10月は乳がんの早期発見や早期治療を啓発する「ピンクリボン月間」です。近年、患者が増えている乳がん。早期発見のポイントや検診を受ける大切さなどを専門医に聞きました。
生涯で女性の8人に1人がかかるとされている乳がん。症状や早期発見のポイントを福井県済生会病院の加藤久美子医師に聞きました。
「一番多い症状は腫瘤(しゅりゅう)、いわゆる“しこり”。他には、皮膚が少しへこんだり赤くなったり、乳頭から分泌物が出る症状もある」
母乳を作る「乳腺」と呼ばれる組織にがんが発生し、放置するとやがて全身に転移します。
患者数は30代後半から増え始め60代前半が最も多くなります。多くは女性ですが、まれに男性もかかるということです。
近年、乳がんの患者数は増加傾向にあります。
「高齢者が増え、その分乳がんにかかる人が増えてきた。ライフスタイルの変化も要因で、脂肪食が多くなり肥満になったり、運動不足も乳がんのリスクとして考えられている」(加藤医師)
また、乳がんにはいくつか種類があり、中には女性ホルモンががん細胞の成長を助長するものもあります。出産回数が少ないと排卵の回数が増えることから、女性ホルモンにさらされる期間が長くなり、乳がんのリスクが高まるとされています。
こうした様々なことが影響しあって、患者数が増えていると考えられます。
一方で、治療薬の発達により生存率は上がっています。
2018年のデータでは、診断や治療開始から5年後の生存率が、がんの転移が進まない段階では99%、内臓に転移が進んでいても42%となっています。
早めの発見で助かる可能性が高まる乳がん。患者の半数は、自分で症状に気付いて受診していて、日頃から乳房の状態を気にかけることが早期発見につながるといいます。
加藤医師によりますと「乳腺は人により形も硬さも全然違う。乳腺組織が柔らかめの人もいれば、硬めだけどそれが正常の人もいる。普段から自分の乳腺の状態を鏡で見て触って知っておくことで、何か変化があったら見つけやすくなる」とします。
さらに、検診を受けることも大切です。主な検診としては、機械で乳房を潰してX線で撮影する「マンモグラフィ検査」と、超音波を介して乳腺の状態を見る「超音波検査」があります。
このうちマンモグラフィ検査は40歳以上の女性は2年に1度、公費負担で受けることができます。
ただ、デメリットもあります。
「ちゃんとしたしこりがあるのに、マンモグラフィだと写らないことが実はある」と加藤医師。その原因はアジア人に多い「高濃度乳房」です。乳腺が多いことや皮下脂肪が少ないことで、乳房の濃度が高くなるのです。
「乳房の濃度が高いと、がんのしこりがあったとしても、正常の乳腺組織に埋もれて見えないことがある」
一般的には年をとると乳房の濃度は下がりますが、60代以上でも高濃度乳房の人は一定数いるということです。
一方、超音波検査は乳房の濃度が高くてもがんを見つけられますが、検査を行う人によって精度にばらつきが出るというデメリットもあります。
様々なメリットとデメリットを比較して自分に合った検診を受けるとともに、日頃から乳房の状態を気にかけることが大切です。
加藤医師は、日頃から着替えやお風呂に入る時に乳房の状態を気にかけ、自分に合った検診を受けて欲しいとしています。
