ここからは「石川のいまここが気になる」、犬塚記者とお伝えします。今週末には6回目の金沢プライドウィークも予定されています。そこで今回のテーマは「パートナーシップ制度」についてお伝えします。
パートナーシップ制度とは、同性カップルなどを婚姻に相当する関係として自治体が認める制度です。それでは、この制度があると何ができるのか見ていきましょう。
当事者にとっては2人の関係を明示しやすくなるほか、公立病院での面会や公営住宅の入居、さらに保険金の受け取りや携帯電話の家族割りなど、行政や民間のサービスを受けることができます。
石川県内では現在、金沢市・白山市・野々市市・津幡町・かほく市の5つの自治体で導入されています。ただ、制度の適用範囲はあくまでもその自治体の中だけで、導入していない自治体に引っ越しなどをした場合は関係を認められません。特に能登地域は導入している自治体がないため、県内でも差があるのが現状です。
そこで県では2023年、県としてパートナーシップ制度の導入の検討を始めました。
馳知事(当時):
「パートナーシップ宣誓制度の実施も大変重要なことであると考えております。」
2023年の県議会。当時の馳知事は性的少数者への理解増進条例とともに、県としてパートナーシップ制度の導入を目指す考えを示しました。
馳知事(当時):
「すでに先行する都道府県が9つか10ほどございますので、そういった動向も踏まえて対応したいと思います。」
県では有識者会議を開き、条例案について議論。馳前知事にとっては知事選の公約に掲げていた肝入り政策の一つでした。
馳知事(当時):
「知事という立場で言えば、国がやらないんならば自治体でやったっていいじゃないか。なぜならばこれは人権に関わる問題です。私は石川モデルがあってもいいな、国に先駆けて。」
条例案の提出に向けて県議会に理解を求めましたが…
福村章県議:
「違和感のあるところが2、3あると思います。大方の皆さんの了解がなければ作ったって意味がない。」
馳知事(当時):
「より多くの県民の皆さまにご理解をいただけるための環境づくりを行う一定の時間が必要と考えております。9月議会での条例提案については見送ることといたしました。」
その後も条例案の提出は見送りが続き、パートナーシップ制度の導入も事実上、凍結状態となりました。
今年3月の知事選で山野知事が初当選。山野知事は金沢市長時代の2021年、県内の自治体で初めてパートナーシップ制度を導入しています。
今年7月には金沢レインボープライドが山野知事を訪問。そこで要望したのが…
松中権共同代表:
「パートナーシップがあるのは金沢とか白山とか野々市とかいくつかしかないので、制度があるというのはすごい安心感が広がるので、条例とも切り離してパートナーシップだけでも県で動いたらいいなと。」
条例の制定を待つことなく、県版のパートナーシップ制度を先行して導入することを求めました。
また、松中共同代表は県に対して請願を出す準備も進めていましたが…
松中共同代表:
「請願というのは紹介議員が必要でして、県議会は主流派が今自民党ですし、自民党の場合は紹介議員になるためには党内でみんなでやるんだとならないと紹介議員になれないという暗黙のルールがあったりもするので、なかなかこの9月の議会には間に合わなかったという状況です。」
政治的な障壁もあって、なかなか進展がないのが現状です。
現在パートナーシップ制度を導入している都道府県は、33都府県で導入されています。北陸は性的マイノリティーへの理解が進んでいないとされてきましたが、福井県と富山県は3年前にすでに導入しています。
福井の事例について専門家に聞きました。
福井県の仁愛大学でジェンダーを専門とする織田暁子准教授です。福井県でのパートナーシップ制度の導入についてこう振り返ります。
織田准教授:
「この頃はパートナーシップ制度って、特別な制度を求めているみたいなインターネット上でも批判があった中で、県がこういったスタンスを示してくれたというのはいいなと思いました。」
福井県内では2022年、越前市が最も早くパートナーシップ制度を導入。翌年に県が導入すると、タイミングを合わせて導入する自治体が相次ぎました。
織田准教授:
「県が導入するってなった時に、町なんかでもうちもあった方がいいんだろうかという声を聞いたりというのもあって、やっぱりどうしてもパートナーシップ制度って最初が渋谷・世田谷だったってこともあって、都会のものというイメージが最初についたと思うんですよね。そこを県が導入するというのは、一気にカバーされるという意味合いはあるかなと。」
また福井県では導入に際して、県議などからの大きな反対はなかったそうですが、県民への浸透も大切だと指摘します。
織田准教授:
「同性婚に、特に若い世代なんかは賛成している人が圧倒的に多い。いわんやパートナーシップ制度に反対している人たちというのは、数としてはそんなに多くないのではないかと。もしかしたらよくわからないから反対しているということはあるかもしれませんけど、この制度は導入したことによって反対意見が集まるものではないという声を届けていくことも大切かなと。」
支援団体などによると、県レベルで導入していない14道府県でも自治体レベルでは導入されています。人口のカバー率で見ると石川は61.8パーセントと全国ワースト5位となっているんです。なぜ石川県では導入できないのかと感じます。
政治的理由が最も大きいのは間違いないですが、理解増進条例と結びつけて議論していたため反発があった部分も大きいと思います。
先週、あらためて県のパートナーシップ制度に対する山野知事の考えを聞いてきました。
山野知事:
「県庁内でまだ議論をしているところではありませんので、これから議論をする必要が出てきたら議論をしていきたいと思います。」
全く積極的ではないですね。ちなみにパートナーシップ制度には、利用者の転出・転入に伴う手続きを簡素化する「自治体間連携」というものがあります。このネットワークには福井県・富山県も含め全国200を超える自治体が加入しているんですが、石川県の自治体は一つも含まれていないんです。
そもそも同性婚を国が認めていないから、パートナーシップ制度があるわけですが、その同性婚については、今年度中にも最高裁が判断を示すとされています。しかし、認めたとしても制度化などに時間がかかると思います。まずは実現可能性の高いパートナーシップ制度の導入が大切だと思います。
ここまで犬塚記者とお伝えしました。
