
政権交代を経て12年ぶりに与野党の構図が逆転した沖縄県議会10月定例会は、21日に閉会した。保守県政への転換により与党が過半数を占める中で迎えた新知事の議会対応は、冒頭から波乱含みの展開となった。
古謝玄太新知事の所信表明は、異例とも言える日米両政府への抗議から始まった。

当初は大きな論点がないと見られていた定例会だったが、アメリカ兵が逮捕された強盗殺人事件の発覚により状況は一変。県議会は事件に対する抗議決議と意見書を可決したものの、文案調整で折り合いがつかず、中立会派の一部が反対に回るなど全会一致には至らなかった。
不測の事態に日米両政府が対応へ追われるなか、代表質問や一般質問の場では、普天間基地の名護市辺野古移設をはじめとする基地問題へと議論が集中していった。

基地負担の現実と政府追従の限界
議会の場で古謝知事は基地負担軽減に向けた「現実的な解決策」として、普天間基地の辺野古移設を容認する姿勢を改めて示した。

古謝知事 「『現実的』に考えて基地負担を減らしていかないといけない。普天間飛行場の危険性除去を最も早くするためには無条件返還を訴えることでは解決できないと思っている」
政府との協調による課題解決を模索する知事に対し野党側は、県民の安全が脅かされ続けている現状を強く質した。瑞慶覧長風議員は「返還が実現しない中で県民の生活は脅かされ続けている。普天間飛行場の速やかな運用停止の実現に向けて具体的な取り組みと停止期日を設けることを交渉するべきではないか」と迫った。
これに対し、知事は従来の主張を崩さなかった。

古謝知事 「完全な運用停止というのはなかなか現実的な要求ではなく、早期の返還に向けて返還期日の明確化を求めるとともに出来る限りの負担軽減や訓練の移転等を求めていく」
沖縄政策協議会の早期開催などを通じて進展を目指す考えを示したものの、政府追従だけでは打開できない課題の複雑さと限界も浮き彫りとなった。
看板公約「手取り2倍」の実効性は?
火花を散らしたのは基地問題にとどまらない。知事選で目玉として掲げられた経済政策「手取り2倍」の実効性を巡り、野党からの追及が相次いだ。
仲村未央議員は公約の定義そのものに疑問を呈した。

「知事がやりたいのは一人当たり県民所得を2倍にすることなのか、県民一人ひとりの手取りを2倍にすることなのか」
この問いに対し、知事は言葉を選びながら真意を説明した。
古謝知事 「最終的に実感していただきたいのは、それぞれに自由に使えるお金が増えたということ、その数値目標として県民所得を使わせていただいた」
しかし、野党側の納得は得られなかった。仲村議員は「公約自体が『手取り2倍』だが、中身に入ると一人当たりの県民所得というものの指標で目標を立てていることに齟齬を感じる」と指摘し、スローガンと具体的な指標との乖離を厳しく突いた。
12月議会では新知事独自の存在感を示せるか

初の本格的な議会対応を終え、与野党の評価は真っ二つに割れている。
与党議員が「本人の答弁が多く質問に対しても理路整然と答えている。副市長の経験が活かされている」と首長の経験値を評価する一方、野党議員からは「基地問題に関して積み重ねられた歴史を理解していない」と厳しい批判の声が上がる。
基地問題では対政府との協調姿勢を明確にしたものの、目玉の経済政策では勢いを欠く場面も目立った。激動の定例会を終えた新知事が、次の12月議会でどのような独自の政治的カラーと具体的な成果を示せるのか、その手腕が試されている。

