北海道日本ハムファイターズの2軍本拠地の移転先が恵庭市に決まって約3か月。
福岡県にある日本一の育成施設と称される場所を取材すると、ファイターズの未来を感じることができました。
「市民ニーズの把握、まちづくりの基本方針、開発のゾーニングや土地利用の構想、こういったことを計画の中では整理したい」(恵庭市 橋本敦計画担当主幹)
恵庭市はファイターズの2軍本拠地移転の基本計画を取りまとめ、住民説明会を10月下旬から市内3か所で行うと発表しました。
着々と進む恵庭の受け入れ態勢。果たして未来は。
私はそのヒントを探るべく、日本一といわれている2軍施設を訪ねました。
9月、福岡ソフトバンクホークスがリーグ3連覇を成し遂げた瞬間。
歓喜とともに、日常に溶け込む野球の存在を肌で感じました。
「ホークスは地元(筑後市)の宝」(ホークスファン)
2026年、圧倒的な強さで勝ち続けた常勝軍団・ホークス。
喜び合うファンをよそに、私はこの強さの秘訣がどうしても知りたいと思いました。
「2軍の施設ができたことによって、素晴らしい筑後市になりました」(店主)
ホークスの2軍施設とは。
チームの本拠地であるみずほPayPayドームのある福岡市から南に、直線距離で約50キロ。
高速道路を使い、車で1時間ほどの筑後市に、2軍の本拠地・HAWKSベースボールパーク筑後がありました。
まず私が驚いたのは、周囲に広がる田園風景。
この“のどか”な場所に、果たしてどんな秘訣があるのか。
「ソフトバンクホークスの2軍本拠地、福岡県筑後市のタマスタにやってきました。いったいどんな施設で、街に何をもたらしたのでしょうか」(八木隆太郎キャスター)
約7ヘクタールのボールパーク。
3000人ほどを収容するメイン球場と、天然芝と土のサブグラウンド、さらに屋内練習場と選手寮も備えています。
このほか、グッズショップやフードコーナーも充実。
若鷹選手が寮の食堂で食べているレシピを再現したカレーも味わえます。
選手を間近で応援できるコンパクトさが、心地いいと私は率直に感じましたが、地元のファンはどうでしょうか。
「ワクワクする。距離感が近いのでうれしいです」(北九州市民)
「筑後で活躍した選手が1軍で頑張っているので、この10年を見られたので、いま活躍している選手を見ると感慨深い」(筑後市民)
今回特別に、球団側が施設の内部を案内してくれました。
まず驚かされたのは、最新鋭の打撃マシンです。
例えば、ファイターズの伊藤大海投手の2026年のデータを入力すると、なんと伊藤投手の球種や癖を忠実に再現。
さらにメイン球場は、本拠地のドームとほぼ同じ広さ。
いつでも1軍で活躍できるよう、日頃から実際の守備位置と距離感を体に覚え込ませます。
「これだけの規模のファーム施設は(全国に)ありません」(ホークス斉藤和巳2軍監督)
2026年、ホークス2軍を地区優勝に導いた斉藤和巳2軍監督は、強さの秘訣が施設にあるといいます。
その上で、「若鷹寮」の存在が大きいと私は感じました。
常勝軍団の選手育成のピラミッド構造です。
ファームの公式戦が主戦場の2軍の下に、2011年、独立リーグや社会人と対戦する3軍を整備。
2023年からは4軍が導入されました。
今では120人ほどの選手が競い合い、これに併せて寮も増築されていきました。
寮に住む1年目の選手は。
「(筑後の2軍施設は)最高だと思います。1年目から自分が想像できないくらい成長できている。この環境があったから成長できていると思う」(ホークス 北斗選手)
今シーズン、4年連続で盗塁王を獲得した周東佑京選手をはじめ、多くの選手がここから1軍へと羽ばたきました。
「12球団トップクラスの施設。ここで成長しないとどこで成長するんだというくらいの施設」(斉藤2軍監督)
2016年に開業した「HAWKSベースボールパーク筑後」。
この日、筑後市移転10周年を記念し、試合前にセレモニーが開かれました。
2013年当時、ホークスが移転先となる自治体を募集したところ、筑後市を含め九州5県にわたり34市町が手を挙げました。
約5か月にわたった誘致合戦が過熱する中、選ばれたのは筑後市でした。
「いまはホークスの影響もあって筑後市というと、(ホークスの)2軍がある土地との認識。知名度が上がったと思う」(筑後市の担当者)
取材を進めるにつれて私は、ホークスの歩んだ道が、いずれファイターズが通る道なのではないかと感じました。
観客の動員数で比較してみると、それは如実です。
ホークスは1989年に大阪から福岡に移転。
本拠地のドームが開業すると、100万人規模から、その後、コロナ禍を除き250万人以上へと飛躍。
ファイターズも2004年に東京から北海道に移転。
まるでホークスの後を追うようにしてエスコンフィールドが開業すると、200万人以上に。
そして、2軍本拠地もホークスと同様に移転するファイターズ。
未来のヒントがここ、筑後市にあるという思いを、私は強めました。
「小学生を対象にした野球教室や、市内の学校を選手が訪問する学校訪問事業をやっている。選手と触れ合う機会が増えたことによって、身近に感じてもらえる機会は増えたと思う」(筑後市の担当者)
常勝軍団は街づくりにも大きく貢献していました。
2025年、16万人を超えるファンや観光客が筑後市の2軍本拠地を訪れました。
試合日や週末を中心に、周辺のホテルや飲食店にも大きな経済波及効果がもたらされています。
さらに、施設の固定資産税と選手たちが納める住民税を合わせて、1億円を超える税収もあります。
いい話ばかりに聞こえますが、果たして課題はないのでしょうか。
「周りの整備が進んでいない、駐車場が不足していると言われる。この球場の西側がみやま市になっていて、なかなか農地転用は厳しい状況にあるところ」(筑後市西田 正治市長)
私が訪れて最初に感じた、のどかな田園風景こそが課題でした。
周りを農地に囲まれ、規模を簡単には拡大できないのです。
「相互に連携協力し、ファーム関連施設を整備するとともに、住宅、商業、公園、緑地を含む、新たな市街地拠点の形成を図る」(恵庭市 横道義孝副市長)
ホークスの2軍施設は約7ヘクタール。
これに対してファイターズは、約7倍にあたる46ヘクタールもの広大な用地が。
これからどんな景色が広がるのか。
未来が待ち遠しいのは、私だけではないはずです。
