高知県須崎市のキャラクター「しんじょう君」と、秋葉原出身のキャラクター「ちぃたん☆」。容姿がそっくりな2体を巡る法廷闘争が、一つの節目を迎えた。
市が著作権侵害を訴えたのに対し、ちぃたん☆側が営業妨害として損害賠償を求めていた裁判で、知財高裁は10月7日、市の訴えを退け、ちぃたん☆側への賠償を命じる判決を言い渡した。
蜜月から一転、過激動画で関係悪化
しんじょう君は2013年に誕生した須崎市のキャラクター。2016年には「ゆるキャラグランプリ」で優勝した実績を持つ。
一方、ちぃたん☆は2017年に誕生した秋葉原観光推進協会の公認キャラクター。2体は同じデザイナーが手がけていて、外見がよく似ている。
当初、2体はイベントでコラボレーションするなど良好な関係を築いていた。しかし、ちぃたん☆がSNSに投稿する過激な動画が物議を醸し、関係が悪化する。
2019年、須崎市はちぃたん☆の運営会社に対し、著作権侵害などを理由に着ぐるみの使用禁止などを求め、法廷闘争へと発展した。
泥沼の訴訟合戦と知財高裁の判断
市の提訴に対し、ちぃたん☆側は2021年「著作権を侵害したとする須崎市の指摘で損害を受けた」として、4300万円の損害賠償を請求した。
2025年の東京地裁(一審)では、須崎市に対し786万円の賠償を命じる判決が出され、市側が控訴していた。
双方の主張が真っ向から対立する中、知財高裁は10月7日、しんじょう君の著作権を侵害したとする須崎市の訴えを棄却した。
「暗に許諾していた」市の対応が焦点に
知財高裁が市の訴えを退けた理由は、キャラクター化する際の事前の「やり取り」にあった。
判決では、ちぃたん☆をキャラクター化する際、市と運営会社でやり取りが重ねられ、市側が「しんじょう君と似たものになる」と認識していたことを指摘している。
市が運営会社に対して「特に許可は必要ない」という旨のメールを送信していた事実を挙げ、ちぃたん☆の使用を「暗に許諾していた」と認定した。
知財高裁は、ちぃたん☆側に生じた営業損害など1887万円余りを賠償するよう須崎市に命じた。
賠償金額は一審判決から1101万円増額される結果となり、須崎市にとっては厳しい敗訴となった。
市は10月21日、決定を不服として、上告したことを発表。「ゆるキャラ」をめぐる闘争の舞台は最高裁に移ることになった。

