11月2日、GMOインターネットグループの社長が事件後初となる会見を開きました。
【GMOインターネットグループ 熊谷正寿社長】「お客さまをお守りすることができず、誠に申し訳ありませんでした」
GMOインターネットグループに金銭を要求し、応じなければ個人情報を毎日公開していくと脅迫した前代未聞の事件。
およそ1億5000万円の懸賞金をかけ、GMOに集まった情報はなんと700件以上だといいます。
大阪や北朝鮮など犯人特定について様々な説が浮上する中、攻撃者は何者なのか。
会見で明らかになった新事実と、GMOに情報提供をした人物への取材から、その正体に迫ります。
■GMOめぐる不正アクセス事件 攻撃者は被害者に“犯行声明”も
GMOでは10月、FX取引に使うサービスが、不正アクセスを受けていることが発覚し、利用者からは「身に覚えのない操作が行われた」と金銭的被害の報告も出ています。
被害にあった人は、「トレードを何十回も繰り返して、履歴を確認したら4秒ぐらいで300万円なくなっていました」と説明。
10月22日に自身の口座を確認したところ、何者かが勝手に取引を行い、およそ300万円の損害を出していたそうです。
さらになんと、ハッカーを名乗る攻撃者から「犯行声明」のメールが届いたということです。
【被害にあった人】「『侵入したハッキングチームです』と“GMOが交渉に応じなかったため、やむを得ず実行に移しました”みたいな感じでメールが送られてきて」
■不正アクセスの顛末 GMO社長はセキュリティーの脆弱性認める
さらに2日の会見では、GMOが不正アクセスを受けた経緯も明かされました。
ことしの8月5日、攻撃者がGMOのサーバーに侵入。何らかの方法で利用者専用のサーバーに入り、そのまま管理者のアカウントを奪いました。
そして、8月17日に攻撃者はそのアカウントを使って、FX取引のサーバーを乗っ取り、利用者のパソコンにまで侵入。
その後、悪意のあるプログラム“マルウェア”を送り込み、利用者の口座で不正取引を行っていたということです。
またGMOでは、2年前に子会社がシステムの脆弱性を指摘したものの、十分な対策を取っていなかったことも判明し、熊谷社長は記者から“進退”について問われました。
【GMOインターネットグループ 熊谷正寿社長】「今この悪意に汚染されているインターネットを、責任という名において放置したまま死ねません。私はきちんとこれを人生かけて、多くの方の笑顔に資するツールにしてから死なせてください」
■GMOには情報提供が700件 18歳のホワイトハッカーを取材
明らかになったこともある一方、最も関心を集めているのが犯人の特定状況についてで、会見では、11月2日までに情報提供が700件以上あることも発表されました。
取材班が接触した、東京に住むホワイトハッカーActiveTK.さんは、情報を提供した1人で、なんと、ことし4月に大学に入学した18歳です。
小学6年生のころからアプリ開発などをはじめ、ことしセキュリティーコンテストの国際大会で準優勝した実績があります。
そんなActiveTK.さんは「攻撃者が活動を行った時間帯をまとめたもの」を解析したということで、攻撃者が被害者にメールを送った時間などから調べたといいます。
(Q.アクセスした時間も分かる?)
【ホワイトハッカー ActiveTK.さん】「閲覧ログが残っていて、攻撃者と推定される者のアクセス時刻は分かっています」
その結果、日本時間の午前11時ごろから夜中2時頃までは活発である一方、深夜2時から午前11時にかけては一切の活動がなかったことが分かったそうです。
■犯人像は「GMOの信頼を失墜が目的」
その結果、ActiveTKさんは、「標準的な生活リズムで活動している人であれば、アジア圏に住む可能性が高い」と分析します。
他にもActiveTKさんは、「被害者フォーラム」と呼ばれる被害者が状況を共有するためのサイトが、GMOが被害を公表する“前日”にすでに立ち上がっていたことを発見。
【ホワイトハッカー ActiveTKさん】「10月20日にGMOが被害を確認し、その日の午後6時半に緊急メンテナンスをしている。それに対して、被害者フォーラムは、立ち上がったのが10月19日の段階で記録」
そこから攻撃者自身が、“GMOへの批判を広げる拠点として”サイトを立ち上げた可能性もあるといいます。
【ホワイトハッカー ActiveTKさん】「GMO側の信用失墜させることを目的としているのかな」
■犯人は大阪説、北朝鮮説も GMOからは情報なし
そのほかにも、ネット上では様々な犯人特定をめぐる情報が飛び交いました。
【SNSの投稿より】「確度は20~30%。大阪中央収容局のエリア在住の可能性」
この投稿には、熊谷社長が「ご協力感謝いたします」などと反応し、SNS上で“攻撃者は大阪にいる”といった説が広まりました。
他にも「北朝鮮のハッカーではないか」とする情報も。様々な情報が集まる中、GMOは犯人の特定をどこまで進めているのか、会見での発言が注目されました。
(Q.犯人像で言えることは?)
【GMOインターネットグループ 熊谷正寿社長】「現在、捜査機関の邪魔になる発言はできません。国名も、それ以外も申し上げることは、現在は一切ございません」
熊谷社長はこう話し、明らかにすることはありませんでした。
■「IPアドレスを検索すると攻撃者特定の糸口になる」
では実際のところ、犯人を特定することは可能なのか。取材班はサイバーセキュリティの専門家を訪ねました。
セキュリアの清水伸太郎社長が分析していたのは、脅迫サイトに残されたアクセス記録で、訪問した時間や端末情報などが記されています。
【セキュリア 清水伸太郎社長】「今回残してしまっていた、(攻撃者サイトの)閲覧ログ全件です。(例えば)アンドロイド10を使っている人がChromeで見ている。何時何分にアクセスしているとか。
例えばこのIPアドレスを検索すると、KDDI、auのWi-Fiを使っている方と分かる。本人のものであれば、携帯電話が分かるようなものなので、攻撃者特定の糸口になる」
■捜査機関が情報を活用すれば「犯人特定は難しくない」
清水さんは、住んでいる地域や利用している通信業者を特定できる「IPアドレス」について、疑わしいものをすでに発見しています。
犯人特定への期待が高まりますが「捜査の権限をもたない人ができるのはここまでが限界だ」と説明します。
【セキュリア 清水伸太郎社長】「(ホワイトハッカーが)分析しているデータは公開データのみで、それを特定するための非公開データを、捜査機関以外、持ち合わせていないので、様々な説が出てしまっている」
一方で、捜査機関がこれまで出た情報を活用すれば、犯人特定は難しくないと話します。
【セキュリア 清水伸太郎社長】「(犯人が国内の場合)特定は早い可能性。他国の場合は、ログがとれず非常に長引く、2~3カ月とかではなく長期化する可能性」
(関西テレビ「newsランナー」2026年11月3日放送)
