宮崎県日向市の特産柑橘「へべす」の魅力を世界に広めたい——。そんな生産者の熱い情熱から始まったプロジェクトが、日本航空(JAL)と人気洋菓子店「クラブハリエ」を巻き込み、ついに形になった。1年以上の開発期間を経て完成した、上品な香りと絶妙なバランスが楽しめる特製バームクーヘンの魅力に迫る。
地元愛から始まった栽培
日向市にある「ひむか農園」では、約10ヘクタールの敷地で8000本のへべすが栽培されている。

8年前に農園を開設した「ひむか農園」代表の内山雅仁さんは、日向市で70年近く続く内山建設の社長も務めており、農業の経験が全くない状態から耕作放棄地を活用し、へべすの栽培をはじめた。

ひむか農園 内山雅仁さん:
(Q.どうして農園をはじめた?)気取った言い方になるけど「地元愛」。地元にこんなに良いものがあるのに、全国的に知られていないというのがすごく残念だなと思って。それだったら一念発起してやってみようと思ったのがきっかけ。農業はそんなに甘くなくて、天候に左右されるし、病気もあるし、日向市はへべすがいっぱいあるのでなかなか売れないというのもあるし、県外で売ろうとした時に知名度がないのでまったく売れないというジレンマに陥りながら、試行錯誤してやってみた。
内山さんの熱い思いで、ひむか農園は現在、年間約30トンを生産する規模にまで成長した。

へべすは酸味が強すぎず、えぐみもなく、果汁が豊富に含まれている点が特徴だ。内山さんは世界に通用する果実だと確信し、新たな加工品の開発を決意。
JALと洋菓子店と連携
そんな内山さんとタッグを組んだのは、日本航空(JAL)だった。内山さんは会合で知り合った宮崎出身の「JALふるさとアンバサダー」の有薗晶さんに直接へべすの魅力を訴えたという。

JALふるさとアンバサダー 有薗晶さん:
会った瞬間からへべすをポケットから出して「これがへべすでね、香ってみて」とおっしゃって、「このへべすの魅力を僕は日本中、世界中に届けたいんだ。そのためにはJALさんの力をお借りしたいんだ」と熱い思いを語ってくださった。
そして上品な香りや味わいが出せる商品案を数十個出し合って検討した結果、バームクーヘンを制作する方針が決まった。
ひむか農園 内山雅仁さん:
へべすは他の柑橘と比べて香り高いなどの特徴がある。その特徴を出したくて、高級感が漂うようなお菓子としてバームクーヘンを選んだ。
1年以上かけた商品開発
製造を担ったのは、1951年創業の洋菓子店「クラブハリエ」だ。内山さんと有薗さんは滋賀県近江八幡市にある「たねや」と「クラブハリエ」のフラッグシップ店「ラコリーナ近江八幡」へやってきた。

豊かな自然や職人がスイーツを作る過程を見学することができる人気の場所だ。

完成した商品「バームクーヘンminiへべす」。クラブハリエ独自のふんわりしっとりとした生地に、ひむか農園で収穫されたへべすの果汁や皮が使用されている。

クラブハリエ 小濱亮介セクターシェフ:
へべすを食べた時の印象をそのままバームクーヘンにしたいなと思った。レモンとかだと噛んだ時にすごく酸味がくるけど、へべすは少しマイルドな印象だったので、食べ口としてはあえて酸味をマイルドに抑えた状態で、程よい苦みを最後に感じるので、余韻として苦みが来るような商品開発の仕方をしている。

完成した商品を試食する内山さんと有薗さん。
JALふるさとアンバサダー 有薗晶さん:
おいしい。へべすの上品な香りと酸味がしっかり表現されていて、本当においしいです。

ひむか農園 内山雅仁さん:
甘味と酸味が絶妙なバランスですごく上品。こうなるんだなぁ。
有薗さんは「まずは宮崎の皆さんに愛されるお土産に育ってもらいたい」と話す。
JALふるさとアンバサダー 有薗晶さん:
その先に、全国の皆さんにへべすを知っていただいて、ベームクーヘンを味わっていただいて、宮崎に心を寄せていただくようなお菓子に育っていったら良いな。
また、内山さんは「世界中から日向市へ観光客が集まってきて、宮崎県全体が活気づく、へべすを通じて元気になる、そんな取り組みができたら良いな」と話す。

現在、内山さんはフランス・パリを訪問し、現地のシェフに対してへべすのPR活動を進め、すでに現地で複数の新規取引が成立しているという。
地元・宮崎への深い愛と、生産者の諦めない強い思いから生まれた「バームクーヘンminiへべす」。今やその美味しさは日本を飛び出し、世界へと羽ばたこうとしている。
《バームクーヘンminiへべす》
ひむか農園とクラブハリエの公式オンラインショップで販売中
(テレビ宮崎)
