もちろん、そんな気持ちから、1秒でも早く解放されたいですよね。私が支援し続けているクレーム対応の現場には、瞬時に心を切り替えられる達人が大勢います。そんな達人たちから教えてもらった、心のリセット術をお伝えします。
(1)手を洗う―負を、物理的に洗い流す
え、そんなことで?と思われるかもしれませんが、クレーム対応の達人たちが口をそろえて言うのが、「まず手を洗う」です。
ヘビーなクレーム対応のあとは、すぐに洗面所へ向かう。たっぷりと泡立てた石鹸が、水で洗い流されていく様を見ながら「今受けた負の感情も、流している」とイメージするのだそうです。たったそれだけのことですが、体に「リセット」のスイッチを入れる、ひとつの儀式になります。気持ちの切り替えは、頭より先に「体」から始めるのが、意外と効きます。
ひとりで抱え込まず周囲に話す
(2)周囲に話す―1分でいいから、声に出す
ひとりで抱え込まず、誰かに1分だけ話す。それだけでも、心の浄化効果があります。愚痴でも、報告でも構いません。「こんなこと、言われてしまいました……」と声に出すだけで、心の中のザワザワしたものが、外へ出ていきます。
私も何度となく経験しましたが、聞いてくれる人から「そうか、そうか、大変だったね」と受け止めてもらっただけで、心がどれだけ軽くなったかわかりません。
(3)ご褒美を用意する―「あれがある」が、心の支えになる
これも、クレーム対応のプロたちが実践していた方法です。「マイご褒美」をひとつ、あらかじめ決めておいてください。
私自身は、そんなときのために少し値が張るチョコレートをデスクにキープしていました。帰りに大好きなカフェに立ち寄ったり、好きなバスソルトを入れたお風呂にゆっくりつかったり。あなたの心が喜ぶなら、モノでもコトでも構いません。「イヤなことがあっても、あとであれがある」と思えるだけで、その場をやり過ごす力が不思議と湧いてきます。
(1)手を洗う、(2)周囲に話す、(3)ご褒美を用意する。
どれかひとつでも、自分だけの「リセットボタン」として習慣にしてみてください。やさしい人が消耗せずに長く働き続けるための、おまじないとなることでしょう。
川原礼子
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験。その後独立し、現在は企業向けの組織コンサルティングをはじめ、顧客対応の体制構築や管理職育成、講演活動を展開。指導実績は300社、3万人以上にのぼる。著書に『気づかいの壁――「気がつくだけの人」を「気が利く人」に変える、たった1つの考え方』(ダイヤモンド社)がある。

