「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長が射殺された事件の裁判で、京都地方裁判所はきょう=16日、午後1時半ごろ、殺人などの罪に問われている特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄被告(59)に対し、「無罪判決」を言い渡しました。
公判中、田中被告は週刊文春の記者に手紙を送り、そこには「自分が無期だろうが死刑だろうが、秘事、暗部を明かしてしまっていいとは思いません」と綴られていたことが分かりました。
■事件の経緯は…
2013年12月の早朝、京都市山科区の閑静な住宅街にある「王将フードサービス」本社前で、当時の社長である大東隆行さん(当時72歳)が胸や腹を4発銃撃され、死亡しました。
犯人の足取りがつかめず、有力な証拠がない中、事件は迷宮入りするかと思われた9年後、大東さんを射殺した罪で、特定危険指定暴力団・工藤会「石田組」幹部の田中幸雄被告(59)が逮捕されました。
去年11月から始まった裁判では、直接的な証拠がない中、犯人は田中被告でしかありえないのかという“犯人性”が争点となりました。
■事件を追い続ける週刊文春の記者
「王将社長射殺事件」の真相を追い続ける、週刊文春の西岡研介記者が、テレビ西日本の取材のこのように答えました。
【週刊文春・西岡研介記者】「公判を傍聴しているときから感じていたんですが、何かしら納得がいってないものがあるんじゃないか」
西岡記者は京都拘置所に勾留されている田中被告に手紙を送り、取材を申し込みました。
■田中被告が拘留後初めて「自身の思い」を告白
すると、ことし7月、田中被告から手紙が返ってきました。
拘留後初めてメディアに対し、自身の思いを告白しました。
【田中被告の手紙】「現在の私はゼネコンの大林組銃撃事件にて懲役10年の刑に処せられ、受刑中の身でありながら、餃子の王将社長殺害事件で被告人となり、余罪受刑者として日々独房にて作業に従事しています」
手紙は便せん5枚にびっしりとしたためられていました。
【週刊文春・西岡研介記者】「字体が極めて繊細で、“繊細な人”という印象は受けました」
■2008年の銃撃事件で「懲役10年」 田中被告とは
田中被告は東京の有名私立大学を中退後、サラリーマンを経て、33歳で工藤会「石田組」に加入しました。
2003年には、みかじめ料をめぐって、パチンコ店にトラックで突っ込む事件を起こして逮捕。
そして、2008年、田中被告は福岡市博多区の路上で、暴力団排除を進める大手ゼネコン「大林組」の社員が乗った車に発砲し、2018年6月に逮捕されました。
この事件から5年後の2013年に王将社長射殺事件を起こしたとされていました。
【週刊文春・西岡研介記者】「当然社会の善悪の区別がついているはずの33歳でヤクザになっている。それなりの考え方がないとならないですよね。組織のためなら喜んで“ジギリをかける”(組織のために服役する)ことができる人だなと。実行力、準備する周到な能力は極めて高い」
■“警察・検察への不満”も綴る「本当に酷い仕打ちであります」
田中被告から西岡記者に届いた手紙には、警察や検察に対する不満がつづられていました。
【田中被告の手紙】「私は、逮捕されてからの3年半の接見禁止。しかも、検察のいじわるによって、事件に関する記事は削除というオマケまで付帯されました。いささか人権蹂躙に思えますが…。
新聞等含めて、すべての記事がマジックで黒く塗りつぶされ、道のようにこの事件が報道されたのか、まったくもって知りえておりません。
ですが、想像はつきます。あれだけのストロボの閃光を絶え間なく浴びせられたのですから…。おそらくではありますが、警察は所轄へ護送される私の姿を大々的に報道させたのでしょう。
そして、裁判の前に『容疑者逮捕』ではなく『犯人逮捕』だと印象付けたかったのでしょう。本当に酷い仕打ちであります」
■法廷で証言しないことは「男の矜持」
初公判では、「私は決して犯人ではありません」と起訴内容を否認。
一方、検察側は現場に落ちていたたばこの吸い殻についたDNAなどを証拠として、田中被告を実行犯だと主張し、無期懲役を求刑しました。
対して、田中被告は一切の証言を拒否しました。
田中被告は法廷で証言しない理由を手紙につづっていました。
【田中被告の手紙】「ヤクザ者に守秘義務なるものはございませんが、私は一命を賭して任共同に邁進すると心に決めた以上、その決心には一片の曇りも持たぬよう努力しております。ですから、自分が無期だろうが死刑だろうが、秘事、暗部を明かしてしまっていいとは思いません。そういう教育を受けてきました。ほかの人は分かりませんが、私はそういうものが男の矜持だと思いますし、そこにロマンを感じます」
■「無罪判決」が言い渡される
そして迎えた判決。
一般傍聴席45席に対し、約150人が朝から裁判所の前に並びました。
【傍聴券に並んだ人】「直前の公判を見させていただいて、証拠ないじゃないですか。状況証拠だけでどんな判決が出るのかなと思って来させていただきました」
そして、午後1時半ごろ、京都地裁の西川篤志裁判長は、田中被告に対し、「無罪判決」を言い渡しました。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月16日放送)
