。

実際に転職や副業を希望する人は、サイト登録者数を見てもここ数か月で右肩上がり(YOUTRUST調べ)。

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そんな中、注目されているのが、いきなり転職するのではなく一定期間試しに働いてから転職する「お試し転職」。
エン転職や仕事旅行社など、さまざまな転職サイトでお試しの仕事を探すことができるのだ。

YOUTRUST 代表取締役 岩﨑由夏さん:
コロナに入って、特に以前と比べて未来が見えづらくなったので、ちゃんと試して(会社の)中を確認してから入社したいという慎重な転職が増えています。

そこで今回の「ココ調」は、新しい働き方「お試し転職」にはどんな良さがあるのか調査する。

テレワークを活用…本業の合間に「お試し転職」

お試し転職をしている人は、どのように仕事をしているのか?
現在、お試し転職中だという門野妹さん(27)がこの日、向かったのは…

ココ調取材班:
ここは?

門野妹さん:
自宅です。基本テレワークなので、自宅で

片野さんのお試し転職先は、新宿にある触れる動画(インタラクティブ動画)サービスを提供しているITベンチャー企業「MIL」。

こちらの人事担当として、人材の採用業務などをほぼテレワークで行っているという。

では1週間をどのように働いているのか、スケジュールを書いてもらった。

門野妹さん:
結構、散り散りな感じでやっています。本業も基本テレワークになっているので。

門野さんが本業として働いているのは、渋谷にある給料の即日払いサービスを提供しているITベンチャー企業「ペイミー」。

サービスを導入している企業のサポートなどを担当し、出社は週に1日~2日。基本的にテレワークで働いている。

門野妹さん:
間の移動時間とかもないので、(お試しは)お昼の時間にちょっとやったりとか、今だからできるんじゃないかなと思っています。

テレワークが浸透してきた今だからこそ、お試しというスタイルも可能に。

門野妹さん:
(会社のことを)やっぱりリアルに知れますし、一緒に仕事してるイメージっていうのは本当にクリアになるかなと思います。

とはいえ、本当にテレワークだけでお試し転職が成り立っているのだろうか。

MIL バックオフィス責任者 榎本陽介さん:
弊社としては全く支障はなくて、むしろオフラインでもコミュニケーションが取れる方だというのが顕著にわかりやすい。

MIL 代表取締役CEO 光岡敦さん:
どこを見て正社員に転換するとか、我々としての判定基準のようなものがどこかというと、本当に極端な話、成果一択みたいなところになっていて。選択肢の中に、リモートで転職するっていうのは、間違いなく入ってきているんじゃないかなと思います。

2カ月間のお試しを経て…入社初日に密着 

一方、こちらのお試し転職をした男性は…

井上友泰さん:
今日は転職先の入社初日になります。

2020年9月から2カ月間のお試しを経て、ネットサービスの会社「スマイループス」からSNSアプリ開発の会社「ナナメウエ」へ転職したという井上友泰さん(37)。

入社初日の様子をウォッチングさせてもらうことに。

井上友泰さん:
おはようございまーす

同僚たち:
おはようございまーす

ココ調取材班:
今日が入社初日なのですが、井上さん、慣れているかのように自分のデスクに座りました。

「ココ調」取材班:
自分の席がもうすでにあるんですか?

井上友泰さん:
そうですね、はい。昨日も普通に出社していたので

実はお試し転職をしていた2カ月間、前職の仕事の合間を縫ってこちらの会社にも何度か出社していたのだという。そのため…

井上友泰さん:
入社って感じがあんまりないですよね。だから境目があんまり…

ナナメウエ コーポレート 須藤岬さん:
ない!

井上友泰さん:
今日が入社初日って認識していない人もいるかもしれない。

ナナメウエ コーポレート 須藤岬さん:
いっぱいいると思います。

入社初日とはいえども、新入社員の雰囲気はゼロ。入社前に職場になじめるのもお試しのいいところ。

さらに企業側にも、こんなメリットがある。

ナナメウエ 代表取締役CEO 石濵嵩博さん:
僕たちみたいな若いベンチャーに対して、大きい企業からのノウハウや、やり方みたいなところを教えていただける。(お試しした結果)最終的に転職に至らずに辞めてしまうということがあったとしても、僕たちとしてはプラスでしかないかなと思っています。

テーマパークスタッフから指輪工房の職人へ

また、こんなお試しをして転職をしたという人もいる。

泉水勇輝さん:
私はテーマパークのアトラクションスタッフから、指輪の工房の職人に転職をしました。

結婚指輪などを手作りできることで人気の鎌倉彫金工房(神奈川・鎌倉市)。

テーマパークのアトラクションスタッフからこちらの職人へ、全く違う職種にお試しで転職した泉水勇輝さん(31)。

泉水勇輝さん:
なかなか別の職になるっていうと、すごく踏み込む勇気が必要だったのでお試しのチャンスをいただけるということであれば、一回やってみようかなとチャレンジしました。

指輪作りには不安はあったものの、試しに働いたことでスタッフの雰囲気や仕事内容を知ることができ、全く違う仕事でも安心して転職できたという。

今では指輪の加工作業のほかに、得意の接客を生かしてお客さんに指輪づくりのレクチャーをしている。

泉水勇輝さん:
お付けいただいて、ぜひ!

横山ルリカ リポーター:
完成品とお客さんの写真撮影をしていますね。ポーズの指定などをして、テーマパークで働いていた時の感じがまだ残っていますね

横山ルリカ リポーター:
やっぱり撮影もアテンドし、慣れていますね。

泉水勇輝さん:
あれは割と前職の…よりキレイに写るようにというのは気にしていますね。

泉水さんのほかにも、これまでに22人がお試し転職をして入社しているというこちらの工房。

横山ルリカ リポーター:
お試し転職で来た人の離職率というのはいかがですか。

鎌倉彫金工房 代表 嶋﨑真也さん:
うちに限って言えば、ほぼないですね。(お試しをすることで)ある程度、納得して入社してくれているのかなとは思います。

副業のつもりが企業側からのラブコールで…

一方、企業としてもお試し転職にはこんなメリットがある。

東京・渋谷区にある「DROBE」は、プロのスタイリストがファッションを選んでくれるパーソナルスタイリングサービスを提供する会社。

ここに3カ月間お試し転職をして、2020年10月に入社した結城茉奈さん(31)。

結城茉奈さん:
最初は全く転職をしようという感じで活動していたわけではなく、副業という形で最初ジョインさせていただいて。

もともと副業で続けていくつもりが、結果的にお試しで転職することになったのだという。
一体なぜ転職することになったのか?

DROBE エンジニア 小黒陽―弘さん:
私たちがだいぶラブコールしましたね。

一緒に働いていた同僚がその働きぶりに惚れ込み、熱烈ラブコール。

DROBE CTO 都筑友昭さん:
素直に思いの丈をちゃんと伝えるという正攻法以外に、我々がとり得る道はないのではないかというところで

社内で作戦を練り、思いの丈を真剣に伝えた結果…

結城茉奈さん:
シンプルに「一緒に働きたい」という言葉がストレートで胸に刺さりましたね。

「ココ調」取材班:
作戦成功じゃないですか。

DROBE CTO 都筑友昭さん:
はい!今聞いていて、とてもうれしい気持ちになりました。

お試しをすることで、企業としても即戦力になる人材を見極めて確保することができるのだ。

DROBE 代表取締役CEO 山敷守さん:
入社してその日からちゃんと働けるので、本当の意味で即戦力になってくれる。コロナであってもコロナでなくても、お試しはもう絶対に続けたいですし、やっていくと思います。我々の採用の基本だと思っています。

本業側の企業は、大手を振ってお試し転職OKとはいかないが、コロナ禍で業績が悪化していたり早期退職を促している現状を考え、認めている企業が増えているということだった。

(「めざましテレビ」『ココ調』12月15日放送分より)

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