夜の繁華街で不当な客引き行為が横行し、いわゆる“ぼったくり”被害が増加しているという。治安の悪化を防ぐため高知市が動き出した。
市議会の全会派で提出した「客引き行為等の禁止に関する条例制定」議案が9月30日、全会一致で可決された。
条例は、不当な高額請求、いわゆる「ぼったくり行為」の防止につながるものであり、一定区域で全ての業種の「客引き」「客待ち」が禁止される。四国の市町村では初の制定だ。
被害の実態と「プチぼったくり」
9月29日午後10時ごろ、高知市の繁華街。道行く人に声を掛ける「客引き」や、誘う相手を物色する「客待ち」の姿があちこちで見られた。
「客引き」とは特定の相手に飲食店などの客として来店するよう勧誘する行為で、しつこくつきまとったりする場合は県の迷惑防止条例に違反する犯罪だ。
しかし、現場に立ち会わないと検挙できず、実効性に課題があるとの声も上がっていた。
コロナ禍明けの3年前から増えてきたという客引きによる“ぼったくり”被害。県警によると2026年の「客引きでの警察出動」は58件、「料金トラブルでの通報」は14件。
「検挙数」は2021年から2026年にかけ1件~3件と、数だけ見れば被害の程度は少ないように思う。
しかし、条例を発案した高知市議会の横山公大議員は、被害の実態をこう語る。
「僕に入ってきた話の中では、数年前、ある店に行ってわずか数時間で150万円以上の請求をされて、泣き寝入りをせざるを得なかったような状況だった。あとは、1人40~50万円請求されたりとか」
最近では、数千円だと思っていたものが4万円になるなど、不当請求だとはっきり言いづらい “プチぼったくり”も増えているという。
地域が一体となる取り組み
横山市議は飲食店などの関係者から「被害が増えた」という相談を受け、市の担当課や警察などと勉強会を重ねてきた。
高知市も今年6月に中心商店街での客引き・客待ちの独自調査を行った。多い所では1時間で10人が客引き・客待ちをしていたという。
高知市くらし・交通安全課の弘瀬友也課長は「特に観光客が被害に遭うケースが多い。泣き寝入りというか、旅行で来られて、被害届を出してまでは至らなくて、報告はされていないものも結構ある、という話は受けていた」と話す。
10月から始まる「よさこい高知文化祭」や大河ドラマの「ジョン万」効果で観光客の増加が見込まれる中、悪質な客引き行為や料金の不当なつり上げはイメージダウンになる。
飲食店などの経営者らでつくる組合もそう懸念し、桑名市長に「ぼったくり防止条例」の早期実現を要望していた。
誰もが安心して楽しめる街へ
条例によって、高知市の追手筋や廿代町などの繁華街や高知駅周辺の一定区間で、どんな業種でも客引きや客待ちが禁止される。
10月23日から施行され、まずは市や関係団体、警察が協力して啓発活動を実施していく。
横山市議は「市民一丸となって『これ条例違反だよ』と当人たちに言える土壌をしっかり作っていきたい」と語る。
2027年度からは、市が違反者に対して「指導・勧告・命令」や店名の公表、5万円以下の過料を科すことが可能になり、ぼったくりを防ぐ防波堤として期待されている。
高知市の弘瀬課長は「広く市民の方、観光客の方が安心して通行できる環境の形成が一つの大きな目的です。最終的にはそういう客引き行為が見られない、安心して通行できる街を目指していきたい」と語る。
観光立県を目指す高知県。条例施行による夜の繁華街の変化に期待したい。
