「くだらなさ」を競い合うモノづくりイベントが開催

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町工場の職人たちが持てる技術を注ぎ込んで作った作品を競い合うイベントがオンラインで開かれた。出品条件はただ1つ、「くだらなくて笑えること」。

コロナで暗くなりがちな気持ちを、前向きにしてくれるイベントだ。
「くだらなさ」の奥に見えてくる町工場の技術力。一体どんな作品で私たちを笑わせてくれるのか…?

「ものの見事に半分に切ります」…チューブアイスを真っ二つに切るためだけの装置

モノづくり王国あいちを支える町工場。江南市で設備機械の部品などを作る生川製作所。

ステンレスのボディに、ノコギリのような鋭い刃。3代目の生川友和さんが新たに製作していたのはチューブアイスを半分に切る装置だ。

真ん中から半分に折って食べるチューブ状のアイスを、真っ二つに切るためだけに考えられた。

作った理由は、町工場の技術を競う、「くだらないものグランプリ」へ出品するため。

こんな状況だからこそ、笑いながらモノづくりを盛り上げたい。そんな大会の趣旨に賛同して、全国の町工場20社が、名乗りを上げた。

ゼロから1にするのが難しかった…苦しい中だからこそオリジナルな商品を開発

生川製作所もコロナの影響を受け、売上が半分以下になった月もあった。そんな中、作った商品が世間から注目を浴びた。

足で踏んで消毒液を噴射する、足踏み式ディスペンサーの「ふみふみくん」だ。

ポンプに触れなくても消毒ができると、名古屋市役所にも導入された、コロナ時代の新製品だ。これまで下請け仕事ばかりだった町工場が、初めて自社で考え、商品化した。

生川さん:
モノづくりには長けているけれど、ゼロから1にするのは難しかったです。すごく時間はかかりましたけれど、いい経験になったかな

一方「くだらないものグランプリ」出品のために製作した、今回の装置の開発のきっかけは…。

生川さん:
チューブアイスは、ちょうど半分に切れなかったり、兄弟喧嘩の原因になっていると聞きますので、喧嘩をなくしたいなと

製作期間は2か月半。設計図を書いてはシミュレーションを続けた。

生川さんは、「元気な中小企業を取り戻すためにも、初代チャンピオンを目指します」と意気込む。

あとは最終調整を残すのみ。果たして、兄弟喧嘩を収めることはできるのだろうか。

重さ3キロの「鬼瓦ヘルメット」…「出雲大社」の鬼瓦も手掛けた老舗が考案 需要減るなかPR

一方、ライバルたちも着々と持てる技術を凝らした出品用の作品を製作していた。

創業104年の「鬼福製鬼瓦所」。三州瓦の産地として繁栄してきた碧南市の中でも一目置かれる存在で、出雲大社の鬼瓦も手掛けた工房だ。

代表の鈴木さんは、出品を決めた理由を「鬼瓦は、最近一般住宅で使われなくなったので、何か発信できるものを考えたい」と話す。

今回手掛けた作品が「鬼瓦ヘルメット」。

鈴木さん:
100点ですね。4歳の息子が自転車に乗るようになって、ヘルメットを鬼瓦でできないかな、と思ったのが最初です

リポート:
すごく重たくて手が離せないほど。立っていられないくらい

その重さは3キロ以上。首の力は鍛えられそうだ。

集中力が削がれなく、相手に迷惑もかからない…「パチン!」と鳴らない静かな将棋の駒

扶桑町からはタイヤの防振ゴムなどを作る「ダイワ化工」が参加。

手掛けたのは将棋に関しての作品。それが「ビクッ!とおさらば将棋駒」。

ダイワ化工の担当者:
将棋を指すときのパチンって音、社長があれを見ていて、あの音は対戦相手に迷惑がかかっているのじゃないか、自分も集中力が削がれているんじゃないかと

ーー「音がいい」ところもありますが?

担当者:

ねぇ…(汗)

大人の事情で生み出された常識を覆す将棋の駒。普通の駒と音を比べてみると、通常の駒は「パチッ!」という音に対して、ダイワ化工の駒は「ドスッ!」。なぜ音が静かかというと、ゴム製だから。

製作にかかった期間は1か月。

色や質感を本物に近づけるため、ゴムの配合にもこだわった。ちなみに、発案者の社長は駒の動かし方を知らないそうだ。

果たして兄弟喧嘩は止められるか…棒アイスを均等に二つに切るだけの装置

チューブ状のアイスを真っ二つにする装置を製作中の生川製作所では、最終調整に入っていた。

装置の名前は「爆切れ早切れ ミンナガ エガオニナールクン(仮)」。

兄妹喧嘩から生まれた、棒アイスを真ん中からきれいに2等分する装置。その完成度は…。

アイスは、見事に真ん中で真っ二つに切れ、切り口もスパっと問題なし。これで、兄弟喧嘩が地球上からなくなるかも…。

くだらなさの奥に秘められた町工場の技術力。3社とも惜しくも優勝は逃したが、明るい話題を提供してくれた。

(東海テレビ)