死者・行方不明者63人を出した御嶽山噴火災害から9月27日で12年です。遺族などが国や県に損害賠償を求めた裁判が終結し、追悼式には、11年ぶりに気象庁長官も参列。火山防災に取り組む決意を述べました。
曇り空ながら頂上までくっきりと見渡すことができた9月27日の御嶽山。
王滝村の田の原登山口からは、続々と登山客が入山していました。
「命を守る登山」と書かれたキーホルダーを配り、ヘルメットの着用などを呼びかけたのは、噴火災害の遺族などでつくる「山びこの会」のメンバーです。
災害の風化を防ぎ、教訓を生かしていこうと、5年前から啓発を続けています。
山びこの会事務局代表・シャーロック英子さん:
「(記憶の)風化も進んでいますし、情報収集をしてからや事前の装備を整えて行くとか、安全な登山をもう1回認識してほしいという思いで(キーホルダーを)配っている」
登山者:
「安全第一に、ちゃんと帰ってくることをお守りみたいな感じで」
「上の方に行くと亡くなられた方たちのお墓とかあって、忘れてはいけないなって、その教訓があって安全に登山していることに感謝」
呼びかけをした1人、長野県安曇野市の野口弘美さん。噴火で夫・泉水さんを亡くしました。
あの日から12年がたちます。
夫・泉水さんを亡くす 野口弘美さん(68):
「気持ちを受け取ってもらっているような、そんな気持ちがします。毎年毎年1年ずつ過ぎていくけれど、思いがだんだん強くなっていくような気持ちで、忘れることはできない」
2014年9月27日の午前11時52分に噴火した御嶽山。58人が死亡し、今も5人の行方が分かっておらず、戦後最悪の火山災害となりました。
9月27日、ふもとの王滝村で行われた追悼式。遺族のほか、地元の関係者など60人余りが参列しました。
噴火発生時刻の午前11時51分に黙とう―
愛知県一宮市の所清和さん。次男の祐樹さんと、その婚約者の丹羽由紀さんを亡くしました。
次男・祐樹さんを亡くす 所清和さん(64):
「改めて何年たっても9月27日を忘れることはないし、つらい1日です。由紀ちゃんと祐樹がうまくやっているのかなって、分からないけどうまくやっているんだろうなと思って声をかけた」
夫・泉水さんを亡くした野口弘美さんも慰霊碑にむかって語りかけたそうです。
夫・泉水さんを亡くす 野口弘美さん:
「とっても寂しいです。今年もまた来たよ、私はみんなに助けられて頑張って生きているから心配しないでねって声をかけました」
式には、気象庁の野村竜一長官も参列し、追悼の辞を述べました。
気象庁・野村竜一長官:
「犠牲となられた皆さまの思いは、気象庁が不断の努力を行い、確実な情報を提供することで、山に登る方、周りに住む方々を守ることにあると思います」
噴火の後、遺族らは「火山性地震が増えていたのに気象庁は噴火警戒レベルの引き上げを怠った」などとして、国と県に総額3億7600万円余りの損害賠償を求めていました。
しかし、一審・二審とも原告側の請求は退けられ、2026年1月には最高裁が上告を棄却。原告敗訴の判決が確定していました。
裁判が開かれていた間は参列していなかったため、気象庁長官の参列は、災害翌年以来11年ぶりです。
気象庁・野村竜一長官:
「噴火でいろんな方が亡くなった重さを実感しました。そして、火山噴火に関する情報をしっかり出すことが重要だということをかみしめた」
野村長官は、追悼式の後に開かれた「やまびこの会」の総会でもあいさつしました。
気象庁・野村竜一長官:
「亡くなられた方々の思いを胸に、火山業務を発展させることがわれわれに課せられた義務」
ともに火山防災に取り組んでいくため、今後も対話を重ねていくということです。
山びこの会事務局代表・シャーロック英子さん:
「(気象庁と)対話をしてこなかった分、遺族がいる実感がうすい。気象庁とともに火山防災を進めていく意味では、新たな一歩を踏み出せた年だと思う」
