福井県内の書店では毎年、書店員が厳選した本を独自のコレクションとして販売するユニークな企画を行っています。11月1日の本の日に合わせて書店員が薦める最高の一冊が決定しました。
福井市にある書店「スーパーカボス二の宮本店」に設けられているのが「カボスコレクション」です。県内外にある全グループ18店に所属する約300人の書店員らが投票などを通して厳選した文庫本を発表する企画で、今年で7回目を迎えます。
優れた作品でありながら単行本や新書の陰に隠れがちな文庫本に光を当てることで、読者に作品と出会うきっかけを作ろうという独自の取り組みです。今年は10作品がノミネートされました。
コレクションの立ち上げから携わっている樋口麻衣さんは「小説からエッセイまで。小説はミステリーや心温まるものなどいろんなジャンルから選ばれた」と話します。
ノミネートされた本の帯には書店員の“推し”のメッセージが添えられていて、樋口さんが薦める2つの作品もノミネートされています。
1つ目は「グローズドサスペンスヘブン」。著者の五条紀夫さんはカボスコレクションで3年連続ノミネートされている作家です。「勝木書店スタッフの中でファンが多い作家。設定が特殊で、登場人物が皆すでに死んでいる。閉ざされた館に男女が集められて…というお決まりのミステリーのパターンで話が進んでいくが、皆もう死んでいるので緊迫感がなく、比較的ゆるい雰囲気の作品。ただ、読み心地はゆるいがラストの展開は油断して読んでいると度肝を抜かれる。ラストは心して読んでほしい」(樋口さん)
もう1つの作品が深水黎一郎さん著のミステリー「美人薄命」。「登場人物の大学生の男の子が高齢者宅にお弁当を配達するボランティアを始めるが、配達先で84歳のカエさんというおばあちゃんに出合う。実はカエさんには秘密があって…読んでいる間、何度もカエさん!と叫びそうになった作品」(樋口さん)
ノミネート作品は9月から2カ月間店頭に並べられ、最も売れた本が金賞に決まります。
迎えた11月1日、金賞発表の日。今年金賞に輝いた作品は―
「美人薄命です。金賞になったことで、みなさんがカエさんと出会ってもらえると思うと楽しみです!」(樋口さん)
金賞作品はグループ全店で一番目立つ“本屋の一等地”に並べられます。
カボスコレクションは年々、知名度も上がっていて、これまでの金賞受賞作品は年間の文庫部門で1位を記録するなど注目度が高く、全国の書店でもカボスコレクションとして販売されているほど異例の展開を見せています。
カボスコレクションのノミネート作品は金賞以外も当面、お薦め本として販売されます。
