気候変動による水不足と違法な井戸の存在が原因
なぜこのような現象が起こるのか。
陥没穴を長年、研究しているコンヤ工科大学のアルック教授は気候変動と人為的な問題が複合していると話す。
「この地域の降水量は非常に少なく、トルコ全国平均の約半分です。気候変動で雨量が減り、地下水が減少。それに加えて農業に使うために過剰な地下水の利用により陥没穴ができています」
気候変動により雨の量が減り、地下水の水位が年々下がっているコンヤ。
しかし、トルコでも有数の農業地帯でもあるコンヤは、小麦やとうもろこしなどの穀物を育てるために地下水をくみ上げる必要がある。
問題は地下水のくみ上げ量。
当局に登録されている「正規の井戸」は3万カ所あり、水のくみ上げ量が管理されているという。
一方、地図の赤色で示されているのが、「違法に作られた井戸」でその数は10万カ所以上にのぼる。管理されることなく井戸から過剰に地下水をくみ上げすぎているという。
そのため地下水がなくなった後には地下に大きな空洞ができあがる。その空洞が突然、陥没することで、巨大な穴ができるのだ。
これまで陥没穴などで死亡した人はいない。しかし、いつ巨大な陥没穴に巻き込まれるのか不安を抱きながら多くの人が生活している。
「どこで、いつ」陥没穴の発生予測 実証開始
こうしたなか、アルック教授は陥没穴がいつできるかを予測するという実証事業をEUと共同で2026年から始めた。
設置した機器には複数のセンサーが組み込まれていて、地盤の水平方向と鉛直方向の動きや土壌にあるガスの量、土壌の水分状態などを測定し、そのデータは監視センターにリアルタイムで共有される。
仮に地盤の動きなどに通常の範囲を超える変位が生じた場合には分析。危険な状態と判断した場合には関係機関に情報が伝えられ、この場所からの避難や退去、人々を遠ざけるための警告が出されることになる。
「センサーはすべての場所に設置する必要はありません。人に関係する場所に設置すれば十分で、例えば多くの人が集まるホテルには1カ所の観測地点で十分です」
「工業地域のような場所であれば少なくとも3カ所で測定を行い、それぞれのデータを比較することで、地盤全体の動きを把握できます」
さらに地下に空洞など異変がないかを調べるために地中レーダーを搭載したドローンも活用。レーダーは地下30メートル程度まで調べることができるほか、地盤の条件が良ければ最大50メートルまでの地下構造を解析できるという。
実際にドローンを飛ばしてみると、異常がある場所にはタブレット上で赤い印が表示される。その後の分析で断層なのか、パイプラインなのか、もしくは陥没穴ができる兆候である空洞であるのかを明らかにしていくという。
これらの技術を使って陥没穴が多く発生している地域で、いつ崩落してもおかしくない場所や陥没するタイミングを明らかにしていきたいと話す。
「このままではいずれ家や道路、交通機関、工場などあらゆる場所が危険な状況になる可能性が高い」
「私たちにできるのは、水の使用を効果的に管理することだけです。このような地下水位の低下が続けば、危険性はますます大きくなっていきます。地下水位の低下を抑えることができれば、中長期的には陥没穴や地割れの発生も抑制できると考えています」

