「パッチギ!LOVE\&PEACE」や「終幕のロンド」など、多くの映画やドラマに出演した俳優の中村ゆりさんが、今月1日、「直腸がん」のため44歳で亡くなりました。
所属事務所によると中村さんは13年前にもがんを患っていましたが、その後寛解し、元気に仕事を続け検査も欠かさずに受けていたといいます。
しかし去年1月、再びがんが見つかり、手術は成功したものの、術後に転移が見つかったとしています。
がんとうまく付き合っていくための治療を続けていたという中村さんですが、ことし8月に腸閉塞を起こし、出演予定だったドラマを降板。余命宣告を受けていたといいます。
去年12月には最後のドラマとなった関西テレビ「終幕のロンド」の告知で「旬感LIVE とれたてっ!」のスタジオにも来て笑顔でいろんな話をしてくださいました。
葬儀は近親者、所属俳優とスタッフで執り行われたということです。
直腸がんは、「日本人の10人に1人が罹患する」とされる大腸がんの一種です。
これまでに約5000件の大腸がんの手術を担当し、自身も直腸がんを経験している守口敬仁会病院の西口幸雄副理事長が解説。
直腸がんや大腸がんの実態と、早期発見のために知っておくべき知識です。
■若い世代も無縁ではない「大腸がん」 進行が早いケースもあるが「なかなか病院の来られない」
大腸がんは一般的に60代・70代が「好発年齢」とされていますが、若い世代も決して“対岸の火事”ではありません。
【西口幸雄副理事長】「若い方はなかなか病院に来られない。大腸がんは60代70代が好発年齢で、20代30代の方は珍しいですけど、たまにいらっしゃいます。
その方々はやはり何らかの症状を持って、来られる。若い方ため進行度の早く、細胞分裂の早い大腸がんが多い」
深刻なのは、若い世代は受診した時点ですでに病状が進行していることが多い点です。
【西口幸雄副理事長】「大腸癌の方は、若い方が病院にこられた時には、すでに肝臓とか肺とかに転院してるとか、切除不能であるとか、そういう形が多い。
数年前に来られた方は、妊娠されて初めてその時に大腸がんが見つかったという方もいらっしゃいました。だから何らかの症状がなかったら、なかなか病院にこられない」
■見逃しやすい初期症状 「痔だと思って」受診が遅れるケースも
直腸は「比較的、がんの症状が出やすい」部位とされています。では、どのような症状に注意すべきなのでしょうか。
【西口幸雄副理事長】「直腸がんは、肛門に近い部位が直腸ですので、症状が出やすい。
だから症状といいますと一番多いのは、出血。下血。便に血が混じるという症状です。
それが、初期症状なんですが、その時に見過ごしていきますと進行していって、便が細くなるとか、固まりができてしまうので便秘になるとか、下痢になるとか、そういう症状で来られる方が多い」
初期の出血に気づいても、痔と混同して受診が遅れるケースは少なくないといいます。
【西口幸雄副理事長】「出血と言いますと、一番多いのが肛門の出血であったら、痔が多いので、患者さんも痔だと思って、なかなか病院に行かないとか、ひょっとしたら大腸がんだと思っても怖いので病院にこないとか、そういう方が結構いらっしゃいます」
直腸がんによる出血は肛門に近い部位からのものであるため、赤い色であることが多いとのことです。便秘や下痢に加えて便に赤い血が混じるようであれば、ためらわずに病院へ足を運ぶことが重要です。
■”寛解”後の再発 「5年経過しても油断は禁物」
中村さんが最初にがんを患ったのは30代のころで、寛解したものの、再発しました。医療現場で使われる”寛解”という言葉は、どのように受け取ればよいのでしょうか。
【西口幸雄副理事長】「私たちが”寛解”と使うのは、初期治療から5年経過すれば恐らくがんは残ってないだろうということで「寛解」、(病院に)もう来なくてもいいですよという場合も多い。
おそらく5年経過して、そう言われたんじゃないか。ただ、そういった中でも、私もたくさん大腸がんの治療を経験しましたが、5年経過してから、6年目に1人、13年半で1人という再発症例がありましたので、全く5年経過したら大丈夫だということはない」
統計的には5年経過後の再発は1%にも満たないとされますが、可能性はゼロではありません。西口副理事長は、寛解後も何らかの症状があれば受診を勧め、年1回の検査も積極的するべきと述べました。
■難しい骨盤内の手術 しかし技術は着実に進歩
直腸がんの治療において、手術は重要な選択肢のひとつです。ただし、その手術は決して容易ではありません。
【西口幸雄副理事長】「直腸がんは骨盤の中ありますので、大事な臓器がたくさんあります。女性の方で子宮であったりとか膀胱であったりとか、そういう重要な臓器があって、神経もたくさん狭いところ密集してますので手術が難しい。他の臓器、他の部位に比べますと難しいところになります。
ただ最近は、手術技術の進歩であるとか手術機械の進歩に伴って、非常に手術が精密にできるようになってきました」
また、切除が困難な症例に対しても、抗がん剤の開発が急速に進んでいることが希望をもたらしています。
【西口幸雄副理事長】「切除不能であっても、抗がん剤が最近非常に開発が盛んになりましたので、いいものがたくさんできました。従来だったら無理だという症例も今は結構、がんが寛解に持っていけるというような状況になっています」
■「検診は怖がらずに受けてほしい」 自らも直腸がんを経験した医師の言葉
西口副理事長自身も51歳のときに直腸がんと診断され、手術を受けた経験を持ちます。現在は19年目を迎え、元気に過ごしているといいます。
【西口幸雄副理事長】「私も51歳の時に直腸がんが分かりまして、手術をしてもらいました。そして今19年目になりますが、今このようにぴんぴんしてるという状況です。だから検査は、見つかって助かるときに見つけてほしいですよね、
だからそういうときに行かないといけないので、検診は私はぜひ受けるべきだと思う」
一般的な人間ドックでは便潜血反応(2日法)によるスクリーニングが行われており、陽性であれば大腸検査へと進む流れになっています。ポリープの既往がある方は定期的な内視鏡検査が推奨され、ポリープのない方はまず便潜血反応から始めるとよいとのことです。
40歳以上には検査が推奨されていますが、30代であっても腹部の不調や出血といった症状があれば受診を検討すべきだと西口副理事長は強調します。
【西口幸雄副理事長】「日本人の10人に1人は大腸がんになる時代ですので、自分は大丈夫であると思わないで、がんは見つかって助かるときに見つけてほしいですよね。見つかるんだったら。そういうときにぜひ怖がらないで検診を受けてほしい」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年9月15日放送)
