2人が殺害された2018年の奥田交番襲撃事件。その「差し戻し審」第4回公判が19日、富山地裁で開かれた。法廷では、島津慧大被告(30)が事件後に受けた取り調べの音声が再生され、「人を殺すことで、社会とのつながりを断とうとした」という身勝手な動機を語る被告の音声が流れた。

8年前の"声"が法廷に流れた

午前9時半ごろ、これまでの公判と同様に裁判所へ到着した島津被告。開廷後に、事件直後に録音された自身の取り調べ音声が再生される中、微動だにせず聞き続けた。

音声の中で島津被告はこう話している。
「警察官を殺して、その人が持っている銃をとって、次の警察官、そのまた次の警察官という風に、殺してまわろうと思いました」
淡々と語られるその言葉は、傍聴席に緊張感をもたらした。
事件の経緯――交番襲撃から射殺へ
島津被告は2018年、富山市の奥田交番を襲撃。刃物で稲泉健一警部補(当時46)を殺害し、その後奪った拳銃で、近くの小学校前にいた警備員の中村信一さん(当時68)を射殺したとされている。
中村さんを撃った理由について、島津被告は取り調べの中でこう述べていた。
「正直、服装がまぎらわしくて、警察官だと思ったから殺した。仕方ないんですけど」


この日の公判には、中村さんの妻と娘、そして孫も傍聴に訪れた。孫は信一さんの遺影を手に持ちながら、裁判の様子を見守り続けた。
最大の争点 「強盗殺人罪」は成立するか
今回の差し戻し審における最大の争点は、「強盗殺人罪」が成立するかどうかだ。
一審の富山地裁は「殺人罪」と「窃盗罪」の成立にとどまるとして、無期懲役の判決を言い渡した。しかし二審は判決に「事実誤認がある」として裁判のやり直しを命じた経緯がある。
強盗殺人罪が成立するかを判断する上で鍵を握るのが、島津被告が拳銃を奪おうと考えたタイミングだ。取り調べ音声では、殺害前から奪う意思があったことをうかがわせる発言が残っている。
取調官が「どの時点で拳銃を奪おうと思った?」と問うと、島津被告はこう答えた。
「最初から、警察官と戦うことになって、自分が生き残ったら武器を奪おうと」
一方で、最大の目的についてはこう述べている。
「武器を奪うっていう目的もあったんですけど、一番の目的は警察官を殺すことだったって言えばいいんですかね」
あくまで最大の目的は警察官の殺害だったと話した。
「撃たれて死ぬのが目的じゃないんですけど、そうなったらなったでいい」
音声の中で島津被告は、犯行に至った心理をこう語っている。
「人を殺すことで、社会とのつながりを断とうとしたんですよ。それで選んだのが警察官だった。自分より強い武器を持っている人らに相手してもらって、そうしていく中で、その結果は射殺されて死ぬっていうのも考えて、それで俺の人生終わらそうっていう。撃たれて死ぬのが目的じゃないんですけど、そうなったらなったでいいやっていう」
被告人質問をめぐる攻防

差し戻し審においても、島津被告は黙秘を貫いている。検察側は被告人質問を実施するよう求めているが、弁護側は「誰の質問にも答えない」という被告の意思を理由に「必要ない」と主張しており、裁判所の判断が注目される。
次回公判は21日に予定されている。
(富山テレビ放送)

