盆栽の棚に近づく人物。
盆栽鉢を1つ、2つ、3つと次々と手に取り、わずか2分30秒で姿を消す一部始終が防犯カメラに記録されていた。
今、日本各地の盆栽園で盗難被害が相次いでいる。
■50年以上かけて育てた盆栽50本が一夜で消えた
愛媛県四国中央市の盆栽園では、8月、大量の盆栽が盗まれた。
持ち去られたのは、ブランド盆栽の「赤石五葉松」や「黒松」あわせて約50本。
50年から60年かけて育てられた高さ1メートルほどの枝ぶりのいいものばかり。
根こそぎ掘り上げられ地面には大きな穴が残っている。
赤石五葉松輸出振興組合の森高準一会長は、「良い盆栽は全部盗まれています」と語る。
盗まれたのは、ヨーロッパへの輸出に向けて準備を進めていたもの。
実現を目前にした盗難だった。
赤石五葉松輸出振興組合 森高準一会長:ようやくヨーロッパに行くチャンスができたものとして作り上げたのに、本当に許せない気持ちでいっぱいです。
被害額はおよそ500万円にのぼるということだ。

■2分30秒の犯行
埼玉県川口市にある盆栽園「やしま園」も、ことし6月に被害を受けた。
防犯カメラの映像には、午後3時ごろ、白い服を着た人物が大きな音を立てながら侵入する様子が。
そして、棚に並ぶ盆栽の鉢を1つずつ品定めするように手に取り、一度棚に戻してから再び持ち去る場面もあった。その手つきは慣れているように見えます。犯行時間はわずか2分30秒だった。
盗まれた黒松など盆栽およそ20鉢の被害額は300万円。
「すぐ商売(売り物)になるようなものだけを持っていく」と店主の矢島功さんは語り、専門知識を持った者による犯行との見方を示した。

■事前に“下見”か
さらに、犯行のおよそ5時間半前には、犯人によく似た白い服の人物と黒い服の人物の2人が、盆栽園の前を通り過ぎたあと、方向を変えて園に入っていく様子も別のカメラに映っていた。
やじま園店主 矢島功さん:ここから入ってきて偵察して、そこから入ると良いと判断したのでは。
犯人は壁を乗り越えて侵入したとみられる。
被害を受けた盆栽園は事件後、50万円かけて壁を倍の高さに改修した。
実はこの園が被害に遭うのは2回目。
去年11月ごろにも20~30鉢が盗まれ、被害額はおよそ300万円にのぼったという。
やじま園店主 矢島功さん:我々としてみれば何十年かけて育てて、それでやっと製品にして売っているので、言ってみれば子供みたいなものですから、つらいですよね。

■盗まれた盆栽がSNSに 海外に渡ると取り戻せず
別の盆栽業者では、盗まれた盆栽が思わぬ形で見つかった。
40数鉢から50鉢ほど、被害額は1500万円弱にのぼる大規模な盗難だった。
盗難から1カ月後、なじみの客から連絡が入った。
ヨーロッパから投稿されたとみられるSNSに、「良い盆栽を安く手に入れた」との書き込みとともに写真が掲載されており、それが盗まれた盆栽と瓜二つだったという。
盗難の被害にあった関東の盆栽業者:自分でずっと何年も管理したものですから。見れば分かりますね。同じものが2つとないんですよね、『盆栽』ってね。
しかし、海外に一度持ち出された盆栽は、日本での検疫が厳しく、取り戻すことはできないという。

■年間100件超 犯人の実態と対策
日本盆栽協同組合によると、近年の盗難被害件数は年間100以上に及ぶという。
盆栽は海外で人気が高まり、価格が急騰している。それが盗難増加の背景にあるとみられている。
対策について元警視庁公安捜査官で防犯コンサルタントの松丸俊彦氏は、「車の車検証のように個体を証明する仕組みがないため、盗まれたものも個体を証明するのが難しい場合がある」と指摘している。
その上で「高級なものであれば、GPSの活用も場合によっては検討していただきたい」と呼びかけている。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年9月10日放送)


