教育現場で生成AIの活用が急速に広がっています。
小中高の教員を対象にした調査では、約9割が「AIは教育現場で役に立つ」と回答。
いったい学校では、どのようにAIが活用されているのでしょうか。
札幌市北区にある北海道札幌国際情報高等学校では、英語の授業にAIを本格導入。生徒の学びと教員の働き方に大きな変化が生まれていました。
「英会話の練習をしようかと。事前にカスタマイズして、余計なことをしないようにチューニングをしている」(北海道札幌国際情報高等学校 英学科 古起快教諭)
同校で英語を教える古起教諭。授業の準備は、Googleの生成AIアプリ「Gemini(ジェミニ)」への指示から始まります。
AIで作成するのは、英会話練習用の学習ドリルのようなもの。生徒一人ひとりに共有され、それぞれが自分のペースで英会話の練習に取り組みます。
生徒が出した回答に対して、どこをどう指導するかもAIに事前に設定。
手書きのドリルであれば先生が一人ひとりの答えを添削しなければなりませんが、AIドリルなら瞬時にフィードバックが届きます。
生成AIの活用に対して、生徒からは好意的な声が。
「人と英会話するとなると恥ずかしくなるけど、AIは人じゃないから話しやすい」(生徒)
「瞬時にフィードバックがもらえるのは本当に役に立ちます」(生徒)
便利な面だけでなく、デメリットも理解して活用しているようです。
「すぐ(AIに)聞いてしまうと自分で考えられなくなってしまう。ちゃんと理由を自分で考えて、それでもわからなかったらAIに聞くようにしている」(生徒)
「AIだとスピードが速くて情報を整理する時間がない。メモをしたり写真を撮ったりして、家や休み時間に整理している」(生徒)
生成AIの恩恵をより強く実感しているのは先生の方でした。
「たとえば80枚の添削に毎回4時間ほどかかっていたものが、5分で終わる。ものによっては3~5時間の短縮になっている」(古起教諭)
取材で生徒と先生それぞれにAIの活用度を尋ねたところ、生徒は約5割、先生は約8割と回答。
先生はテキストや課題の作成に特に有効だと感じており、業務負担が大幅に軽減された分、生徒と向き合う時間が増えたといいます。
ベネッセが開発した、生成AIを活用した学習アプリ「GELP(ジェルピー)」では、先生が話題のニュースなどから英語の文章をコピーして貼り付けるだけで、AIが理解度を問う質問や選択肢の自動生成が可能です。
課題は生徒のタブレットに一斉配信され、生徒が自分で書いた英文をAIが添削。
「こうすると文章が正しくなります」「こう書くとレベルの高い文章になります」といったアドバイスも表示されます。
会話形式の課題では、AIとの英会話を5回ほど繰り返した後、発話内容の添削やアドバイスを受けることも可能です。
AIによって変わる教育現場。
では、リアルな先生の役割はどう変化するのでしょうか。
生徒は「本場の英語ではこういう時どう言うのかなど、実践的な表現は先生に聞くことが多い」「言葉に乗せる感情や、人に優しく伝える言い回しは先生から学ぶ方が圧倒的に教えてもらいやすい」と語ります。
AIと先生のすみ分けについて、教員に聞いてみると…。
「その先生じゃなきゃならない個性が必要。AIの方が知識はあるし、それらしい答えや平均値は出してくるが、自分らしさが大事。そこに自分の経験が入っているかどうか。(先生に)個性がないと淘汰されていくのでは」(札幌国際情報高等学校 英語科 高西貴幸教諭)
AIは知識を教え、先生は人を育てる――教育現場でのAIの存在感が増す中、先生の「人間力」がより問われる時代になりそうです。
